神保町花月「SASUKE」

@神保町花月 16:00 I8

千秋楽。私の中で、今年の神保町花月ナンバーワン公演に躍り出た全貌を覚書。

倒れ込んでいる忍者装束の男(佐助)に縋る武士装束の女(山田)。
女の髪を結んでいる紐を解く男。
綺麗だ…。え?
月の明かりに照らされて、月化粧かな。
目を瞑るな!しっかり見ろ!
なあ、俺はおまえのその笑顔が好きだ。うん…。
名前を教えてくれないか?名なら知っておるだろう。
その名じゃない、本当の名だ。

倒れ込んでいるスーツの男(古賀)に縋る派手な女(藤本)。
女の髪を結んでいるシュシュを解く男。
腕を上げ歌い出す。綺麗だ~♪え?
月の明かりに照らされて、月化粧かな~♪
目を瞑るな~♪しっかり見ろ~♪
なあ、俺はおまえのその笑顔が好きだ!うん!
名前を教えてくれないか~♪名なら知っておるだろう~♪
その名じゃない、本当の名だ!

男2人が去って行く。女2人は髪を結び直す。武士装束の女が派手な女に紐を渡し、髪を結んでもらう。
派手な女が手を振り、去って行く。武士装束の女は一礼をする。

武士(文田)が武士装束の女に跪き刀を渡す。
もう1人武士(根建)が現れる。3人は刀を構える。
黒装束の忍者たちが現れ、3人に襲い掛かる。
3人を取り逃がした黒装束の忍者たちは一列に並ばされ、1人が獰猛そうな男(大)に斬られる。

神保の里へと迷い込んだ3人。
里の忍者、喜一(一木)に助けられる。しかし同じく里の忍者の明水(久松)は、罪人かもしれないと怪しむ。
神保の里のことは門外不出。この里の長に会ってもらいます。何が起こるかわかりませんが、覚悟してくださいね。

この城は快適じゃ~!
派手な着物を纏った松永(犬塚)は扇子を片手に上機嫌。
三好胴玄(五明)と獣王(大)は、松永の命令で「姫」を捕らえようとしている。しかし神保の里付近で見失った。
大丈夫だよ殿様、取り逃がした下忍は始末しといたからよ!
それにしても殿様、なんであんな小娘に固執するんだ?
ワシは、絶望した目が見たいのじゃ!家を失い、両親を失い、仲間とともにワシを討とうと立ち向かってくる、それは素晴らしいことじゃ。しかし!仲間を失い、諦めた瞬間の絶望した目が見たいのじゃ!
そういえば、段蔵はどうした?偵察に行っております。

長の百地神保(シューレスジョー)は、神妙な面持ちで3人を迎える。うぬらか、この里へ迷い込んだ外界の者は。知らぬとはいえ、ご無礼をお許し下さい。
ようこそ、神保の里へー!!!
頭を上げよ!足を崩しなさい!初めての客人じゃ!歓迎しますぞ!
足利義月の息子である月人(山田)は、足利に仕えていた松永という男に両親を殺され、教育係の右京(文田)と左近(根建)に助けられ逃げてきた。
喜一は月人たちを助けたいと言う。しかし神保は、おまえでは力不足だと笑う。まずは明水に勝てるようになってからじゃな。
里の外れにある庵に泊めてもらうことになった3人。
喜一が3人に忠告する。あの辺には変なヤツが住んでるけど、悪いヤツじゃないから大丈夫だ。
その者の名は?
佐助っていうんだ。この里で一番弱い忍さ!

庵へと向かう3人。教育係の2人を先に行かせ、川辺で刀を抱き泣く月人。
そこへ木の杭と木槌を持った忍者(佐助)が現れる。
おまえ女だろ?なんで男の格好してるんだ?
愚弄するか!私は男だ!
女だろ?匂いが違う。

道端に座っているホームレス(古賀)。
派手な女(藤本)がチンピラたち(小幡/ちゃっぴー/りょう/ギャン/甲斐)に絡まれている。ついてこないでよ、しつこいわね!アンタの彼氏でしょ?会ってやってくださいよ。どうせお金でしょ!?
無理やり女を連れて行こうとしたチンピラを止めるホームレス。無抵抗のまま殴られる。チンピラたちは暴言を吐きながら去って行く。
ありがとう、大丈夫?あたしは樹里。なんで助けてくれたの?
無言のまま空を指差すホームレス。…月?今夜も、月が綺麗ね。

木刀で剣の稽古をしている右京と左近。左近は右京に勝てたことが無い。156勝0敗。
技を身に付けろ。いざというとき殿をお守り出来ないぞ?袈裟斬りは肩から一線に下ろす。
起きてきた月人が稽古に参加する。
明水が現れ、右京に手合わせを挑まれる。しかし右京が構えた瞬間、やっぱり止めましょう!と止める。
そこへ佐助がやってくる。佐助さん久し振りですね!明水が声を掛けるが、佐助は不審そうな顔で見ている。
喜一が食事に誘いに来る。久しぶりに会った佐助の分身の術を見たがる。
月人にバカにされ、渋々印を結ぶ佐助。
《神保流忍法、分身[ワカツミ]》
佐助とは似ても似つかない分身(三須)が現れる。失敗だろ!?…成功だよ。なんでいつもコイツが出て来るんだ!
佐助の術の研究のことを忘れている明水。…明水って雰囲気変わったよな?なんか気色悪いっていうか。
神保の家へと向かう人々。喜一を呼び止める明水。
ここだけの話、あの松永が狩りに出るという情報があります。里一番の手裏剣の名手、喜一さんの力が必要なんです。護衛がいても、あの細い山道では前後しか守ることが出来ません。手裏剣でイチコロというわけです。
話が急過ぎない?みんなで飯、食いたいんだけど…。善は急げです。力不足ではないことを見せつけてやりましょう!

狩りに出た松永と、護衛の胴玄と獣王。山道の途中で立ち止まった胴玄。獣王が辺りを見回す。臭うな、ネズミの臭いだ。
見ぃつけた。
手裏剣を構えていた喜一が、驚いた顔で逃げ出す。それを追う3人。

里中の木に穴を開けている佐助を怒る神保。またみんなに迷惑をかけるんじゃろう!それはどうかな!
神保の里が穏やかで平和なことに疑問を抱いている右京。
捨て子だった喜一に出会ったからじゃ。殺戮人形だった私に、微笑みかけてくれたからの。
喜一殿は、間違いなく神保殿の子供じゃ。ありがとう。月人殿も、間違いなく義月殿の子供じゃ。
義月殿はワシの最後の雇い主じゃった。人形ではなく人として平和な里を作りたかったんじゃ。
幼少の頃、父から聞いたことがあります。友が作った平和な里があると。それがこの里だったのですね。

喜一の首をノコギリで斬ろうとしている松永。それを止める胴玄。私に良い考えがあります。
通りかかった百姓3人を止める松永。ここは余の道じゃ。ここを通りたくば、このノコギリでこの者の首を引くのじゃ。こいつは反逆者の1人。首を引いたところで罪にはならんぞ。
兄(池田)は受け取ったノコギリを投げ出して逃げようとする。胴玄が手裏剣を投げ、兄を殺してしまう。
弟(ひろた)は泣きながら喜一の首を斬り、兄の遺体へと駆け寄る。
もう1人の弟(西田)は、怯えた目で松永を見る。良い目をしておる!さあ、首を引け!絶叫しながら首を斬り、鍬を抱えて走り去る。
さらに1人、手ぬぐいを頭に被った百姓が通り掛かる。無言でノコギリを受け取り、喜一の側へ。
明水!俺の首を引いて逃げろ、このことを里のみんなへ伝えてくれ…。
…了解。明水は躊躇いなくノコギリで喜一の首を斬り裂く。
おい!何をしておる!松永が驚いて明水を見ると、手ぬぐいを外して跪く。
お待たせ、兄者。段蔵か、また顔を変えたか?ええ、今は明水という名です。前の方が良かったぞ。そうですか?私はこの顔が気に入っていますがね。
段蔵か!会いたかったぞ!これで三好三兄弟が揃ったな!
今はどこにいるんだ?神保の里におります。お姫様御一行もいらっしゃいましたよ。そうそう、1人骨のある武士がいましたね、確か右京という名前です。
兄者、その右京ってヤツ、俺にくれよ。油断するなよ。

いつも同じ場所にいるホームレスに話しかける樹里。
ミュージカル女優になるという夢を、思い上がりだと彼氏とその後輩に笑われた。
もう夢は諦めたから、キャバクラで働いているという樹里。
ホームレスにスーツを押し付ける。彼氏へのプレゼントだったんだけど、もう別れようと思って。

神保へ喜一のことを報告する明水。
もう良い、喜一も忍じゃ。こうなることも覚悟していたはずじゃ。
すべて月人殿のためと言っておりました。月人殿に出会えて良かったと。
月人殿、あなたは喜一さんの分も生きなければなりませんよ。てめぇ!佐助が明水に掴みかかるが、出て行った月人を追う。
いやぁ、お熱いお熱い。

月人が川辺で座っていると、右京がやってくる。
私は何があっても殿の味方です。殿には左近もいる。左近は私よりも剣の腕は上ですよ。あいつは優しすぎるんです。それがなければ名の通った武士になるはずです。
…誰だ!?
月人と右京は、獣王と忍者たちに囲まれた。
忍者たちを倒し、月人を逃がし、獣王と対峙する右京。背後から胴玄に刺され倒れる。
そこへ佐助の分身が道に迷ってやってくる。佐助っていう忍者知りません?刀で斬られても死なない分身。
左近が現れ、胴玄と獣王が立ち去る。
佐助もやってくる。
右京に何事かを囁かれ、刀を託され、無言で刀を抱く左近。
泣かん、私は武士じゃ、泣かんぞ。
分身が胸を押さえる。なんだか…僕も悲しくなって来ました。

スーツを着ているホームレス。樹里が無理やり顔を上げさせると、頬に怪我をしている。
元彼からの電話に出る樹里。スーツのガキ?何も知らない!
君、こいつに襲いかかったの?
お姉さんにもらったスーツ着て行ってきたよ、面接!こんな僕でも雇ってくれるところあったんだ。僕の夢は働くことさ!夢叶ったよ!
樹里の持っていた酒を飲み、よろけて倒れるホームレス。
なんで襲いかかったの?…お姉さんの夢を、笑ったから。思い上がりの何がいけないの?

月人に刀は似合わない、女の化粧をした顔が見たいという佐助。
なんていうかさ、月人はべっぴんだから。もったいないと思ってさ。
なんかあったら俺を呼べよ。助けてやる!…弱いくせに。
右京さんの刀を、あんな奴の血で汚すこと無いと思うけど。
うるさい!おまえに私の気持ちがわかるか!
やっぱり似合わない、と立ち去る佐助。
分身が小さな林檎を月人に渡す。おまえが穏やかなのは、佐助が優しいからだ。照れた様子で立ち去る分身。

神保に頭を下げている月人。喜一殿のこと、本当に申し訳ございませんでした。良い。
手紙を取り出し、神保に預ける。左近が来たらこれを渡してください。…月人殿、まさか。
神保殿に出会えて、本当に良かった。左近を、よろしくお願いします。

道端で百姓2人に出会う月人。おまえのせいで兄ちゃんが殺された!兄ちゃんを返せ!
刀を置き土下座して詫びる月人。兄ちゃんを返せ!弟が月人を殴り続ける。もういい!行くぞ!

佐助を呼び出した月人。佐助、今すぐ逃げよう!左近も一緒だ。この里は襲われる。死んではおしまいだ。
…そうだな、無駄死にするのはバカのすることだもんな。
刀を抜き月人へと向ける佐助。正体を現せ!匂いが違うんだよ。おまえは血の匂いしかしない!
よくわかりましたね。明水の姿へと入れ替わる月人。
忍者たちに囲まれる佐助。分身を呼ぶが来ない。1人でやるしかないか!

松永のもとへたどり着いた月人。
男になりワシを討とうとしているそうじゃないか。思い上がりも大概にして欲しいもんじゃな!
ワシを討ってどうするつもりじゃ?家を失い、両親も失い、百姓からも恨まれ、勝っても地獄、負けても地獄。いっそワシに許しを請うてみるか?地下に部屋を用意してやるぞ。
松永に斬りかかる月人だが、すぐに胴玄と獣王に取り押さえられる。
余興を見せてやろう。松永が手を打つと、喜一が現れる。
――死んだよ。お前のせいで死んだんだよ。本当は死にたくなかったけどな…みんなで飯、食いたかったなぁ。
明水の変化の術に大喜びの松永。絶望した月人の目を覗き込み、何が見えてますかー!?と嬉しそうに笑う。
そこへ左近が入ってくる。殿!あの手紙はどういうことですか!?おまえの好きに生きろと?ならば好きにさせてもらいます。ずっと殿についていきます!
辺りが暗闇に包まれる。キーンという刀の音。
さすが忍の目、闇に乗じても無駄じゃったか。現れたのは神保。三好胴玄に獣王か、月人殿もご苦労なされた様子。その重荷、ワシにも背負わせてくれんか。そなたは1人ではないぞ。
老いぼれは黙っててください。明水か、いや、段蔵だな。喜一をたぶらかしたのはおまえか。ご名答。…お仕置きが必要じゃな。首を洗って待っとれ。
そこへ佐助の分身が道に迷ってやってくる。佐助さん知りません?頭には矢が貫通している。なんでやられてるんだ!
月人を手に掛けようとする胴玄。首元に刀を置かれ、月人が叫ぶ。
佐助ーーーーー!
その瞬間、轟音と共に辺りが赤く染まる。
佐助が現れ、刀を構える。笑いたい奴には笑わせておけばいい。力ならここにある!
なんだ、みんな揃ってるじゃないか。
忍者たちを倒し道を開け、神保が叫ぶ。月人殿は本懐を遂げられよ!

獣王と互角に戦う神保。刀を取られ、絶体絶命の瞬間、佐助の分身がよろけて獣王の背中に縋りつく。
頭を貫通している矢が、獣王の首を貫く。
《事故》
ええー!?互角に戦ってたよ!?あ、大丈夫ですかー?もう死んでるよ!

明水はニヤリと笑う。いいこと思い付いちゃった。
右京に化けた明水と対峙する左近。冥土の手向けにこの姿のまま戦ってあげますよ。
一度は迷った左近だが、倒されそうになった瞬間、素早い身のこなしで右京を袈裟斬りにする。
右京はこんなもんじゃねーぞ!!!

胴玄に腕を捕まれ、連れて行かれようとしている月人。
その手を離せ!佐助が月人を庇うと、胴玄の刀が佐助の腕を斬る。
大丈夫、かすり傷だ。よく避けたな。大したものだ。だがそのうち死ぬ。
月人の助けを借り、胴玄に術を掛ける佐助。
《神保流忍法、亡き者の妖[ナキモノノアヤカシ]》
今まで胴玄が犠牲にしてきた味方の亡霊が見えているんだ。
兄者…早くこっちへ来いよ…。お待ちしておりますよ…。
獣王と明水の声が聞こえ、シルエットが映し出される。
うわあぁぁぁー!
これであいつは、一生亡霊に追われ続けるさ。

左近と神保に追い詰められた松永。
月人と佐助がやってくる。
この日を何度夢見たことか。今までの悪行、その命で償ってもらう。
刀を抜き、構える。佐助の顔を見て、ゆっくりと刀を下ろした。…右京の刀を、こいつの血で汚したくはない。
命拾いしたな。二度と姿を表すんじゃないぞ。こいつ、碌な死に方しないだろうな。それと、この城は明け渡してもらう。
神保と佐助が印を結ぶ。

右京の墓へ刀を捧げ祈る月人。
顔色の悪い佐助を心配するが、良いものを見せてやると印を結ぶ。
《佐助流忍法、里風[サトカゼ]》
風と共に、笛の音が鳴り響く。
木の穴を風が通って、笛の音のように聞こえるんだ。今頃は里中に鳴り響いてるだろうな。
ずっとこの術を研究していたんだな。ああ。
その場に倒れ込む佐助。デカい奴の刀に毒が塗ってあったらしい。佐助に縋る月人。
大丈夫だ、まだ死なない。おまえの化粧した顔を見ていないからな。…すまん、手元に無い…。
月人の髪を結んでいる紐を解く佐助。
綺麗だ…。え?
月の明かりに照らされて、月化粧かな。
目を瞑るな!しっかり見ろ!
なあ、俺はおまえのその笑顔が好きだ。うん…。
名前を教えてくれないか?名なら知っておるだろう。
その名じゃない、本当の名だ。
美月。
美月か。美しい名だ。あの月のように輝いている。大げさな…。
生まれ変わったら、また会いたい。会えるさ、約束だ。約束…。
佐助ーーーーー!

倒れ込んでいるスーツの男に縋る樹里。
女の髪を結んでいるシュシュを解く男。
腕を上げ歌い出す。綺麗だ~♪え?
月の明かりに照らされて、月化粧かな~♪
目を瞑るな~♪しっかり見ろ~♪
なあ、俺はおまえのその笑顔が好きだ!うん!
名前を教えてくれないか~♪名なら知っておるだろう~♪
その名じゃない、本当の名だ!
美月。
美月か。美しい名だ。あの月のように輝いている~♪
2人でケラケラと笑う。大げさな!ミュージカルって大げさだろ?そうだけど。
ねえ、君の名前も教えてよ。
佐助。
佐助か、いい名前だね。

そこへキイチモーターズの社長、喜一が現れる。
佐助君、探したよ!君こう言っちゃなんだけど、不健康そうだからさ、飯でもどうかなと思って。で、こっちは彼女さん?
そうで~す!違うよ!なんでよ、さっき告白してくれたじゃん!それは…そうだけど…。
2人の肩を抱く喜一。我が家へ行こう。みんなで飯を食おうじゃないか。
佐助と月人、2人が向かい合うシルエットが浮かび上がる。

床にひれ伏したままの松永。あやつら、金縛りの術なぞ掛けおって!
ようやく身体が動くようになり、立ち上がる。誰が約束なんぞ守るか!必ず復讐してやるぞ!
そこへ頭と腹に矢が貫通した姿の分身が現れる。後退したまま、松永にぶつかる。松永の腹を、矢が貫通する。
《事故(本日2度目)》
そ、そんな…無念。
佐助さんどこ行っちゃったんだろう?佐助さーーーん!

カッコ良かった!ひたすらカッコ良かった!!!
時代劇に挟まれる現代のストーリー。転生後の2人のストーリーも同時進行。無条件に美月を助けてしまう佐助、過去も未来も変わってないね。カッコイイよ。
佐助さんが素直で真っ直ぐで、弱いと言われてるけど実は強くて、主人公らしい素敵なキャラクター。佐助さんの低音の良い声も相俟って、ヒーローとヒロインに素直に感情移入出来た。
小柄な山田ちゃんの両脇にデカい囲碁将棋、少女マンガをそのまま具現化したような構図だった。すべての人から守られる役に嬉しそうだった山田ちゃん、可愛いしカッコイイし、女優!凛とした声が本当に素晴らしかった。文田さんと根建さんの対決は良かったなぁ。ファン垂涎でしょう!ズルいね!
同じく小柄な犬塚さんの両脇にデカいグランジ、悪役側も素晴らしい構図。久松さんを含めた三兄弟、みんなデカい。犬塚さんのゲスい悪役が似合い過ぎてて鳥肌。狂った笑い声と早口が怖くてねぇ。冷静な五明さん、獰猛な大さん、見た目にもピッタリの配役はさすが。久松さんの悪役は初めてだったようだけど、悪い笑顔がお似合いだった。優しげな顔立ちだから、演技力の高さで余計に怖いよね。
突っ走る喜一も、穏やかに見守る神保も、良い親子だったねぇ。可愛らしく憎めないキャラの喜一は、一木さんの容姿あってこそ。松永に捕まってボロボロ涙を零す姿にもらい泣き。月人の「友が作った里」発言で嬉しそうに笑うシューさんの演技がたまらん。お仕置きだ、の悪い笑顔もたまらん。
そして三須さん。あれはもう、自由すぎるw分身だから不死身だし矢は刺さりっぱなしだし事故2回も起こすしw唯一無二の役。三須さんだからこその役だね。コンビで分身とかもう、わかってらっしゃる!
現代版のカップル、古賀さんと藤本さんも良かった。どうやら古賀さんは17歳という設定…本当に?ホームレス衣装の古賀さん、奇抜探偵の宗助スピンオフで見たよ!そういえばあれも演出は足立さんだよ!常にヘラヘラ笑ってた藤本さんが、夢の話で落ち込んだ姿、良かったよね。弱い姿を見せる相手は、今も昔も佐助なんだね!オープニングで山田ちゃんの髪を結んでいる姿も好きだった。コンビで現世と来世、いいよねぇ!
そして忘れてはならない、殺陣チーム。恋する五感でも大活躍だった18期ダンサーズ、今度は殺陣。マジで忠臣蔵にも殺陣で出演していた岡田さんがアクション監督兼忍者。
デカい人たちの迫力ある立ち回りは、やられる側の動きも重要なんだと思う。派手でカッコ良くて清々しい殺陣を堪能させていただいた。
オープニングで獣王様に斬られる下忍はちゃっぴーさん。その後ずっと斬られた右腕を封じて戦っている。客席から舞台へ助走なしの跳躍で軽々と飛び乗る姿に驚いた。素敵すぎる。小幡さんの登場時のバク宙も凄いよね。よくあんな狭い場所で。この2人の運動神経ハンパない!
忍者との2役、現代版のチンピラは、アロハシャツな甲斐さんと小幡さん、スーツなしゃろんとギャンさん。チャラいーステキー!百姓の池田さんとひろたさんも忍者との2役。こちらは可愛らしい少年ぽさ満載。
西田さんが百姓だけだったのはちょっと不満なんだけど!演技上手いのにな。もったいない。喜一を斬るときの怯えた目は好きだった。

オープニングを含め、要所要所で使われる、両側の障子を模した衝立。人物のシルエットや切り絵が浮かび上がる。
犬塚さんが扇子で仰いでる姿が映し出されたオープニング、悪役だろうな!と期待したよね。囲碁将棋のシルエットは美しい。五明さんのシルエットは盲亀浮木を思い出した。ド迫力。
なんといってもラストの佐助と月人!正面ではなく2人が向かい合っているシルエット。泣ける…!
ZABADAKの音楽も素晴らしかった。和を感じさせつつ、少し悲しげな雰囲気。
忍法の技名が行書の文字で表されてるのも良い演出。読みはカタカナ。オープニングでの人物紹介も、すべて縦書きで同じ字体。主要人物どころか、エキストラの忍者たちまでもが個人名での紹介。素晴らしすぎる!

再演希望!と書きなぐったアンケートを置いてきた。もっと広い場所でやって欲しい。
あれだけの人数での殺陣、もっと縦横無尽に動ける広さがあった方が良いんじゃないかな。
4回しか見られなかったし、オープニングDVDも当たらなかった。この2点が心残り。欲を見透かされている気がする。残念。
良いものを見た充実感、最高だね!

[満ち潮の夜 – ZABADAK]

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