@神保町花月 19:00 A13
開演前、BGM代わりに聞こえるのは、洞窟に響くような水滴の音。舞台に張られたcaution do not enterのテープ。カコーンという音とともに、轟音が静まり返った会場に響き渡る。
「深い、深い、深い、深い――」
リョウタ(長谷川)とサトシ(つよし)とトオル(村上)は、自分たちの通う孤児院・ひまわり園の借金を返すため、園長(佐助)の部屋から持ち出した地図を頼りに、地底人の伝説の残る洞窟へとやってきた。
岩肌が連続するオープニング映像。血のような赤い文字、炎、どことなく不気味な雰囲気。
洞窟の中では、沢村(桑原)が人生に絶望し首吊り自殺しようとしていた。首に巻いたロープを持ってどこかに引っ掛けようとしていると、3人が入ってくる。3人は沢村を気味悪がり、違う場所へと去って行く。
そこへ、銀行から盗んだ金を隠しに、兄弟が入ってきた。兄(竹内)は沢村を殺そうとするが、自殺志願者の彼は、是非!と殺されたがる。弟のカズヤ(ジェントル)とともに、沢村を連れて金を隠す場所を探しに行く。
売れない映画監督の井出(長澤)と助手の八木(三須)は、撮影のために洞窟へとやってきた。
全員が集まってしまい、銀行強盗の兄に宝を見つけろと拳銃で脅される。弟が妙なスイッチを押したため、洞窟の入り口が崩落し、出られなくなってしまった。
リョウタが地底人(野田)から受け取った鍵で開けた横穴に井出が入り、何故かモグラと仲良くなった。地底人から、モグラを介して宝のありかのヒントを受け取った彼らは、2人ずつに別れて宝を探しに行く。
兄は、逃走中に銃弾を受けていた。謝るカズヤに、弟を守るのは当然だと頭を撫でる。そんな兄弟の姿を、地底人が見守っていた。轟音と共に、「お前だけでも逃げろ!」という地底人の声が響く。
トオルが消え、サトシが消え、戻ってきた八木はカズヤの頭をスコップで殴り倒した。よくやった!と駆け寄る井出に奪った銃を向ける。
彼らの映画会社は、スポンサーからも見離され借金を抱えていた。井出にこき使われる日々に嫌気がさし、八木は宝も金も奪って逃げようとしていた。自分を撃てと迫る沢村に銃を向けるも、引き金を引くことはできなかった。
兄が銃を奪い返すが、その銃はすでに弾切れだった。
暗号を解読したリョウタは、洞窟の天井に宝があることを知る。岩をずらすと、光が射し込む。地底人にとっては、この光こそが宝だった。
八木に殴られたトオルとサトシは、地底人に助けられ戻ってきた。彼もこの光が見たかったと言う。
カズヤが銀行を襲ったときのダイナマイトを入り口に投げると、洞窟が崩れだした。逃げ出す人々の中、井出はモグラたちを抱えていた。リョウタは立ち止まり、地底人に向かって早く逃げろと声を掛ける。しかし地底人は首を横に振り、リョウタに向かって何かを言った。リョウタがサトシに連れられて洞窟を出て行くと、地底人は射し込む光を嬉しそうに見上げた。
階段の先に光が射している映像に、エンドロールが流れる。兄弟は金を持ってアメリカに逃げる計画を立て、井出と八木は101匹モグちゃんという映画を撮る決意をし、3人はどうにかひまわり園の借金を返そうと次の手を考える約束をしていた。リョウタは、あの人物は地底人ではなく人間ではないかと考えていた。そして、彼が3人にしか見えていなかったことにも気付く。
孤児院の園長にひたすら謝る3人。ようやく解放されたが、リョウタは1人そこに残った。地図を返し、地底人はいなかったと報告する。
園長は、地底人伝説の真実を語り出した。身分差別による迫害で村を追われた人々は、洞窟に住むようになった。大人たちは宝を見ては地上を懐かしんでいた。しかし偶然宝を見つけてしまった子どもが、地上の存在を疑いだす。一生を洞窟で終えるなら、地上の存在を教える必要は無いと大人たちは考えていた。子どもたちが起こした暴動は大人の手によって終結するが、唯一の出入り口を崩落させてしまう。それからどうなったのか、園長も知らないと言う。
「不思議な人に出会ったんだ」「そうか」「僕たちはその人に導かれたんだ」「そうか」「その人、嬉しそうに光を見てた」「そうか」「弟によろしく、って言ってた」「そうか」
サトシに呼ばれたリョウタが去っていくと、園長は遠くを見て目を細めた。
「兄さん、宝…見れたんだね」
沢村は、様々な悩みや境遇を抱える人々に出会い、生きる気力を取り戻していた。が、彼はまだ洞窟にいる。「置いてかれたーーー!」
そこへやってきた地底人…園長の兄は、沢村にイタズラを仕掛ける。しかし沢村には彼の姿は見えていない。ポルターガイストに対抗しようとする沢村。
ざっくり書いたつもりが超長くなった。いつものことよね。
弟がスイッチを押したあとにもう一度八木ちゃんがスイッチを押すんだけど、ここで「LOVE&JOY」が流れて全員で踊り狂うというくだりがあったり。カテコ後にメンバー紹介をしてはけた後にも踊り出したり、ビックリするような明るい演出が盛りだくさんだった。沢村が壁から出てくるモグラをひたすら叩いたり、モグラの代わりに井出が出てきたり。
井出は「ハゲてるジョーンズ」というパクり作品が代表作なんだけど、公演チラシがこの作品の紹介になっている。公演を見る前は何コレ?なんだけど、見終わってからだと納得w
ハゲてるジョーンズのメイクでひたすら笑わされたり、銀行強盗兄弟の「あんちゃんカッコイー!」「カッキーン」が微笑ましかったり、ひたすら気持ち悪いキャラを貫く沢村を不憫に思ったり。
笑いの多いストーリーではあるんだけど、ラストの園長の独白、超長台詞ですべての真相がわかって涙が出てきた。「そうか」という言い方に感情が篭ってて、地底人が兄弟をジッと見てた理由がわかって、一気に泣ける。直後に置いてかれた沢村と地底人の攻防で笑わされるんだけど。
最後まで謎を残して、長台詞で一気に回収って凄い演出。相当な演技力が要求されると思うんだけど、佐助さん見事だったな…。
ミルクラも自分たちで言っちゃってたけど、演技上手かった。ジェンさんが吹っ飛ばされるマイムとか、異様に上手い。見てて本当に怖くなるくらいに真に迫ってた。
首に巻いたロープを引きずり回されてた桑原さんもキツかったと思う。ムチ打ちになってないといいけど。彼の声のトーンで、一気にシリアスや笑いに方向転換できるのが素晴らしい。気色悪いって言われまくってたけど、千秋楽のカテコで、このボケを自分で台本に書き足したとわかってさらに言われていたw今回の台本、長谷川さんが言ったことを桑原さんが打ってくれたらしい。クレパトの共同作業だったんだ。
コメディっぽいBGMだったりシリアスなBGMだったり、色んな音がふんだんに使われていて驚いた。こだわってるなぁ。
たくさん笑って最後に泣けて、ダンスも楽しかったし、良い公演だった。
桑原さん脚本、長谷川さん演出、なんてのも見てみたくなった。いつかやってくれるといいな。
長谷川さんがエンディングの曲が凄い歌詞なんだよ、とポツリと呟いていたので聞いてみる。ストーリーに合わせてるんだね。
[空、星、海の夜 – The Back Horn]
深々のOPの曲を知りたいのですが誰が歌ってるかわかりますか??
THE NOVEMBERS「dnim」です。オープニングもカッコ良かったですねぇ。
ありがとうございます。
OP素敵でした!
曲名がわかり嬉しいです★