神保町花月「花曇」

@神保町花月 13:00 D5

千秋楽も終わったのでネタバレ解禁!

強い雨の音。誰かに電話をする男の声。「早く迎えに来いよな!」急ブレーキの音。衝突音。
居酒屋の店内。サトル(江崎)は、姉のカオリ(松崎)が止めるのにも耳を貸さず、家を出ようとしていた。親父は俺を恨んでるんだ。東京で霊媒師にでもなろうかな。そこへ幼なじみのマサオ(林)が入ってくる。サトルはマサオがカオリを好きだとバラす。家を出ようとすると、サトルは飼い犬のベスにめちゃくちゃ吠えられた。マサオが出てみても無視。ベスに謝りながら、サトルは家を出て行った。

色々あって、姉貴とマサオは結婚。あれから10年。
オープニング映像は各出演者の10年前の写真。

近藤(井元)と森野(蛭川)は、サトルとともに喪服のまま呑んでいた。バイトの浅川(村上)に止められても飲み続ける森野。
マサオの三回忌に10年ぶりに戻ってきたサトルに、お姉さんに謝れという2人。サトルは東京で霊媒師になり、テレビにも出ていた。しかしそれは全部嘘だったと笑う。
そこへ、真っ白なワイシャツ、ベスト、ズボンに身を包んだマサオが現れた。サトル以外の人には見えていない、幽霊だった。だから戻ってきたくなかったんだ!と項垂れるサトル。
カオリが歌手デビューをするという話を聞き、驚くサトル。彼らが高校時代に組んでいたバンドのボーカルをやっていたカオリの歌が、音楽プロデューサーの目にとまったのだという。
プロデューサーのマイケル(橘)とマネージャーの佐々木(野田)がやってきた。イベントの出場が決まったこと、カオリが歌うことになる歌が完成したことを伝える。
サトルは浅川から、カオリがマイケルにデビュー資金として100万もの金を渡していることを聞く。マサオは、カオリを止めるため、守るために戻ってきたんだと言う。

翌日になっても居座るマサオに、サトルは出ていってくれと懇願する。カウンターの後ろから、白い着物と三角の布を頭に巻いたわかりやすい幽霊のゴンゾウ(中村)と、素肌に白いベストと白いズボンに赤いマフラーの幽霊(西島)が現れる。生前の記憶がなく名前がわからないという幽霊に、ゴンゾウは棒読みと名付けた。なんだか楽そうです、と喜ぶ棒読み。散々人間たちを脅かし楽しむ幽霊たち。
こんな形でカオリに歌って欲しかったわけじゃない、というサトルとマサオに、おまえらは何が見たいんだ!と激昂するゴンゾウ。マサオは生前書いていた未完成の新曲の譜面をサトルに託す。
曲の素晴らしさに震えが止まらないサトル。カオリと近藤と森野を呼び、マイケルに歌を変えてくれるよう頼む。曲のタイトルを聞かれたサトルは、マサオの発言をそのまま真似する。タイトルは…花曇。

練習を続け、いよいよ本番前日。カオリが店の奥に向かった直後、マネージャーの佐々木の態度が激変。マイケルの曲変更を責め、それにマイケルが反論すると、組にバラしてもいいのか?借金はまだあるんだろ?と静かに脅す。
帰ってきたサトルに、マサオが佐々木とマイケルがカオリを騙していたことをバラす。カオリにナイフを突き付けた佐々木を、マサオが止めた。逃げるカオリを追おうとする佐々木を棒読みが阻止し、倒れ込む佐々木に向かって、サトルは銃を構えた。佐々木に銃弾が当たる直前、ゴンゾウが盾になって止める。身体に染み付いてるんです、もうすでに1人やってるんです、この銃もそいつから奪ったものだと言うサトルに、それでも罪を重ねちゃダメだと諭すゴンゾウ。
騙されていたことがわかり意気消沈するメンバー。最後に歌ってすべて忘れよう!と歌い出す。
マサオもきっと喜んでるよ、と泣くカオリを慰めるサトル。マサオはカオリに、幸せにな、と言葉を掛ける。

カオリはもう心配ない、と、思い残すことの無くなったマサオは、光に導かれ去っていった。去り際、おまえの霊感は、おまえに会いたいと思った人を引き寄せるんだと言い残す。
サトルも家から出ていこうとすると、ゴンゾウに止められる。おまえが仏壇に挨拶していかないから、俺の方から来ちゃったよ。
ゴンゾウは、サトルとカオリの父親だった。マサオは知っていたけど、お父さんに止められて黙っていたと言う。じゃああの棒読みは?と尋ねるサトルに、あれは本当に知らない、と首を振る2人の幽霊。
母親を死なせてしまったと悩み続けるサトルが、最初に見た幽霊は母親だった。俺のこと恨んでないかな?と父の幽霊に聞く。バカ野郎!答えがわかってることを聞くな。母さんとあっちで仲良くやってるから。それから、おまえが殺したと思ってるヤツも生きてるから。カオリを頼むな。生きてる時の俺の願いは、おまえたちの子供を抱くことだった。今の俺の願いは、おまえたちが笑ってることだ。
去っていった幽霊たちを見送り、サトルは床に膝を付いた。ごめんなさい、本当は帰ってきたかった、葬式にも出たかった、ごめんなさい。
出ていこうとしたサトルは、突き付けられた銃に後ずさる。佐々木が手下(サキザキ)を連れて戻ってきた。サトルの持っていた銃が自分の組で輸入しているものだと気付き、先日襲われた組員の仇討ちに来たと言う。せっかく生きようと思ったのに、好きにしろ!と座るサトル。
犬の鳴き声とともに、手下と佐々木が棒読みに連れ去られた。…犬?おまえ、ベスか!?サトルの言葉に、ベスという名前に聞き覚えがあると喜ぶ幽霊。いつの間にか誰もいなくなっちゃったから、そばにいてもいいですか?しかしサトルは、やらなきゃならないことがある、絶対に戻ってくるから姉貴をよろしくな、と言い残して去っていく。キューン…と寂しそうに項垂れるベス。
ここどこだよ!と喚くマサオ。道に迷ったみたいですね、とキョロキョロするゴンゾウ。あんたに付いてきたから!と立ち去るマサオ。俺、後ろだったじゃーん!と叫ぶゴンゾウ。

盛りだくさんな内容でまとめづらかった。ていうか色々省きすぎた。浅川の力士のくだりとか、近藤vs森野とか、幽霊たちの暴挙とか、マイケルの白黒メイクとか。
今回、中村さんのファンと西島さんのファンには見ることを強要してみた。そのくらい、幽霊コンビの活躍が素晴らしかった。
完全な出落ちメイクで酷い仕上がりの中村さん、終盤からキャラが急変、メイクを忘れるほどのシリアスな言葉の迫力に泣けた。バカ野郎!のセリフの部分が一番好き。前回見たときは静かに諭すように言っていたけど、千秋楽では強い叫びに戻っていた。こっちの方が好き。千秋楽では去り際のセリフが増えて、より泣ける展開に。ゆったり感2人とも演技力ハンパない。
西島さんは正体が犬だった。赤いマフラーは首輪、腰に下げたフワフワのポーチは尻尾だと思っている。棒読みでちょっとバカでカオリやサトルを力で守ろうとする姿は、正体を知ってからは犬そのもの。たましい屋さんの死神といい、今回の犬の幽霊といい、やはり西島さんは人外の役がハマる。
野田くんも素晴らしかった!あの顔とあのスタイルに、低音の声で静かに喋られると非常に怖い。ヤクザの組員だという正体をバラしてからの格好良さは異常。
江崎さん、松崎さん、林さんの安定感があってこそ、脇役が自由に出来るんだよね。セリフも多いしシリアス続きだったけど、上手かったなぁ。

平日の動員は心配になるくらい少なかったけど、千秋楽は当日券完売するほど売れたみたい。初日と同じような驚きの歓声が多くて嬉しかった。こういうドンデン返しのあるストーリーは、客数が多くないと反応が弱くなっちゃうからね。
私の中の神保町花月注目リストに、ゆったり感が加わった公演だった。今後はチェックしてみよう。

[桜の季節 – フジファブリック]

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