藤山大樹「江戸手妻」

@座・高円寺2 19:30 A-11

YouTubeでたまたま見た七変化の演目に衝撃を受け、いつか生で見たいと思っていた藤山大樹さん。ようやく念願叶った!

幕が開くと、松の絵の屏風に赤い扇子が掛けてある。両脇には太鼓、ギター、尺八、バイオリン、琴。和の音楽に和装の藤山大樹さん。一気に世界に浸かる。

・松風
和傘、扇子。扇子の色がどんどん変わっていく光景は美しい。そして徐々に背後の松が完成していく。扇子の形は松葉の形のイメージと重なる。よく見ると大樹さんの羽織にも松の刺繍が!

・柱抜き
こよりの紐で固く縛った親指同士、なんだか紫色に変色してきて痛そう…。が、アシスタントの女性が構えた刀を通過する!お客さんに投げてもらったリングも!?このとき使っていたリングがプラスチックのままじゃなく和の装飾が施されていたのが素晴らしい。

生演奏を担当しているALIAKEとの出会いのきっかけになった公演で演奏していた曲を、琴の市川さんも交えて再編集して生演奏。尺八(このときオークラウロだったかな…)とバイオリンと琴のソロがカッコイイなぁ。

・紙片の曲
師匠に弟子入りして最初に覚えた手妻だとか。何も入っていない布の袋から出てくる卵。袋に入れたはずの卵が消える。紙のかたまりが卵に!

・蝶のたはむれ
扇子で紙を飛ばして蝶に見立てる。扇子の上で休んだり花の上で休んだり増えたり。一片の紙から蝶が作られる過程も、最後に元に戻るのも、不思議で美しい。

・七変化
待ってました!和傘を片手に面を着けた姿で登場。面が変わるたびに仕草や姿勢や歩き方まで変化する。角がポロッと取れるコメディが好き。いろんな表情、いろんな人間や物の怪に変化していく。中国の変面とも違った雰囲気で素晴らしい。

・変獣化魚術
幕前での演目。紙を割いていく。お椀に入れる。水を入れる。これは…紙うどん!!!正式名称こんななの!?イリュージョンミュージアムで名前と絵だけ見ていたので生で見られて嬉しい。お椀の中身が気になる…。

・紙幣の隠現
客席から千円札を貸してもらい、半紙に包み、焼き捨てる。でっかいろうそくの迫力、そして紙が燃える臭い。…灰の中に千円札無くない!?からのどんでん返し。シリアルナンバーを控えるときの筆記具が筆と墨壺なんだよ。矢立だろうか。こんなところまでこだわるの凄い。

生演奏のメイキング映像。オリジナル曲だからこそ、大樹さんが音楽のスピードを調整したりと共同作業をしていたようだ。琴を弾いている人、こんなだっけ?と思ってたら「ギター」と注釈が入った。琴の奏者は後ろで苦笑いしてるw

・双つ引き出し
上下にある引き出しを煙管(かな?)でカツンと叩くと白い玉。消えたり色が変わったり上の段に行ったり。玉だけじゃなく布まで!

・大祝梅セイロ
四角い箱から様々なものがどんどん出てくる。紅白梅が大量に出てくるあたりのスピード感が素晴らしい!最後にふさわしいド迫力な演目。でっかい扇子とでっかい傘は圧倒される。

和風のマジックをやる人は何組か見てるけど、手妻の継承者の生の演技を見たのは初めて。内容もだけど、ちょっとした道具にまで骨董品や切子のグラスを使ったりとこだわりが見て取れて感服。文化の継承ってこういうことだよなぁ。
生の舞台だけに映像のトラブルがあったり道具の調子が良くなかったりと一瞬不安になったりもしたけど、演技が始まったらそんなことは頭から消えてしまうね。良い舞台を見たなぁ。大満足!

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