@神保町花月 16:00 C14
2ヶ月公演の千秋楽。前編はまとめたので、後編もまとめ。
礼拝堂でお祈りをしている仁(まさよし)、寝坊して駆け込んでくる忠男(じろう)。当番になっている掃除をしようとするが、すべて義一(デンペー)がやってしまっていた。ボロボロだった礼拝堂の壁も綺麗に塗り替えている。
礼次(忍)が、数日後に控えたチャリティーイベントのチラシを持ってきた。チラシのイラストも義一が描いたらしい。仁に褒められる義一に嫉妬する忠男。
チャリティーに先駆けて、仁はみんなに課題を出した。自分のために、何か奉仕をすること。
仁は義一に、壁に絵を描いてくれと頼む。義一は桜の絵を描き始めた。
バザーに出品する物を探すため、仁は部屋の掃除を始めた。ボロボロの算数の参考書に興味を示す悌介(佐藤)。九九すら出来なかった参考書の持ち主が、今では結婚して幸せな日々を送っていることを知り、自分も勉強してみようと参考書を読み始める。それを知った智己(近藤)は、悌介に7の段を教えることにする。
孝太(椎橋)は、母親に新しい男が出来たと嘆いている。自分が稼げないから、金持ちの男の方がいいんだ!と泣き喚く。義一にバカにされ、必死で仕事を探し始める。
信吾(中村)は、外に出てみようと新しいワイシャツに着替えた。チサト(松浦)が誕生日プレゼントにあげたものだった。喫茶店に出かけようとする信吾に付いていこうとするが、アマミ(小川)が一緒に行くことを知り、引き下がった。
悌介はついに7の段を習得した。智己のおかげだとお礼を言うと、智己はみんなの前で披露しようと提案する。自力で7の段を言い切った悌介と抱き合う智己。
智己は仁に、東大ではなく教育大学へ行って小学校の先生になると宣言する。
アマミが立ち上がり、妊娠していることを告白した。子どもの父親と別れてしまったので新しい男を見つけようとしていたが、自立して自分で育てると言う。
信吾はショックを受けてチサトを邪険に扱ってしまう。仁は信吾に、チサトの気持ちを考えろと諭す。翌日、信吾はチサトに謝り、これからは俺が守ると抱き締めた。
掃除中にうっかり捨ててしまった「深呼吸の家」のアルバムを、忠男が持ち帰ってきた。みんなで見ていると、ヒョロヒョロの気弱そうな青年が誰かに似ていることに気付く。礼次は、自慢気に話していた暴走族の話はすべて嘘だと謝る。恥ずかしいと落ち込む礼次に、義一は、昔弱かった人間に強くなれと言われる方が頑張れると宥める。
義一は、仁に完成した絵を見せる。桜吹雪の中、笑顔で両手を挙げる高校生が描かれていた。華やかになったと喜ぶ仁に、俺はこいつを殺したんだ、と告白する。義一が不良仲間とカツアゲした高校生は、直後に自殺した。大切にしていたらしい時計に書かれていた「Deep breathing」という文字は、深呼吸という意味。絵の中の高校生は、仁の弟だった。
それを聞いてしまった忠男は、義一に殴りかかる。仁は、同じ生きるなら、憎む生き方より許す生き方を選ぶと言う。義一を恨んではいない、過去のことで苦しんだのはどちらも一緒だと。一緒に乗り越えよう。
スーツ姿の孝太が入ってきた。仕事が決まったと報告。みんなで喜んでいると、アマミがケーキを持って入ってきた。今日は忠男の50歳の誕生日。
忠男は、みんなにタメ口で話すと宣言。「俺たち、家族だろ」
泣いた。号泣ではなくて、ジワジワ来る感じ。ファミリーものにはわりと弱い。
仁が義一を恨んでいないと言うところ、忠男の俺たち家族だろ、智己の教育大学へ行く宣言、悌介が智己に感謝するところ。複数回見ると、展開を想像して泣ける。
近藤さんの智己が一番好きだなぁ。学歴主義で人を見下していた智己が、九九すら言えなかった悌介が勉強を始めたのを見て、気持ちや態度が変わっていくのが垣間見えてすごく良かった。中一でドロップアウトした悌介の話を聞いて、小学校の先生になろうとするのもいいよね。
暗い過去を持つ義一はカッコ良かったし、おバカで素直で明るい悌介は可愛かったし、登場人物に愛着が沸く公演だった。
前編は家族みたい、後編は家族だろ、忠男のセリフで繋がっている。
まさよしさんが怪獣で遊んでいるのをデンペーさんが見ている、っていうシーンが好き。デンペーさんの役では呆れてる感じの態度なんだけど、すごーく優しい目で見ていたのが印象的。
今回はサカイストだけが舞台にいるシーンが多くて、2人ともカッコ良かった。シリアスなシーンも遊んでるシーンも、安心して見ていられる。
シソンヌだけの幕間シーンも好きだった。怪獣にシノブとジロウという名前が付いていて、義一に嫉妬した忠男がシノブを持ち去ってしまうシーン。シノブさんは僕のものです!っていうセリフで拍手が沸き起こる。その後のシソンヌの掛け合いはコントだった。
壁の絵はメメの堀さんが描いたもの。劇中に義一が「Deep breathing」と書き足すんだけど、毎回どうやって消していたのか不思議。上からスプレーとかで塗り消したんだろうか。裏方技術が気になる。
複数回公演は冗長になるし飽きやすいけど、キャラクターには愛着が沸く。4月からまたシソンヌと御茶ノ水男子が3連続公演に入ってるけど、どんな感じになるのやら。次はあわよくばも一緒だから、紅十しか思い浮かばないね。