神保町花月「謎ト答」

@神保町花月 16:00 E9

クレパト単独公演2回目の鑑賞。遠目から演出を眺める。

一度見て知っていると、また違った感動がある。オープニングの演出も美しいよね。
伏線をすべて把握できてるかわからないけど、ちょっとした会話が後々効いてくるんだ。あれはゾッとする。
中村さんがヒドいことになっていたけど、あれは徐々に崩壊していくんだろうな…。
一発ギャグコーナーが増えていた。あの時間は一体。桑原さんがモノボケをやらされていた。滑っても長谷川さんは優しい。ま、そういう役だしね。長谷川さんにも回ってきて桑原さん大喜び。滑っても大喜び。ちょっと!岡本さんのヨーヨーが大活躍だった。あれは素晴らしい飛び道具だ。でも山本さんとのコンビ技がひとつ無くなっていて残念。

やはりラストの演出は遠目の方が綺麗だった。笑いとシリアスを織り交ぜて、あのシーン大好き。
次々に真相が明かされていくシーンが怖くて、それを演じている人たちの熱量が凄まじい。あの配役は見事だよ。

単独とはちょっと違う構成、千秋楽後にでもまとめよう。自分が覚えておきたい。

【2/18追記】
花火の音。
ベビーカーを覗き込んでいる男性、抱き合っている男女、抱き合っている男女、杖をついたおじいさん、抱き合っている男性2人。

――10年前のマンション殺人事件の容疑者が、茨城県の山中で遺体で発見されました。遺体は紙袋を抱えていた模様です。

水音。
紙袋を持った青年(江崎)が立っている。ドアを開け、女性(米沢)が出てくる。
久しぶり。10年ぶりだね。私、どう?うん、綺麗だよ。あ、花火。あのときも、花火が上がっていたわね。
覚えてる?
あなたが私を、殺した日のこと。

――情報ライブミノル屋です。杉並区のマンションで女性の遺体が発見された事件から10年が経ちました。警察は事件当日に目撃された人物を追っていますが、未だ事件解決には至っていません。

驚いた様子の青年(江崎)が立っている。なんでここがわかったんだ!?10年も逃げていてこんなことを言うのはおかしいと思うけど、自首しようと思ってる。もう思い出したくないんだよ、あの花火の夜のことは。

ドアから出てきたおじさん(押見)は、このマンションの管理人、我修院カンリと名乗る。10年前の事件ですか。未だに聞き込みをしてるなんて熱心ですね。ちょっとあなた!水漏れしてる部屋があるのよ!あとで管理するから!妻(藤本)が出てくるが、お客さんが来ているからと相手にしない。
10年前の事件の回想。
花火を見に行こうとしている管理人。妻は誰かと電話している。大丈夫、聞かれてないわ。愛してる。バッチリ聞いてるよ!誰だそれ浮気か!?あなたが私を管理しないからでしょ!管理してるよ!じゃあ私の好きな食べ物は?たべっ子どうぶつ。…管理されてる!かーんり、セキュリティしよっ!
あ、そうです、今のはただのノロケです。

隣人の証言。隣人の奥さん(山田)とボケたおじいさん(中村)。
あの日は旦那と子供と花火を見に行っていました。でも私だけ途中で帰ってきたんです。そしたらマンションの廊下が血だらけで!隣の部屋に続いていたんです。部屋の中を覗いたら、人影が見えたんです。

管理人の証言。
防犯カメラに男の姿が映っていたんです。奥さんが部屋に帰ってくる前に降りて出て行きました。
あの部屋は呪われていると語る。長く住むつもりの夫婦がすぐに出て行ってしまうんです。

目撃者の証言。酔っぱらいのオタク2人。勅使河原(長谷川)と別府(桑原)。
妄想でドラマを作り上げ遊ぶ2人。花火を見ながら恋愛モノ妄想をしているとき、抱き合う2人を警察に目撃されてしまう。じょ、冗談で抱き合っていただけで…!僕は本気で…あっ!なんでもない!
マンションの裏口から、ナイフを持った男(江崎)が出てくるのを目撃してしまう勅使河原。しかし警察に通報しても酔っぱらいの戯言として処理されてしまった。

管理人の証言。
奥さんが管理人室に飛び込んできた。血まみれのドアの部屋をノックしても音がしない。すぐに警察に連絡しました。
警部(池谷)と部下たち(岡本/山本)が駆けつけ、真っ暗な部屋の中を進んでいく。
女性の死体が見つかりました。奥さんが部屋の中で見た男の姿、防犯カメラに映っていた時間より後だったんです。もう1人、男がいたってことですかね。
殺された女性についてですか?龍宮寺アイという子でね、モデルを目指していたみたいですよ。

チャイムの音。
今日でこの学校ともお別れか!イチゴと呼ばれた学ランの少年(江崎)が、友人の野呂(ピクニック)と話している。イチゴ、おまえ東京行っちゃうんだろ?カラオケでも行くか!
俺たちのアイドル、龍宮寺アイと3年間一度も話せなかったな。一緒にしないでくれるか?野呂は卒業アルバムを見せる。『卒業してもずっと見ててね』?この字、まさか龍宮寺アイの!?あ、俺の字。騙されてやんのー!
そこへ通りかかった龍宮寺(米沢)が、2人を見て微笑む。

イチゴは言う。彼女のことは愛していたよ。愛した人をこの手で殺してしまったんだ。

上京してきた龍宮寺は、偶然イチゴと再会する。
3年間一度も喋ったことなかったのに、なんで俺の名前を?イチゴくん美術部だったでしょ?いつもイチゴくんの絵を素敵だなと思って見てたの。
2人の距離は急速に縮まっていったよ。
龍宮寺の住むマンションの裏手にある池の伝説。大蛇が人間の女性に恋をした。しかし大蛇は愛した者を食べてしまう本能がある。ついに大蛇は女性を食べてしまった。涙で池が出来、大蛇はその池の守り神となり、数年に一度だけ女性と会うことが出来るようになった。これってハッピーエンドかな?
イチゴくん、愛する人を殺さなければならなくなったら、どうする?俺はそんなこと絶対にしない!…そうだよね。

龍宮寺の独白。モデルになる夢を叶えるために、今日から東京に住むことになった。両親には感謝してる。

人生初の彼氏が出来た。同じモデル事務所の男の子。

最近おかしなことが起きる。部屋にある物の配置が微妙に変わっていたり、私が行ってない場所で私を見たという人が複数いたり。怖い。

彼氏が死んだ。昨日一緒にベッドで寝て、朝起きたら死んでた。なんで?私がやったの?わからない。死体はクローゼットに隠した。死体はしばらくすると消えていた。

私は二重人格なのかもしれない。私と付き合う人はみんな死んでいく。

私は私を守る。私が書いたものじゃない…でもこれは私の筆跡…やっぱり私の中にもう一人の私がいるんだ。

警部は2歳の息子にパパと初めて呼ばれ喜んでいる。あの花火の日、初めて言ってくれたんだ。部下たちはマンションに住むおじいさんに聞き込みに行ったが、伝説の話やばあさんの話しか聞けなかった。犯人らしき男を見たという2人組を呼んでいる。
勅使河原と別府が警察内部を見て喜んでいる。あの日はマンションの裏で抱き合っていたときに…、あ、いや、話の流れで抱き合ってしまっただけで、あれはふざけていただけで…。僕は本気だった!別府氏のことが好きみたいで…。僕も同じ気持ちだ!手を繋いで出て行く2人。
ゲイカップル誕生に、警部たちは拍手をする。
殺された女性の部屋のクローゼットから、大量の血痕が見つかりました。やっぱりあの女…。

イチゴは野呂と久しぶりに再会していた。
おまえが東京に来るなんて珍しいな。そうでもないぞ。東京にはたまにゴミ掃除で来るからな!凄いボランティア精神だな。
実は付き合えそうになってる子がいるんだ。あの龍宮寺アイだよ!マジか!でも変な男より俺の方が安心だろ?
でも最近、龍宮寺の様子がおかしいんだ。家にも入れてくれないし。そりゃおまえ、付き合ってないんだから無理だよ。

警部と部下がイチゴを訪ねてくる。
最近若い男性が次々と行方不明になっている事件をご存知ですか?いえ、知りません。龍宮寺アイさんと関係のある人物ばかりで。
僕は不安で仕方なくて、アイの手帳を見てしまったんだ。
このままじゃいっちゃんまで殺してしまう。彼にはクローゼットの中を見せて、本当のことを打ち明けよう。

紙袋を持っているイチゴが、龍宮寺の部屋にやってくる。
今まで家に僕を入れるのを拒否してたのに、なんで今日は入れてくれたんだ?だっていっちゃんと花火見たかったから。ここからならよく見えるし。
手帳、見ちゃったんだ。…全部知ってしまったのね。ああ。なんであんな残酷なことをしたんだ!?
ナイフを取り出すイチゴ。
わからないの!自分でもわからないの…。いっちゃんが好き。ずっと一緒にいたい。僕だってずっと一緒にいたいよ!僕は死なない!
イチゴからナイフを奪い自殺しようとするアイ。それを止めるイチゴ。もみ合っているうちに腹を刺され倒れるアイ。
いっちゃん、早く逃げて…自殺だと思われるから。あなたは、生きて。
うわぁぁぁーーー!!!!!部屋を飛び出すイチゴ。

花火の音。
電話しているおじいさん。ベビーカーを押してくる警部。アニメの話で盛り上がっている勅使河原と別府。花火を見に行こうとする管理人と妻。龍宮寺の部屋で言い合いをするイチゴと龍宮寺。
5組のバラバラな会話が少しずつ繋がっていく。
ベビーカーを覗き込む警部、抱き合う管理人と妻、イチゴにナイフで刺される龍宮寺、叫ぶおじいさん、抱き合う勅使河原と別府。
花火の音。
うわぁぁぁーーー!!!!!部屋を飛び出すイチゴ。
マンションの裏手で、逃げていくイチゴを目撃して驚く勅使河原。戻ってきた奥さんが管理人に伝える。警部と部下たちがやってくる。人が死んでる!

紙袋を持ったまま野呂と話しているイチゴ。
これが、あの日の出来事だ。最後に幼なじみのおまえに会えて良かったよ。じゃあ、自首してくる。立ち上がったイチゴは野呂に背を向ける。
野呂はナイフを取り出しイチゴの背中に突き刺した。
なんで殺したんだテメェ!あとちょっとだったのに!彼女は純粋だったんだ!それなのに東京に出て汚い男どもに汚されて…おまえが龍宮寺と付き合うと言ったとき、めちゃくちゃムカついたよ!
大変だったよ、おまえを探すの。当時の関係者に話を聞き回ってさ。俺は彼女のことをずっと見てたんだ。俺がずっと守ってたんだ。…まさか、龍宮寺の彼氏たちを殺したのも…?そうだよ、俺だよ。ゴミ掃除に東京に来てるって言っただろ?龍宮寺が寝てる間に男を殺して、龍宮寺が部屋を出た隙に裏の池に捨てに行って。重労働だったよ。
龍宮寺の服を着て外に出たこともある。純粋な彼女がいなくなったなら、俺が代わりになればいいだろ?

水音。
思い出した?ああ、忘れるわけないよ。はい、これ。花火のときに渡せなかったから。似顔絵プレゼントするって約束してただろ。嬉しい。
これからはずっと一緒だね。
ドアを開け去っていく2人。

――これってハッピーエンドかな?
――ハッピーエンドだよ。

イチゴ(江崎)
リュウグウジ アイ(米沢)
ノロ(ピクニック)
ガシュウイン カンリ(押見)
ガシュウイン スガコ(藤本)
タケダ タエコ(山田)
タケダ コウタロウ(中村)
テシガワラ(長谷川)
ベップ(桑原)
エナリ(池谷)
刑事(ボヨンボヨン)

3つのドア、12人の登場人物。
単独はさらに登場人物が多く、ドアは1つだけだった。衣装はずっと一緒。転換も2人だけで行なっていた。
この公演を見て、改めて単独の凄まじさを思い知る。これを2人だけで演じ分け、2時間ずつの2部構成をやり切ったのだから。

米沢さんの「あなたが私を、殺した日のこと」でゾワッとして始まった。オタク2人をクレパトがやってるのには笑った。自分たちをそこに置くか!
単独を見た人なら、主人公の友人が犯人だとわかっている。新たに追加された学生時代のシーンで、ピク兄が友人として出てきたとき、ブワッと鳥肌が立った。長谷川さんが演じていた狂気のラストシーン、ピク兄がやるのか!と。彼女に変装して街を歩いたことがあるという設定も、すんなり飲み込める外見。ボランティア精神にあふれた優しい友人と大量殺人鬼のストーカーの切り替え。お見事でした。神保町花月の申し子の名は伊達じゃない。
単独を見ていない人でも、イチゴが龍宮寺の字と野呂の字を間違える伏線で犯人に気付いたかもしれない。龍宮寺の独白では私の字と言っているけど、あれは犯人が書いたもののはず。あとは証言者がずっと1人の「お客さん」に向かって話している。警察ではない。うーん、これはわかりにくいか。
魚屋でバイトのシーンが無くなって、ドライアイスともやの部分がごっそり無くなっていた。さすがにあのシーンは入れられない、と長谷川さんがトークライブで話していたっけ。クローゼットの死体の描写がアッサリになっていたかな。

花火の音がピタリと止まる演出が素晴らしい。
演出といえば、エンディングのセリフの応酬は本当に凄かった。単独では2人で演じていたので順番にやっていたけど、芝居ではそれぞれの出演者がどんどんセリフを言っていく。間違えたらすべてが終わる。緊張感あって、でも笑いも含んでて、とんでもない演出だった。管理人の妻の「あたしの好きな食べ物も知らないくせに!」の後の、警部の息子に向かって言う「たべっ子どうぶつが好きなのかー」に笑った。おじいさんの「ばあさーん!」の後の、イチゴの「うるさいっ!」も。絶妙なタイミング!
オープニングとエンディングの5組が、それぞれのシーンでストップモーションになっているところがリンクしているのもハッとなる。10年前の花火の前後、10年後、イチゴの死後、様々なシーンが入れ替わり進んでいく。

単独を見た人がこの公演を見て、また単独が見たい!と口をそろえて言っていた。私も見たい。改めて、あの2人だけの世界を見てみたい。
単独DVDプレゼント、当たった人が羨ましい。売ってくれたらいくらでも買うのに。
クレパトのことだから、色彩3部作のリメイクが終わったらこれをやってくれると信じてる。気長に待つから。頼むよ。

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