神保町花月「喫茶クロネコ」

@神保町花月 17:00 F8

神保町花月と夜ふかしの会コラボ公演覚書。

猫の鳴き声。汚いね、という女の子たちの声。こっちおいで、という声。

喫茶店。マスター(シューレスジョー)がカップを拭いている。
トイレの前で悶えている男(江崎)。喫茶店のトイレはなんで男女兼用と女性用なんだ!
出てきた女(川村)に文句を言う男。男女平等とか言い出して、女性優位になっているんだ!女性は子供を産むことが出来るんだから、仕事は男に任せて欲しい!あたしだっていつかは子供を産みたいと思ってるわよ!
左伴陽子と名乗った女。鏑木洋平と名乗った男。
帰ろうとする男。ちょっと、トイレに来たんじゃないの?もういいんだ。漏れちゃったから…。なんなのこの人!

グルメ雑誌記者の橋本(原)は、喫茶クロネコに取材に来ていた。
ミーコという猫を抱いて痒がるマスターの黒木(シューレスジョー)。そこへ入ってきた常連客の探偵、矢野(鬼頭)。猫アレルギーを認めようとしない黒木。誰にでも懐くミーコに懐かれない矢野。タバコの匂いが嫌なんじゃないか?という黒木に、でも止められないからね、と赤ラークの箱をカウンターに置く。
未解決事件を追う社会部に異動を希望している橋本は、噂を調べにきていた。この喫茶店のポストに願い事を書いた手紙を入れると願いが叶う、そんな噂があるらしい。
泣きながら入ってくる黒木の息子、カケル(ピクニック)。まーたオネショしちゃったの?23歳のカケルは、8歳で時間が止まっている。8歳のとき、何か事件に巻き込まれたらしい。
もうすぐカケルの誕生日。矢野はカケルに欲しい物を尋ねる。シメサバ!渋いな~カケルは。もっと良いものでいいんだぞ?じゃあ、エンガワ!
カケルは時間を止められてしまった代わりに、特別な能力を持っていた。オネショの模様が芸術的!

リンゴの皮を1本に剥いている矢野。大喜びのカケル。振り回して遊んでいる。皮を放り投げたところへ、橋本が入ってきた。うわー!!!ビックリした、蛇かと思いました…。そうだ、赤蛇って、イヴを誘惑した悪魔らしいですよ。悪魔このやろー!とはしゃぐカケルに、様子のおかしい黒木。
手紙を入れに来た女子高生を、喫茶クロネコに招き入れる橋本。
カオリ(山田)はネット上で誹謗中傷され、イジメに遭っていた。幼なじみのモモ(藤本)は、自分だけは味方だと励ます。モモはミーコに威嚇され、カケルが連れて行った。
ウチはお悩み相談所じゃないよ!と女子高生たちを追い返す黒木。
ミーコを抱いたカケルが入ってくる。イジメっ子はあのモモってお姉ちゃんだよ。ミーコは何でも知ってるんだもんねー。あと、あのお兄さんは変態!
カケルに指された石垣(大重)が顔を上げる。何を言うんだ君は!カケルに掴みかかろうとする石垣。ああ!やめてください!黒木が止めるが、石垣は聞かない。カケルに腕を取られ、抑え付けられた。カケルは強いんだから!

左伴がチンピラ(メガスタンプ)に絡まれている。助けに入った鏑木は、アッサリやられてしまう。
通りかかった黒尽くめの男(シューレスジョー)が、チンピラの首を片手で締める。チンピラたちは逃げ出した。
無言で立ち去った男に頭を下げ、左伴は鏑木を助け起こす。
男がか弱い女を守るのは当然だ。…素敵!付き合ってください!
あっ、触らないほうが…漏れてるから。いつから!?やめるんだ!のときから…。最初からじゃない!

風呂に入っている父子。
カケル、人前でミーコと話せることを言わないほうがいい。人は自分と違う能力を持っている人を恐れるからね。あと、人を変態というのもダメだ。言わなくてもあの顔は変態だ!
死んだふりをしてはしゃぐ2人。お父さんは何回でもダマされるなぁ~!
さて、お父さんそろそろ仕事に言ってくるよ。うん、いってらっしゃい!

ケータイをいじっているモモの元へ、黒木がやってくる。また悪口を書いているのかい?なんのことよ!
IDの書かれた紙をモモに見せる黒木。これ、全部君のIDだろう?ただね、君は国語の勉強をしたほうがいい。文体が一緒だから、わかる人にはわかるよ。たとえば、幼い頃からずっと一緒にいる親友とか、ね。これだけのことをされてもカオリちゃんが一度でもケータイを変えようとしたかい?幼なじみの絆、舐めないほうがいいんじゃないか?
明日、ウチへおいで。君の名前でカオリちゃんを呼んであるから。
モモが立ち去ると、矢野がやってきた。ありがとうね、ID。矢野くんの情報はいつも正確で助かるよ。いいんですよ、探偵の端くれですからね。

本当にごめんなさい!カオリに頭を下げているモモ。ずっと一緒にいたカオリが、高校に入ってどんどん綺麗になって成績も良くて友達もたくさんできて彼氏もできて、側からいなくなっちゃうと思ったの。
そんなわけないじゃない。ずっと一緒だよ!
呆然と見ている橋本。たった1日でなんで解決してるんですか!黒木さん、一体何をしたんですか!?
知らないよ、彼女たちの問題だからね。

デートをしている鏑木と左伴。知ってる?このポストに嫌いな人の名前を書いて入れると、その人が消えちゃうらしいよ。
浮かない顔の左伴。いつもの喫茶店でいつものメニューを頼む。あのね…できたの、赤ちゃん。…やったー!嬉しいよ!僕と、結婚して下さい。はい!

お父さん!お母さん!悪夢にうなされているカケル。起き上がって布団をめくり…泣き出した。

父子について矢野に聞きたがる橋本。カケルはあらゆる格闘技を黒木に仕込まれている。他と違うから、強くなって欲しいらしいよ。謎の多い親子だー。
石垣が再び喫茶クロネコへやってきた。悩みがあるという彼に、グイグイ話を聞く橋本。
年収1000万、モデルの彼女、何不自由のない幸せな生活を送る石垣は、暴力衝動が抑えらないという。このままでは彼女を殺してしまいます!だったら僕を殺してください!殺せー!!!
殺す…!?カケルが頭を抱えて震えている。黒木がカケルの肩を抱き、石垣を追い返す。
あいつ、気になるな。今晩様子を見に行こう。ええ。黒木と矢野の小声の会話をジッと見ている橋本。

カケルと格闘技の訓練をしている黒木。強くなったなぁ。もう良くなったか?うん、お父さんが頭撫でてくれたから治った!
カケル、お父さんのこと好きか?お父さん好きー!お父さんは僕のこと好き?あたりまえだ、カケルのためだったら何だってしてやるぞ。
もしお父さんのこと嫌いになったら…なんでもない、お父さんお仕事行ってくるな。

石垣の家では、裸の石垣がSMプレイを楽しんでいた。
暴力衝動って…あれか…。そうみたいですね…。黒木と矢野が帰ろうとすると、橋本が出てくる。
ここで何をしてるんです?ここ、石垣さんの家ですよね?
未解決事件を追う橋本は、15年前の夫婦殺人事件で行方不明になった息子の名前がカケルだと言う。その事件の犯人は、殺し屋クロネコ。闇に乗じて首を締め殺すからその名が付いた。
あの黒木さんが人を殺したっていうのかい?今の彼にそんなことはできないよ。知らなかったほうがいいってこともあるんだよ。矢野の言葉に、調べます!と言い切り立ち去る橋本。

赤ちゃんをあやしている鏑木夫婦。強い子になって欲しいわね。

再び喫茶クロネコへやってきた橋本。
あのポストについて調べました。ポストに人の名前を書いて入れると、その人が消えてしまうという噂があったようですね。20年以上前の噂ですが。
15年前の事件で残された息子は当時8歳、今の年齢は23歳のはずだ。黒木さんあなた一体!赤蛇ってなんなんですか!?うるさい!黙れ!橋本の首を締める黒木。
お父さーん!…何してるの?カケルくん、君は15年前のことを覚えていないのか!?お父さんとお母さんのことを!
うわあああー!!!

会社をクビになり酒に溺れる父、夜の仕事をする母、おまえさえ産まれなければ!その汚い猫も捨ててこい!両親に暴力を振るわれるカケル。ごめんなさい、ごめんなさい!

起き上がったカケルの頭を撫でようとする黒木。…触るな。ずっと騙してたんだな。おまえが殺したんだろ!
包丁を持ち、黒木に向かうカケル。おまえの好きにするがいい。しかし、震える手は黒木を刺すことは無かった。なんで時間が止まっている間の記憶があるんだ…。
銃声。倒れる黒木。
あーあ、結局こうなるんだよ。ボスも優しいんだから。赤いジャケットを着た矢野が銃を持ってやってきた。あれ、生きてるの?やっぱナイフじゃないとダメかー。銃を投げ捨て果物ナイフを取り出す矢野。
黒木に向かって舌を出す矢野。おまえ…赤蛇か!声変えて整形したからって、オレの演技力も捨てたもんじゃないね。
なんで今さら!ボスに言われてずっと見てたの。カケルは記憶をなくしているとはいえ、目撃者だからね。
カケル、君の両親を殺したのは、このオレだから。クロネコがためらったみたいだから、オレが殺しておいたんだよ。
黒木を庇い、矢野と戦うカケル。こいつは何人もの人を殺してる、オレと一緒なんだよ!うるさい!この人は、俺のお父さんだ!
カケルが倒され、矢野に刺されようとしたとき、銃声が響いた。橋本がブルブル震えながら銃を構えている。
オレも黒木さんに拾われてたら、カケルみたいになれたのかな…。

黒木。初めて殺しの依頼を受けたのは、父親からでした。ターゲット父親自身。取引先にも自分の妻にも裏切られ、絶望していました。父親の首を絞め殺す瞬間、優しい目をしていました。すべてを許していました。父を殺してあげることが正義だと思ったのです。死にたがっている人たちを探して殺してまわりました。それが正義だと思ったからです。クロネコと呼ばれ、いつしか殺しの依頼が来るようになりました。そこでポストを作ったのです。
ポストに手紙を入れる鏑木夫妻。このままじゃカケルを殺してしまう。これでいいんだ…。
あの夫婦がよく喫茶店に来ていたのは知っていた。カケルを見たとき、私の中の正義が揺らいだのです。
橋本。僕は父が大好きでした。医者だった父は、自分が正しいと思った道を選びなさいと言いました。最高の家族でした!しかしある日、父が若い女性と歩いているのを見てしまいました。母さんには言うなと言われました。でも僕は言いました。父の言う正しい道だと思ったからです。最高だった家族は、あっという間にバラバラになってしまいました。そこから僕は、未解決事件を調べ始めました。それが僕の正義だと思ったからです。
矢野。クロネコは僕の憧れでした!組織に拾われ、組織の役に立つように人を殺していた僕は、たった1人で仕事をするクロネコをカッコイイと思っていました。一緒に仕事をしたいと何度も誘いました。しかし断られ続けました。だったらクロネコを超えてやる!クロネコが仕事をしくじったと聞き、すぐに殺しに行きました。クロネコを超えられた!しかしクロネコは、悲しい顔をしていました。それを境にクロネコは足を洗い、ガキを連れて行ったのです。クロネコを超える、それが僕の正義だ!
カケル。あの人は僕のお父さんじゃなかった。ずっと騙していた。ずっと育ててくれてた。もうミーコの声も聞こえない。あの人は僕の…お父さん。

一年後。
モモが喫茶クロネコのカウンターに座っている。ポストに入っていた手紙を持ってくるカオリ。
1年ぶりに橋本がやってきた。社会部に異動になりました!あのこと、書いちゃうの?いいえ…もう少し、考えてみます。矢野さんなんですが、半年前、身元不明の遺体が捨てられていたようです。持ち物は赤ラークと果物ナイフだけ。まあ、それがあいつの運命だろ。
カケルは時間が戻ったにもかかわらず、オネショは治らなかった。もう24歳なのに…。
彼女に振られたー!泣きながら入ってきた石垣は、モモを押しのけてカウンターで泣き崩れている。
カオリが手紙の中から小包を取り出した。これ、カケルさんにですよ。中身は…エンガワ?顔を見合わせる黒木とカケル。
女なんて!と叫ぶ石垣に、うるさい!と怒るモモ。顔を見合わせた2人。…可愛い。付き合ってください。…はい!
カケルが広げたオネショの模様には「おしまい」と書かれていた。

ほっこりからサスペンスまで。伊藤ちゃん脚本凄いね!
オープニングで各キャラの年齢が数字で表示されていたけど、江崎さんと川村さんだけ表記が無かった。何かあるだろうと思ってたけど、20年以上前からの時間経過が年単位だから無かったのね。
いろんな伏線が散りばめられていた。ミーコに嫌われる矢野とか、果物ナイフの扱いが上手すぎる矢野とか、リンゴの皮を赤蛇と言ったときの黒木の様子とか、男女の価値観が現代より古い鏑木とか、今とは違うポストの噂とか、鏑木の漏らし癖とかw
矢野の最期の表現がオシャレよね。エンガワ!カケルが黒木に15年間育てられたように、矢野も何年も黒木と一緒にいたんだろうし、裏切ったとはいえその間の記憶が消えるわけじゃないしね…。

ピク兄の8歳から23歳への切り替えはお見事。これはピク兄にしか出来ないわ。あとアクションめっちゃ頑張ってた。意外と動けるのよね。
シューさんの50歳の貫禄。黒尽くめのクロネコシーンがカッコイイ。ピク兄の頭を撫でる姿、完璧にお父さんだよ。オープニングとエンディングの優しい笑顔、いいよねぇ。
鬼頭さんはやはりカッコイイね。役の年齢も35歳で本人と同じ。好青年オーラ凄いけど、悪役も凄みがあって好き。赤蛇のトレードマークの舌を出すポーズ、めっちゃ舌長いから悪い表情と相俟ってホントに蛇みたい。
原さんはどこにいってもいじられキャラw千秋楽の大丈夫なホモゴリラとは。正義感が行き過ぎた真っ直ぐな青年、ピッタリだね。しかし26歳の役は…まあそんなに変わらんか。
大重さんがいつもの大重さんだった。変態役ってw役は29歳。日替わりのSMシーンは好評だったりそうでもなかったりしたようだw演技上手いはずなんだけど、どうしてもあのシーンの印象が強いよねー。
TEAM BANANAは17歳の女子高生役。無理あるわーと思ってたけど、演技力でカバーよね。仲直りのシーンは泣けた。
江崎さんと川村さん、言い合ってたりイチャイチャしてたり怒号の応酬してたり、めまぐるしく変わっていく2人の仲。殺された2人が倒れるシーンはゾワッとしたね。
メガスタンプはちょい役だったけど、セリフは細かく変えていたようだ。息ピッタリにナンパする様子は可愛い。

伊藤ちゃんの最高傑作だったと思う。集客がイマイチだったようでもったいない。またビックリさせるような脚本を書いて欲しいな。
三橋さん演出らしく、平沢進の曲がいくつかあって嬉しい。オープニングの「賢者のプロペラ3」はヒットメーカー!!でも使ってたよね。あれはカッコ良くて未だに覚えてる。今回もオープニングの動きがカッコ良かったなー。
アクションシーンの殺陣指導は案の定な岡田さん。神保町花月に貢献しすぎ!素手格闘もカッコ良く作れるのねぇ。鬼頭さんは夜ふかしの会で一番身体能力高いし、ピク兄も動けるし、派手でカッコ良かった。結構な段差を飛び乗ったり、身軽だわー。

夜ふかしの会コラボ、楽しかった。今度は三宅さんと砂川さんも是非。また出て欲しいな。

コメントを残す

*