神保町花月「たましい屋さん」

@神保町花月 16:00 B14

千秋楽1つ前の公演を見てきた。初日と比べてずいぶん笑い要素を詰め込んだようだ。ストーリー覚書。

結婚を控えた有(佐久間)と今日子(阿部)は、宝くじ売り場に並んでいた。そこへ車が突っ込み、有は意識不明の重体。
目を開けた有がいたのは、「死界覚」と呼ばれる天国と生界との境目。「たましい屋さん」関東エリアマネージャーのジュリ(シューレスジョー)は、天国に行って安らかに眠るか、生き返るために魂(コン)を108個集めるかの選択を迫る。当然生き返ることを選択した有。しかし心から感謝をされて初めて手に入る魂を集めるのは、並大抵のことではなかった。魂を集めない限り死界覚に留まるため、原始人(東海林)までウロウロしている。
今日子の幼なじみのみき(坂口)は、男にモテ幸せな生活を送る今日子を恨んでいた。同じく有を恨む有の友人の康介(小林)とともに、今日子を追い詰める計画を立てる。
海で溺れて死んだハチ(橘)とナナ(光永)の親子、豊胸手術を麻酔無しで受け死んだオカマのヤン(田中)、戦争中に死んだ小松(小三郎)、実は暗殺ではなく事故死だった坂本龍馬(先川)。彼らは有の心に触れ、有のために死界覚の規律を破ってまで、有と今日子を助けようとする。
死界覚にいる人間が生界のモノに触れると、即地獄行き。死神のヘル(西島)が雷鳴と共に現れ、最終的には有以外の全ての人間を連れて行ってしまった。
生き返った有が見たものは、今日子の葬式だった。有が奇跡的な復活を遂げる直前、飛び降り自殺をした今日子。有もそれを追い、ヘルに連れ去られる。
たどり着いた地獄は、みんなが酒を飲み明るく騒ぐ呑気な場所だった。ヘルは自分の顔が怖くて誤解されていると文句を言う。
みきと康介は宝くじ売り場に並んでいた。ジュリが2人に声を掛けると、周りを取り囲む地獄の住人たち。その中央には、有と今日子がいた。

ずいぶん端折ったけど、ストーリーはだいたいこんな感じでしょう。
ハチナナ親子の愛情とか、ヤンの母性とか、龍馬や小松の男気とか、泣かせる展開も多かった。ジュリも有にドナーになったと嘘をついて魂を大量に渡したわけだし。
有の両親以外はみんな結局ハッピーエンドなのかな。みきと康介も最後に脅されてたようだけど、生界に邪魔者はいなくなってるんだしねぇ。

シューさんと橘さんと小林さんが上手いのは神保町で何度か見て知ってるんだけど、先川さんもイイな…。途中まで全然喋らない役なんだけど、正体をバラしてからのカッコ良さが印象的。
田中さんはもう立ってるだけでいいよー。青いロングドレス素敵。脚長いよ。スタイル良すぎだよ。今までにない役だけど、オカマ似合うんじゃないかな?小林さんはドMの役で活き活きしてたし、ライパッチはイロモノが似合うコンビだねぇ。橘さんの「男前の無駄遣い」ってセリフ好きだったのに、無くなってたな…。
しかし今回は西島さんの死神がダントツ目立ってた。DEATH NOTEのリュークを参考にしたと思われる、白塗りに黒いアイラインと口紅。爪まで黒く塗ってた。白いシャツに黒いファーとマント。ピンクのドクロのペンダントが可愛さアピールか!?「GO TO HELL」の決めゼリフと共に人間を連れ去るんだけど、暗闇に立ち昇る光の中、大きく両手を広げて天を向く姿は長身とスタイルの良さも相俟って美しい。今までで一番のハマり役だと思う。人外が似合うってなんだ。

舞台セットがちょっと変わっていて、蜘蛛の巣を模した壁の中心には、黒い透け素材の布(?)が床から天井までぶち抜いている。それが宝くじ売り場だったりたましい屋さんだったり生界への入り口だったり地獄への入り口だったり、照明で上手く切り替えて使われていて、見たことのない演出に度肝を抜かれた。
オープニングとエンディングの出演者が両側から歩いたり止まったりのストップモーションがカッコイイ。小林さんは背筋が綺麗に伸びていて動きがブレないね。
エンディングで掛かっていた曲が、輪廻をテーマにしたものでニヤリ。歌詞の意味まで考えて使ってるんだね。そりゃそうか。
演出と西島さんを見るために2回も見に行ってしまった…。ま、ライパッチの新境地も見られたし、良かった良かった。

[ロタティオン – 平沢進]

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