@神保町花月 19:00 B1
たくさん泣いてたくさん笑った素晴らしい公演。セリフの掛け合いが多いので、説明を極力省きセリフばかりな超大作まとめ。
トランプのマークが飾られた机で作業している、ツナギ姿の男5人。
台の上に乗って指示を出している白いツナギの男。
機械音が止まり、作業が終了した。白いツナギの男が叫ぶ。
エクセレント!!
ワイシャツに蝶ネクタイのスグル(関町/「セリフ」)と一緒に、ポーカーで遊んでいるジャケットを着た青年(田所/『セリフ』)。
「腹減らない?」『減ってるよ、なかなか9時間もトランプやらないぞ?』「いいんだよ、時間の無駄遣いはニートの特権だ。」
『来週誕生日だな。いくつになるんだ?』「一緒だろ。」『ハタチか。そろそろヤバくない?両親に悪いと思わないのか?世界中から注文が来るアンティークのオモチャ工場がもったいないだろ!』「セイヤ兄ちゃんがロサンゼルスから戻ってきたら継ぐからいいんだよ。兄貴はオモチャ作りの天才なんだ!」『いつ戻って来るんだよ。』「知らないよ。」
「シッ、聞こえた?」『聞こえた。』「ここ2階だよ。作業場は離れにあるのに。なんなんだよ、エクセレントって。あれ聞くと鬱が進むんだよ。」『でもおまえ、小さい頃は好きだっただろ。』「今は昔ってやつ?なー、カメジロウ。」『次男かどうかわからないカメにカメジロウなんて名前付けてさ。』「3年前の夏、熱いアスファルトの上を歩いてたんだ。なんだか自分みたいでさ。でもこいつすぐ逃げようとするんだ。」『おまえにソックリだな。』「でも勇気がなくて逃げられないんだ。あの熱いアスファルトを知ってしまったから。」『それもソックリだな!』
「うるさいな、おまえこそ働けよ。」『俺はおまえが働いたら働くよ。身体が言うこときかないんだよ。心の病気なんだよ。働きたい気持ちに溢れてますけど!』
『夕飯なんだろうな。』「もう帰れよ。」『おまえが働いたら帰るよ。』「…一緒に食べよう。」『エクセレント!!』
映像。スグルがオモチャに囲まれて遊んでいる。ブリキのロボット、うさぎのぬいぐるみ、ピコピコハンマー、スマイル柄ボール、大きなハート、白いバラ。
すごろくのマークが飾られた背景。お手玉をしている白いツナギの父(五明)と母(伊藤)。
注文を順番に受けて行くのがあんたのやり方だろう?1週間でブリキのオモチャ1000個だなんて無茶だよ。
仕方ないだろう!ブータン王国からの発注なんだ。おまえがキスしてくれたら頑張れるんだけどな。髪を解く父。昼間から何バカなことしてるんだい。…仕方ないねぇ。髪を解く母。
親方ー!黒いツナギのモモタロウ(林)が入ってくる。
4月1日までにブリキのオモチャ1000個だ。ブータン王国のために残業祭りといきますか!モモさんはウチで25年以上働いてくれてるよな。ありがとうな。
4月1日はスグルぼっちゃんの誕生日ですね。最近どうですか。相変わらずだよ。時間が解決してくれるさ。私は悔しいんですよ!明るかったぼっちゃんが、あんなになっちゃって。
そこへスグルが入ってくる。
スグル、散歩か?デートか?「…別に。」今日も絶好調だな!ねぇスグル、ナミちゃんの家へカボチャを持って行ってくれない?「行かないよ。」あのカボチャ大きいからお母さんには大変かもな。「持っていかなきゃいいだろ。」
ぼっちゃん、お願いです、オモチャ作りの修行を開始してください。「セイヤ兄ちゃんが戻ってきたら継ぐんだから、やる意味ないだろう。」今はスグルぼっちゃんの話をしてるんです。ぼっちゃんはこの3年間、いったいなにをしてたんですか?「毎日毎日生きてたよ。」
いいのよモモさん、私がカボチャを持って行けばいいんだから。この話はおしまい!
じゃあせめてカボチャを持って行ってください!「…わかったよ。アツいんだよ。」
1メートルはあろうかというカボチャを抱えているスグルたち。
『デカくない?』「デカいね。」『ナミの家までもうすぐだ、休まない?』「そうだな。」
「あーあ、死にたい。」『本当は?』「怖くて死ねない。」『言い過ぎじゃない?』「聞いてた?」『お父さんやお母さんのこと好きなんだろ。』「わかりきったこと聞かないでよ。」
そこへマダラ(佐藤)がやってくる。そのカボチャくれよ。西洋の祭りみたいに投げるんだよ。『今投げればいいだろ。』オーバーオール着てないからダメなんだよ!
じゃあそのペンダントくれよ。「これは兄貴からもらったものだからダメだ。」ああ、あのどっか行ってる兄貴か。いつ戻ってくんだよ。「もうすぐだよ。」
スグル、おまえとナミはどういう関係なんだ。「ただの幼なじみだけど。」嘘吐け!執事に調べさせたんだよ。どうやら好きな男がいるようだ。ナミは高校時代おまえと付き合ってたらしいな。『おまえ以外全員知ってたけどな。』うるさい!ナミはうちの屋敷で働いてるんだ。ナミの父親もうちの屋敷で働いてる。どういうことかわかるか?婚約してるってことだよ!『違うだろう。カボチャもペンダントもナミもおまえには渡さない!』うるせぇんだよ!
スグルに殴る蹴るの暴行をするマダラ。カボチャはもらっていくからな!カボチャを抱えて去って行く。
『痛いでしょう。』「少しだけ。」『やっちゃえば良かったのに。俺にやらせてくれたら余裕だったのに、なんで止めたんだよ。』「これは僕の問題だ。」『そういうの意外と相手を傷つけてるぞ。』「かもね。」
そこへナミ(工藤)がやってくる。スグルどうしたの!?「マダラに殴られただけだよ。」あいつほんと気持ち悪い!あれでハタチって。「ナミ、まだ僕のこと好きなの?」なにその二枚目発言!自分から振ったくせに!今もなにもしてないの?いいんじゃない?スグルはスグルだし。あたしはあたしだし。
あれ、うちになにか用事だった?「いや、ただの散歩。」そっか。じゃあね。
「ナミ!僕はあのときから時が止まってしまったけど、ナミは動き続けてるよね。」
『おまえなんなんだよ。高校行かなくなって、勝手に辞めて、ナミのこと振って。毎日俺とダラダラしてさ。』「僕は、ブリキのオモチャだよ。おまえだって僕と同じような生活してるじゃないか。おまえこそ誰なんだよ。」『俺は…俺だ!』
オモチャ工場の作業場。青いツナギのノブナガ(小林)、ピンクのツナギのポポ(益田)がぐったりしている。赤いツナギのキスケ(寺内)は2人を見て笑っている。黒いツナギのモモはサイコロを振っている。
おまえらだらしないぞ!親方が30代の頃はもっと凄かったんだからな!
そういえばここの作業員って、ここぞってときにワイシャツと蝶ネクタイ着るじゃないですか。あれはいつからですか?キスケの質問に首を捻るモモ。ツバサが入ってきた頃だから、20年前か。
あれ?そういえばツバサさんは?丘の方に行きましたよ。また歌ってるんだろ。
セイヤぼっちゃんとスグルぼっちゃんはオモチャ作りのサラブレッドなんですね。2人は子供の頃から作業場に入り浸ってましたからね。
キスケがセイヤの指示出しを再現する。懐かしがるモモ。
スグルぼっちゃんの指示出しも凄かったぞ。ポンポンポンってリズムでな。調子が出てくると一回転するんだ。
スグルぼっちゃんもセイヤぼっちゃんに負けないように頑張るんだけど、なかなかできなくてよく泣いてましたね。明るくて負けん気が強くて、スグルぼっちゃんが作業場に来るとパッと明るくなったんだ。
ポポが口を開く。セイヤぼっちゃんがアメリカに行く前って、今の親方を100とするとどれくらいだったんですか?そうだな、65くらいかな。じゃあスグルぼっちゃんは?55くらいかな。
そういえば、スグルぼっちゃんはセイヤぼっちゃんが死んだこと、知ってるんですよね?ああ、もちろん知ってはいるさ。
三日月の見える丘の上。グレーのツナギのツバサ(田畑)がひとり歌っている。
《お兄ちゃん!やっぱりスゴいね!》《お兄ちゃん!ズルいよ!》《お兄ちゃん、ママの風邪治るかな?》《お兄ちゃん!強いね強いね!》《お兄ちゃん!ビー玉あげるね!!!》
両親とツバサがワニワニパニックで遊んでいる。ツバサももう20年か。はい、21歳でお世話になって、今年でもう41歳です。そろそろみんな疲れてきてるか?いえ、バテてるのは若い2人だけで、モモさんと自分とキスケはまだまだ余裕ですよ。頼もしいな!
そこへナミが入ってくる。この間スグルが怪我して帰って来ませんでした?あれはケンカのアザだな。マダラにやられたんです。
ナミちゃんはスグルと別れてるのよね?どっちから?スグルからです。3年前の4月1日、スグルの誕生日にメールが来て、学校も辞めるし別れてくれって。まだスグルのことを好きっていう奇跡は無いもんかね?
スグルのことは、まだ好きっていうか、スグル以外は好きにならないっていう確信があるっていうか、明るくて優しくて小さい頃から一緒にいて、スグルが一番辛い時期にそばにいられる権利を剥奪されたことがはがゆいっていうか、そのことはスグルがスグルに戻ったときに殴ろうって思ってます。
ありがとう!ナミに抱きつく母。土下座する父。やめてください、おじさま、おばさま!
今日来たのは、3月29日だからなんです。お線香あげてもいいですか?ああ、セイヤも喜ぶさ。ナミちゃん、これを読んで欲しいの。セイヤ兄ちゃんからの手紙?ええ。遺体の横に置いてあったの。餓死する直前に書いたんでしょうね。なんでビリビリなんですか?スグルが読んでる途中に破っちまってな。最後まで読んだらセイヤが死んだことを認めるようで怖かったんだろ。
「ブレーメンって曲があってね、作曲家の青年が死んじゃうんだ。でも歌は生きていて、青年の故郷に届いて鳴り響くって歌なんだ。セイヤ兄ちゃんに教えてもらったんだけど、僕らの一番好きな歌!だって僕らの夢は、世界中の子どもたちに僕らの作ったオモチャで笑顔になってもらうことだから!」
『夢の話なんてらしくないじゃん。命日だからか?』「そんなんじゃないよ。」『今日ナミ来てるよな?まだ好きなんだろ?』「まだとかじゃないよ。なーカメジロウ?また逃げようとしてるよ。3年も経つのにまだ慣れないのかな。」『3年経っても自分の居場所じゃなかったら逃げ出すだろ。』「熱いアスファルトを知ってしまったから逃げないよ。」『おまえはカメをなめてる。』「なめてはいないよ。」『で?なんで急に夢の話をしたんだ?』
「僕は、セイヤ兄ちゃんにオモチャ作りで一度も勝ったことが無かったんだ。」
マダラと対峙しているスグル。「ナミの仕事のことってなに?」
明後日4月1日までに現金で10万用意しろ。持って来なかったら、ナミと俺が付き合うことをおまえが認めたとみなす。スグルに殴る蹴るの暴行をするマダラ。金持ちはな、欲が止まらないから金持ちなんだよ!金でなんでも手に入れてきた。でもひとつだけ手に入らないものがある。人の気持ちだ!俺は、ナミを愛してるんだ!
「どこ行ってたんだよ?」『話を聞くのも嫌だから、隠れてたんだよ。』
ナミがやってくる。またー?あいつクスリやってるって噂もあるから、近付かない方がいいわよ。じゃあね。
「ナミ!寄り戻そうか?」
ごめんなさい!はい、さようなら。
『おまえなんなんだよ。』「僕は、スグルだった人だよ。そういうおまえは誰なんだ?」『俺は…俺だ!』
映像。マダラがオーバーオールを着て巨大なカボチャを投げている。
作業場にいるスグルたち。
『あと1日だけどどうすんの?』「金を用意する必要が無いよ。」『だな。』
そこへモモタロウが入ってくる。あれ!?スグルぼっちゃんじゃないですか!作業場に来るなんて珍しい!
何も言わず立ち去ろうとするスグルと入り口の間に立ち塞がる青年。モモと向き合うスグル。作業台に座る青年。
あれ?500個のオモチャのダンボールが置きっ放しだ!ポポのやつに倉庫に入れるように頼んでおいたのに忘れやがった。ぼっちゃん、お願いできませんかね?「やだよ。なんで僕が。」このモモタロウ、久しぶりにぼっちゃんの力自慢を見たくなりましてね。「見てないで手伝えよ。」
人間って生き物は、言葉なんていらないんじゃないかと思うんです。ぼっちゃんに言葉をおかけにならなくても、親方とおかみさんの愛情は、伝わってるんじゃないですか?
『伝わってるよ。』
ああ、やっぱり!ありがとうございます。久しぶりにぼっちゃんに会えた気がします。
「勝手に言うなよ!」『俺も我慢の限界ってことだよ!』
「モモさん、最近指が動かないことがあるでしょ。病院行った方がいいよ。」なんでぼっちゃんがそれを…。「作業場の音が聞こえてきたとき、モモさんの工程だけ音がずれてたから。それだけ。」ぼっちゃんには何も隠せないや!「ダンボール、今日だけね。」
スグルたちが立ち去る。
もうすぐかもしれませんね、セイヤぼっちゃん。
ポポが入ってくる。
すみません、ダンボール片すの忘れてました!今日はもういいぞ。
そういえば、セイヤぼっちゃんの死因ってなんですか?餓死だ。働いてた工場が潰れちまってな。親方やおかみさんに連絡をすれば…。できなかったんだよ。長男のプライドってやつだな。スグルぼっちゃんのヒーローでいたかったんだよ。スグルぼっちゃんはそれを…?知らなくていいことだよ。
もうひとつ気になってるんですけど、セイヤぼっちゃんとスグルぼっちゃんは何歳差でしたっけ?5歳差だ。じゃあ、セイヤぼっちゃんが18歳で今の親方の65パーだったときって…。13歳だ。え!?そうだ、スグルぼっちゃんを知る人はみんなわかっていることだ。スグルぼっちゃんこそ、本当のオモチャの天才なんだよ!
《言葉が無くても届くもの》
すごろくのマークが飾られた背景。真ん中の赤丸だったところが、赤いハートになっている。
なんで祭りでカボチャ投げんのかね?テレビを見ている母。そこへ戻って来るスグル。
今日の分は倉庫に入ってたかい?「入れておいたよ。」入れておいた?「いや、入ってた。」よかった、雨が降りそうだからね。
「お父さんに腰に気を付けるように言っておいて。」わかった、言っておくわね。明日あたり、作業を手伝うかい?「やらない。エクセレントって言葉がキラキラしすぎてて嫌いなんだよ。」なに言ってるの。スグルが言い出したんじゃないか。「…え?」
雷鳴。
スグルが3歳くらいの頃かね。探偵エクセレントっていう番組があってね、事件を解決すると必ず言うんだよ、エクセレント!!って。スグルはそれが大好きでね。スグルが作業を最後まで見ていた日に、お父さんがエクセレント!!って言ったんだよ。それでまた喜んじゃってね。スグルがいない日も言うようになったんだ。この3年間も、毎日言ってたんだよ。あとね、探偵エクセレントが助けた相手が最後に必ず聞くんだよ。あなたは誰ですか?って。俺はおまえだ!って言うんだよ。スグルはそれも大好きでね。…。
雨音。
『誕生日おめでとう。』「おめでとう。」
「知ってた?僕が言い出したんだって。」『言われてみればって感じだな。』
「いない!?カメジロウがいない!」『どこ行くんだよ!』「カメジロウが逃げたから探しに行くんだよ!」『逃げたんじゃなくて、戻ったんだよ。』
両親がマッサージし合いながら話している。スグルがお父さんに、腰に気を付けるようにって。まいったな、隠してたつもりだったんだけどな。20歳になったわね。なったな。
そこへスグルが入ってくる。
スグル!誕生日おめでとう。おめでとう!今日は盛大にパーティにしましょうか。久しぶりにツバサにオペラでも歌ってもらうか。
「やめろやめろやめろ!息子がニートなんだぞ!怒れよ!なんで毎日笑ってられるんだよ!オモチャなんか作ってんじゃねーよ!頭おかしいのか!?」
スグル。悲しくないわけないじゃないか。セイヤを想って毎日泣いてるさ。でもお父さんたちにはスグルがいる。だから毎日辛くても苦しくても、死に物狂いで働けるんだ。大人のお父さんたちがこんなに辛いんだ。守るものがないスグルはもっと辛いよな。だからお父さんたち決めたんだ。スグルがスグルに戻るまで、何年だって待とうって。
スグル、生まれてくれてありがとう。スグル、生きててくれてありがとう。
「うわぁぁぁーーーーー!!!」
飛び出していくスグル。追う母。スグル!大丈夫だ、俺たちの息子だ。
落雷。
「カメジロウ!」『もう見つかんねーよ!』「もう出てけよ!」『まだだよ!』
傘を差したナミがやってくる。
エクセレント!「電話が来たからってノコノコ探しにくるなよ!」エクセレントエクセレントエクセレント!「ウザいんだよ!」
ナミが傘を捨てて手を振り上げる。
「…殴ってよ。」エクセレント…。青年が背後からナミを抱きしめる。エクセレント!ナミは傘を拾い去っていく。
「カメジロウ!」『もう探すな!カメジロウは勇気を出したんだ。おまえだってもうわかってるだろ!?これ以上逃げたら戻れなくなるぞ!』「…うわーーーん!」『そうだ、泣け!泣いちまえ!』
――雨があがる。日が昇る。なんでこんなに沁みるんだろう。終わったんだ。いや。
テーブルに突っ伏して寝ている両親。
『ずっと待ってたんだな。』
膝をついて泣き出すスグル。
エクセレント!
「『ただいま!』」
エクセレント。「ごめんなさい、本当にごめん…。」エクセレントエクセレント!
「また誕生日だってこと忘れてた。」
エクセレント。母がスグルにセイヤからの手紙を渡す。泣きながら読み進めるスグル。
「そうだ、忘れてた。セイヤ兄ちゃんの言うとおりだ。僕はオモチャ作りの天才だった!」
エクセレントー!
モモやキスケなどの職人たちが入ってくる。
エクセレント!?
「珍しいでしょ、こんな時間にいるなんて。」『嬉しいとはちょっと違うけど、いろいろごめんね、モモさん。』
エクセレントエクセレント!ハッパをかけるような母の声に部屋を出て行こうとする職人たち。
エクセレント…!
腰を押さえてうずくまる父。
「気を付けて!今日はもう無理だよ。」『自分でもわかってるだろ?』「あとどれくらい?」エクセレントエクセレント。『4時間で200個か。大丈夫。なんとかなるよ。』「もちろん僕が指示を出すよ。お母さん布団持ってきて!」
スグルが電話を取る。
「もしもしナミ?…またおまえか!」『先に始めてて!1時間で戻る!』
スグルたちが家を走り出て行く。エクセレント!
マダラから携帯を取り返そうともがくナミ。そこへスグルたちがやってくる。
マダラを殴り飛ばすスグル。
『大丈夫?何もされてない?』エクセレント!「金は渡さない!」『ナミも渡さない!』「おまえにはなにも渡さない!僕を気が済むまで殴ったら帰るんだ。」『俺はもう誰も傷つけたくないんだ!』エクセレント…?「そうだよ、スグルだよ。お待たせ!」エクセレント!
エクセレントエクセレント!マダラが何度もスグルを殴る。
「気が済んだ?」『まったく痛くないから帰りな!』
スグルのペンダントを掴むマダラ。
「その汚い手を離せ。」『死んだ兄貴の形見に触るな!』
スグルに殴られ、走り去っていくマダラ。エクセレント!
『もう忘れたよ!』
エクセレント!『こっちこそありがとうだよ、ナミ。』
「お別れだな。」
ver.1
『エクセレント。』「もう迷惑かけないよ。」
『エクセレント?』「僕は僕だよ。スグルだよ。そういうおまえは誰なんだ?」
『エクセ…レント!』
「ありがとな。」
ver.2
『ずいぶん長かったな。』「もう迷惑かけないよ。」
『で?おまえは誰だっけ?』「僕は僕だよ。スグルだよ。そういうおまえは誰なんだ?」
『俺は…おまえだ!』
「エクセレント!」
『ありがとな。』
メガネ、ワイシャツに蝶ネクタイ、ジャケットを着たスグル(ver.1関町/ver.2田所)がナミと向き合っている。
「あなたを好きじゃなかったことなんてありませんでした。僕と付き合ってください!」
エクセレント。目のあたりを指差すナミ。笑顔になってメガネを外すスグル。エクセレントッ!頬を殴られ呆然とするスグルに抱きつくナミ。
エクセレント?「幸せにしちゃいましょう!」
キスをしようとする2人。スグルがナミを引き離す。
「やっべ、忘れてた!続きはあとで!」エクセレントー!?
走り出したスグルを追いかけるナミ。
作業場。モモの指示で作業をしている4人。首をかしげたり頭を掻いたり。
そこへスグルが走り込んでくる。
5人が定位置につき、ツナギを脱ぐ。ワイシャツに蝶ネクタイ。スグルの指揮のような指示で作業を続ける。スグルは何度も回転する。
最後の工程が終わり、作業が終了した。
大きく手を広げ、天を仰ぐスグル。
「エクセレント!!」
振り返り、笑顔で親指を立てた。
スグル(ver.1関町/ver.2田所)とナミのキス。
父と母のキス。
日替わりのキス。(大&田所、大&林、大&関町、大&林、大&益田、大&田畑、林&益田)
日替わりのワニワニパニック罰ゲーム一発ギャグ。(伊藤、五明、五明、伊藤、田畑、田畑、田畑)
映像。マダラ(?)が裸にオムツで立っている。カボチャに座りタバコをふかす。棒を持ち草原を歩く。本日はご来場くださりありがとうございます。カボチャを肩に担いで去っていく。
スタンディングオベーションも辞さないラスト。口コミが広まり、後半の公演は連日超満員となった。千秋楽はB列まで補助席が出るほどの人気っぷり。
主題歌はくるりのブレーメン。ラストのスグルの指揮は、急変する曲調と相まってオーケストラのようだった。作業員5人がまた良い笑顔なんだよ。
ここぞというときのワイシャツに蝶ネクタイが20年前からの習慣、つまりスグルが生まれた年から。スグルの衣装もこれなんだよね。
ブレーメンの歌詞を見ると、いろいろな演出とリンクしていることに気付く。やしろさん…。
ライスの立ち位置、ずっと相手に見えない位置に田所さんがいるんだ。関町さん以外の誰も田所さんを見ない。でも雨があがってからは、田所さんも前に出る。みんなが田所さんも見るようになる。作業場でモモと話してるときから、ちょっと立ち位置がズレ始める。で、もうすぐかもしれませんね、というモモのセリフ。
立ち位置をくるくる変えるライスに疑問を抱いてたけど、スグルの本心(田所さん)がずっと隠れてたってことなのかな。我慢の限界ってことだったのかな。
細かい演出が好きだった。カメジロウを追いかけるスグルに声をかけるときの田所さん、舞台袖で下に向かって叫んでる。階段がそこにあるんだね?とちゃんとわかる演技。
両親の部屋はすごろく、作業場はトランプ、丘は黒いマークのトランプ、それ以外は無地、とキッチリ差別化されていた背景。探偵エクセレントの話のシーンから後は、ずっとすごろくの真ん中がハートの背景のままだった。
千秋楽は寺内さんのオカマが拍手笑いを呼んでいた。ランパンプスの全力あっち向いてホイ。益田さんの林さんは空気を読む、目が綺麗発言。若手を束ねる林さんの力量を思い知った公演だった。若手パート大好きだったよ。カゲヤマとランパンプスが大好きになった。田畑さんの三日月独唱も素晴らしかった。素敵な演出に抜擢されて大変だっただろうな。初見だと笑っちゃうけど、何度も見てるうちに田畑さんの歌声で泣きそうになった。
大好きな公演。無理してでも全部見に行って良かった。幸せな気持ちになれた。終わってしまうのが寂しい。これをキッカケにくるりを聞いてみようと思う。
やしろさんの思いを聞きたい。アフタートークとか実現しないだろうか?
botの作成に参考にさせていただきます。