神保町花月「漆黒のJOE」

@神保町花月 16:00 E8

早くも千秋楽。恐ろしくて悲しくてほっこりするストーリーまとめ。

天使の壁画に向かって祈りを捧げる男(一木)。盲目の少女(山田)が杖をついて歩いてくる。少女を抱きしめる男。

顔に傷があり多くを語らないゲン(シューレスジョー)、元花火職人のサブ(忍)、息子に逃げられ玩具メーカーをリストラされたトメ(安部)は道端に敷いたダンボールの上で酒を飲んでいた。トメの拾ってきた拳銃型花火を見てテンションが上がるゲン。退職金ももらえなかったというトメに、サブは社長の家に乗り込んで何か取ってこようと啖呵を切る。ゲンは行くところがあるからと冷たい。社長の家では、裏で銃を製造しているというウワサがあった。社長の名前は、如月。

――銃声。お父さん!という少女の叫び声。設計図を渡せ!という男2人女1人の声。止めろ!と叫ぶゲンの声。
夢から醒めたゲンは、再び毛布をかぶった。
誰かと電話している男(佐助)がゲンの横を歩いて行く。屋敷から娘を誘拐すればいいんですね?名前は如月姫子?わかりました。電話を切った男は、怖ぇー!と震えている。ボスが愛用のコルトパイソンに弾を込めてたってことは…失敗は許されないな。
再びゲンが起き上がる。如月?面倒だな。

頭を抱えている如月(一木)は、執事の黒田(大波)に声を荒らげていた。もうこんなクズのようなことは止める。金なら充分稼いだ。黒田は静かに笑いながらたしなめている。旦那様、今の生活ができているのは何のおかげか、よく考えてください。娘におまえの過去を全部言うぞ。それだけはやめてくれ。
そこへ娘の姫子(山田)とメイドのマチコ(じろう)が入ってくる。好物のクリームパスタを喜ぶ姫子に、ベレッタパスタはお好きですか?と尋ねる黒田。皿の上に載せた拳銃を差し出そうとする黒田を止めるマチコ。立ち上がる如月。わかった、やるよ。

サブとトメは無事に如月家へ潜入していた。何故か全員倒れていたボディガードから黒服を奪い、ボディガードに変装している。
電話をしていた男は、ファンタジスタという名で呼ばれていた。ホイップクリーム(ピクニック)と合流し、ダスキンの清掃員に扮して如月家へと潜入する。
ファンタジスタとホイップクリームの仲間であるドッグ(三須)は、姫子のいる部屋に侵入し、マチコに見つかってしまう。ボディガードに扮したサブとトメが、黒田に命じられてドッグを地下牢へ連れて行く。
地下牢にはファンタジスタがいた。牢屋の鍵が無いと焦るサブに、トメは鍵を取り出して開けた。ファンタジスタに向かって、コウジ?と呼びかけるトメ。オヤジ!と駆け寄るファンタジスタ。出ていった息子がマフィアになっていることを知り嘆くトメ。ファンタジスタは、ジョーというクズしか狙わない凄腕の殺し屋に憧れてこの世界に入った。トメは昔から盗み癖が治らず、呆れた息子に出ていかれてしまった。

ゲンはボディガードをすべて倒し、如月家へ潜入していた。そこで姫子と出会う。懐かしい匂いがすると言われ、父親は好きか?と尋ねる。好きですと答える姫子。聞こえてきた足音に立ち去るゲン。
箱が積まれている部屋に入ったゲンは、机の上の銃と設計図を見つける。これは俺の書いた設計図…。
そこへ如月が入ってくる。静かに背後から近付き、銃を突きつける。その設計図はどこで手に入れた?15年前、ある家から盗みました。設計図以外に盗んだものはないか?何が目的だ?
如月を殴り昏倒させるゲン。あの子に会っていなければ、おまえを殺していた。あの子に感謝するんだな。

縄をかけられていた如月を発見した黒田。ジョーという卑劣な殺人鬼のウワサを聞いたことがあります。狙いはきっとお嬢様かと。賢い旦那様なら、どうすれば良いかおわかりですよね?自分の正義に従うのです。ただし冷静さを欠いてはいけません。出ていった如月を見送り、笑う黒田。優秀な駒は可愛いですね。
サブとトメを出し抜いて脱走したファンタジスタとドッグ。黒田がサブとトメを引き連れ追い始める。
ゲンが姫子の部屋にやってくる。私の目の治療は終わっているのですが、お医者様は幼い頃のトラウマが記憶と視力を封じ込めているのではないかと。ただ、最後に見た花火の色は覚えています。綺麗なオレンジでした。あんたが変われば、世界は変わるんだ。
姫子と話すゲンを見つけた如月は、銃を突きつける。姫子、お父さんこの人と知り合いでね。お話があるから連れて行っていいかな?マチコとともにゲンを地下牢へと連れて行く。
娘の前でよくそんなものを出せるな。あの子は目が見えないからね。そんなものを作った金で育てていいと思ってるのか?おまえに何がわかる!俺にしかわかんねぇよ。…お互い、父親失格だな。
マチコは黒田と合流し、顔に傷のある無口な男を地下牢に入れたと伝える。2人はファンタジスタとドッグを追い始める。
会話を盗み聞きしていたホイップクリームは、地下牢に向かって走り出す。

銃を撃って地下牢の鍵を壊したホイップクリーム。捕まっているゲンの顔を覗き込んで笑う。やっぱりジョーさんだ!急にいなくなるから寂しかったんですよ。親がいなくなったら誰だって寂しいでしょう。俺はおまえの親じゃないけどな。身寄りのない僕を引き取って育ててくれたんだから、僕は親だと思ってます。最初は嫌で嫌で仕方なくて、顔引っかいちゃいましたけどね。僕に手伝えることはありませんか?
ホイップクリームに中央ホールで待機するよう命じるジョー。
ジョーは姫子に、ここから逃げるよう説得する。理由は後で説明するから、とにかく逃げるんだ。

中央ホールに追い詰められたファンタジスタとドッグ。サブは食べ物を、トメは金塊を盗み出していたため、黒田に銃を向けられる。おまえただの執事じゃないな?何者だ?私はただの執事ですよ。ただ少し金欲に正直なんです。
黒田がトメを撃つ。オヤジ!と駆け寄るファンタジスタ。オヤジは小心者で小物で何をやっても間違いだらけだけど、心はまっすぐだったんだ。俺が手を下さなかったら気付かなかっただろ。感謝されてもいいくらいだ。
逃げ出そうとしたドッグに銃を渡しサブを撃つよう命じる黒田。震えるドッグは、サブの腕を撃ってしまう。
もうやめて!マチコが叫ぶ。銃を取り出し、黒田に向ける。誰に銃を向けてるんだ!哀れなおまえにさ。背後から現れたジョーが銃を黒田に突きつける。
もうやめて。お兄ちゃんのそんな姿見たくないよ。お金は命より大事なの?昔は手を合わせればぬくもりを感じられた。でも今は、手に触れるのは汚いお金と冷たい銃だけ。マチコ、おまえもユウサクと一緒か。またあの惨めな生活に戻りたいのか?孤児院をたらい回しにされて、奴隷みたいなことを強要されて、金も家族も愛もない、あんな生活に戻りたいのか?
おじさま?という姫子の声に気を取られたジョーを殴る黒田。形勢逆転だな。姫子に銃を突きつける黒田。
倒れているジョーが叫ぶ。ホイップ!
ほい来た!ホイップクリームが現れ、銃声が3発。照明が消えた。
次に照明がついたとき、黒田は倒れていた。ジョーが姫子の肩を抱く。もう大丈夫だ。
如月がやってくる。姫子、こっちへおいで。お父さんと2人で静かに暮らそう。お父様?いつもの優しいお父様じゃない。誰ですか?
身体に爆弾を巻き、姫子のためならなんでもする!と絶叫する如月。頼むから嫌いにならないでくれ。相手へのせめてもの罪滅ぼしのために育ててきたんだ。
私が変われば世界は変わる。姫子が目を開ける。如月に近付いていく姫子。お父様は両手で救えるほど小さかったのですね。お父様のことは嫌いではありませんよ。罪滅ぼしとはどういう意味ですか?
ジョーが話を遮る。ここまで我慢してきたんだから、最後まで貫き通せ。黒田がゆっくりと立ち上がる。なに済まなそうな目をしてるんだ。頭で考えてることと心で思ってることは違うんだ。
倒れていたトメが立ち上がり、胸ポケットから出した金塊で黒田を殴る。パトカーの音に、サブ、トメ、ファンタジスタ、ドッグは逃げ出した。
ジョーは姫子が持っていたクマのぬいぐるみを拾う。なんで穴が開いてるんだ…?

4人が逃げ出した先に、ジョーと姫子もやってきた。ここでこの人達と一緒にいなさい。おじさまは?俺は行くところがあるからな。
これからどうするんだ?と聞かれたドッグは、サブに弟子入りして花火職人になる道を選択する。ファンタジスタは、オヤジと一緒にスリ師になると言う。クズしか狙わない正義のスリ師さ!
これから始まる花火大会を待つ5人。

墓に向かって手を合わせているジョー。スーツ姿のホイップクリームがやってくる。よくここがわかりましたね。今日はおまえのオヤジの命日だからな。
やっぱりおまえがボスだったか。なんでわかったんです?銃を見ればわかるさ。
僕の挑戦状、受け取ってもらえました?ああ。良かった、気付いてもらえなかったら、あのお嬢さんを撃つところでしたよ。
僕のオヤジを殺したあんたを殺すのが夢だった。虐待ばかりの最低なオヤジだったけど、こいつを殺すことだけが生きがいだったんだ。その夢を奪ったあんたを許さない。
花火の音とともに、ジョーが倒れる。娘を奪われた俺は、おまえを育てることで救われていた。ありがとよ。ジョーはホイップクリームに笑顔を向けて、倒れた。
動かなくなったジョーの胸元を探るホイップクリーム。拳銃型の花火が出てくる。
――花火を人に向けるな。えー?だって拳銃の形してるんだもん!イテッ、殴ることないだろ。でもこんな痛みなら、大歓迎だけどな。
人を憎むことでしか生きられなかった俺を、あんたは不器用な愛で包んでくれた。こんな俺を終わらせて欲しかった。こんなはずじゃなかったんだ。
――なぁあんた、笑わないのか?時が来たら笑うさ。ふーん、じゃあそのときは、俺があんたを笑わせてやるよ!
自分のこめかみに銃を突きつけるホイップクリーム。無理やり笑顔を作る。笑って。許して。
花火の音とともに、ホイップクリームが倒れる。

10年後。
風俗店の客引きに釣られて、ドッグが個室に入ってくる。そこには姫子がいた。気まじー!
何があったか聞かせてくれないか?外の世界は怖いところですね。友達には裏切られ、男には騙され、家族を蔑まれて生きていくのにはもううんざり。ここなら狭い空間で優しくしてもらえるでしょう?
それでゲンさんが喜びますかね。あなたを信じてくれる人を探しましょうよ。もうこんな店は辞めなさい。はい。

こんなチャレンジ公演があっていいのか。豪華すぎるメンバーに素晴らしすぎるストーリー。シンプルながらも映像と小道具をふんだんに使った演出も素晴らしい。父と子がテーマだったのかな。
大波さんの悪役っぷりに鳥肌。ゆっくりと拳銃を構える仕草とか、悪巧みをしてる笑顔とか、壮絶な色気と怖さがあった。神保町花月では悪役ばかりだけど、やらせたくなる雰囲気を持ってるよね。
じろうちゃんのメイドも素敵。お嬢様、という呼びかけ方が優しくて、中身が男だというのを忘れてしまうメイドっぷり。お兄ちゃん、という大波さんへの呼びかけシーンで泣いた。
ピク兄は表情だけで泣ける名演。ただの下っ端じゃないドンデン返し。ジョーを撃ってからのひとり芝居が泣けて泣けて。花火の音とともに倒れたときの、笑顔から無に変わった表情で一番泣いた。
佐助さんのオヤジ!という言い方が好きだった。シリアスなストーリーの中にぶち込まれるガリトン2人の笑い要素はホッとした。でもシリアスなシーンはちゃんと決めるのがカッコイイ。
忍さんと安部ちゃんのおバカコンビも良かったな。大人の役なので落ち着いた雰囲気が安定感あった。
山田さんの可憐な雰囲気と一木さんのシリアスな芝居は良いね。ふざけない、という命令が下っていた一木さん。でも千秋楽はワンシーンでちょっとだけ金八だったw
シューさんはカッコイイな。渋いな。貫禄だよ。やはりピク兄とのシーンが好きだった。最初から最後までずっと笑わない役で、死ぬ直前だけ笑うってのがもう、ズルいよ。

本公演と同じ量のセリフを覚えて3公演しかやらない、とシューさんが言ってたけど、本当に!もったいない!
このチャレンジ公演の合間にも16期生のチャレンジ公演が1公演だけ入ってた。それは予定が合わず見に行けず。
チャレンジ公演の基準を教えてくれ…。せっかく稽古してるんだし、もっと見たいんだよ。

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