空転劇場 Vol.20 軌跡は巡る

@浅草東洋館 19:30

なんと20回目だそうで。「空転劇場らしい」ラインナップとパンフレットに記載のある通り、出演者はジャグラー多め。ジャグリングオムニバスライブなのにジャグラーほとんどいなかったりするからね!原点回帰、良いと思います。

MCの小林さんと目黒さん登場。とうとう20回目スペシャルー!と声を揃える。舞台監督、MC、出演、と一番忙しいです!と目黒さんを指す小林さん。早くも変なテンションの目黒さん。
拍手ポイントの手引きのために、ついにボールを持ってきた目黒さん。オープニングから技を見せてくれる。練習になりました。

1.小幡亮哉
ディアボロ1個を回すだけでも、糸の途中を持って回したりと素人目にもトリッキーな技だらけ。スティックもディアボロも同時にバラバラに回転するのに、よくあんな綺麗にキャッチ出来るもんだ。凄い。
空転劇場といえばマニアックな技を繰り出す学生or社会人ジャグラーというイメージなので(最近はちょっと変わってきたけど)、この感じは好きだなぁ。

2.kein
ボール3個でコンタクト。パフォーマンスの9割は肩から先だけで行われている徹底ぶり。肩も指もめちゃくちゃ柔らかい。不気味と美しいの境界線を行く腕と指の動き。音楽に合わせてスピードや動き方が変化する。
イマドキなシュッとした若者な外見とは打って変わって、見入ってしまうようなストイックな動きが素晴らしい。中盤の速い動きのシーンが好きだったな。

3.ノエル
おさげ、ハット、ワンピース。機械仕掛けの人形のような動きから始まる8リング。可愛らしい外見からは想像も付かない精密な8リングの動きに驚く。正面から見たかった!
パフォーマンス後、8リングを胸元に抱えた姿を見て、あの8リングが人形のゼンマイを回すねじにも見えるな…とふと思う。

4.Yuho
空転劇場Tシャツを着た青年がデビルスティックを持って舞台にやってくる…そのまま始めた!無音!いっぺんに投げてキャッチしつつ技、という感じでたぶん難易度の高い技をずっとやってたと思う。そして歌った。わりと上手いのが逆に戸惑う。
10回以上見てきた空転劇場で、ここまで技術一辺倒かつ自由な人は初めて見た気がする。練習かな!?その後のMCで経歴が紹介された。開成高校卒業、東大文学部、大学院修士課程修了、春から大学で先生だそうで。ノンフィクション凄いw

5.2K<ドゥーカー>
タンクトップにワイシャツに黒のパンツという揃えた衣装のバトントワラー2人。左右に分かれてまったく同じ技をシンクロしたり、連続で同じ技をやったり。速いピルエットもサラリと回る側宙もカッコイイし、とんでもないスピードで回転するバトンを投げ渡すの凄すぎる!あのスピードで回転するバトンを背中の後ろで投げて前を見据えたまま反対の手で後ろ手にキャッチとかどんな離れ業なんだ…。バトンを電気のスイッチに見立てて照明を消すのも面白い。そこからの両端が赤く光るバトンを使った技も綺麗だった。回転が速すぎて軌道が円に見える…。
競技バトンでコンビで複数本を投げ渡すとか、そういう演目は無いのでかなり貴重なコンビなんだとか。空転劇場のためにコンビを組んで出てくれたらしい。新境地、もっと見てみたい!

6.目黒陽介・ハチロウ
休憩明け、時間を気にしつつもボールを投げ始める目黒さん。背後に置かれた椅子に座っているハチロウさん。ボールをキャッチした目黒さんが後ろを見て、正面を見つめるハチロウさんに気付く…。隣に座った目黒さん、ボール1個を落としたり途中で取られたりまた戻されたり。足の下を通したり狐が現れたり、ついには立ち上がって3個ずつ。正面を向くハチロウさんの背後から手を出してボールを取ったり入れたりな目黒さん、影として綺麗にハチロウさんの動きとシンクロしてるの凄かった。向かい合わせだったり左右に分かれたり、緩急ある舞台の使い方と見る場所が明確な演出が素晴らしい。
途中から、このショーがどうやって終わるのかとても気になっていた。目黒さんが客席に背を向けたまま5個を回している姿をハチロウさんがただ見ている、というラスト。暗転した瞬間、思わずため息が出た。美しい…!
ながめくらしつとはまた違う、ボール技をふんだんに盛り込んでも無理のない技術力と身体の動きの多様さ。目黒さんの創る世界、演出する舞台が好きなんだなぁと実感する。それを余すところなく体現するハチロウさんもカッコイイ!

7.Syan
和装のSyanさん、手をパンと叩いて舞う白い粉まで美しい所作はさすが。扇子に付ける紅い梅の花、金の折り鶴、小さな舞妓さん。細かく細かく捻られて、最後まで何を作っているのかわからない精巧さが凄まじい。組み合わせた花弁を捻って重ねていく技術にどよめく客席。完成したバルーンを割っていくとどんどん桜吹雪が舞う演出はめちゃくちゃ美しい!紅いバルーンをたすき掛けにしてしまうのもバルーンパフォーマーらしくて良いな。ラストの歌舞伎が凄すぎた。大きな風呂敷に包まれた丸いバルーンの籠の中から現れる!
終演後に会場外のホールに飾っておいてくれた歌舞伎を間近で見てきた。刀のツバとか隈取とか髪や着物や飾りに至るまで精巧すぎる。一体どうやって作っているのか…。

8.小林智裕
リングを4本、舞台上に設置されたパネルに吊るす。舞台が暗くなり…光った!ただの点滅や色替えだけではなく、光が4本のリングを移動していったり、リングを空間に固定して移動する光を操ったり。リングを舞台上に置いて回転させると空転劇場の文字が浮かび上がる。投げたり転がしたりしているリングが点滅していたり色が変わったり、見たことのない世界に魅了された。パネルに吊るしたリングから小林さんの指先に光が移動、それを投げ返して再びリングに光が移るシーンが好き。ワー!!!と叫んで光を灯すシーンは笑っちゃったけどカッコ良かったなぁ。ただ光らせてるだけじゃなく、ちゃんとリングの技術も凄いんだからさらにカッコイイ。垂直回転の両手技が何度見ても意味わからなくて凄い!
タイトルの軌跡は巡る、小林さんのこの演技ありきなのかタイトルが先なのかわからないけど、20回スペシャルのトリに相応しい華やかなパフォーマンスだった。ビジュアルポイの平面で文字を出すのは他でも見るけど、リングの横回転で文字を出す立体は初めて見た。どうなってるんだ…。

エンディング。恒例の記念撮影では、紅一点のノエルさんを真ん中に。ちゃっかり隣に座るハチロウさんに突っ込むMC。出演者たちの背後では、小林さんの手を離れたリングがずっと色を変え続けていた。

なんだかんだで13回目の空転劇場。半分以上見てたら常連だろうか。いつも新しい世界が開けるので大好きな公演、今回はMC2人がジャグリングということでとても楽しみにしていた。どちらも新技で挑む気合いの入れよう。MCのときはあんなに和やかで楽しい2人なのに、本業になると別方向にどちらも美しいパフォーマンス。良いものを見た。
目黒さんは昔々からあの不思議で優雅な世界が大好きだし、小林さんは独自の世界を作り出すリング技が素晴らしい。そりゃ空転劇場常連にもなりますわな。とはいえ、マニアックジャグリングはいまいちわからないけど!
Syanさんのあとにモップで1人片付ける目黒さんが不憫でw次は小林さんだからいいか…と雑になりかけるも気になる性分なのか小さな紙吹雪も拾い上げる。
今回はバトンコンビが新境地でお気に入り。競技バトン気になるけど、今日のパフォーマンスを見ちゃったら競技だけじゃ物足りないかもなぁ。もっとあんな感じのパフォーマンス見たい!
次は4月か5月?早めにスケジュール決まってくれるとありがたいな…出演者が誰になったとしても見たい公演なんだ。

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