@神保町花月 16:00 F8
客席も出演者も大号泣だった感動のストーリーを覚書。
波の音。
花*花『さよなら大好きな人』を静かに歌う女性(伊藤)。よっ!と女性に声を掛けた青年(黒沼)。
梅宮くん、どうしたの?真穂子先生の顔、見に来たんだよ。
《2000年11月》
恒生(スカイサーキット松本)のギターに合わせ、『さよなら大好きな人』を歌う男子高生たち。
日向心慈[ヒュウガシンジ](宮川)は張り切って歌詞を先導している。聡(メルボルン松本)と慶一(久保田)は嫌々歌っている。
もうこんな女々しい歌やめようぜ!担任の菊井先生が好きな歌を卒業式で歌うって約束しただろ!?俺たち菊井先生にお世話になったじゃないか!
他校にファンクラブが5つもあるという男前な恒生。しかし本人は理想が高いとクール。じっと慶一を見つめている。投げキッスされ、俺もファンクラブに入る…とフラフラ出て行こうとする慶一。
そこへ梅宮想太(黒沼)がスケッチブックを持って現れる。リアルなトーマスやピカチュウを描いていた。イラストレーターになるためには、もっともっと描かなきゃ!
そろそろ練習しようぜ、もうすぐ副担任の真穂子先生も見に来るし。日向が言うが、あのおばさん暗いから嫌だと聡と慶一は不満顔。悦子先生の方が良かったよなー。
だぁれ?あたしのウワサしてたの?悦子先生(石橋)が現れる。食堂でコーヒーブレイクするけど、みんなもどう?聡と慶一は喜んでついていく。恒生はギターを抱えて慶一の後を追っていった。
取り残された日向が練習に遅れている想太に特訓しようとすると、真穂子先生(伊藤)がやってくる。挙動不審になった想太は、トイレ行ってくる!と出て行った。後を追う日向。
菊井先生(西村)がやってくる。真穂子先生、昨夜はどうも…。後悔、してませんか?首を横に振る真穂子先生を見てガッツポーズをする菊井先生。僕、3年前に大失恋してるんです。もう誰も好きにならないと思ってたとき、国木田独歩の詩を読んだんです。沖の小島っていう詩です。どんな詩ですか?菊井先生が話し出そうとしたとき、悦子先生が戻ってくる。菊井先生、これからドライブに行きませんか?レッツゴー!悦子先生の強引さに負けた菊井先生は立ち去ってしまう。
想太が1人座っている。そこへ真穂子先生が通り掛かる。
想太には母がいなく、父と兄の3人暮らしであること。真穂子先生は両親を亡くし天涯孤独であること。大学時代の下宿先で出会った、ちあきという女の子が母親と仲良しで羨ましかったこと。女の子を産んであんな関係になりたいと思っていること。誕生日が1月15日で2人一緒であること。
職員室に呼ばれた真穂子先生が途中で立ち止まる。良かった、梅宮くん全然話しかけてくれないから、嫌われてるのかと思った。
…嫌いなわけないじゃん。
想太を探して日向が戻ってきた。嬉しいっていうか、怖いっていうか、胸のあたりがワサワサすんだよ。わかる、わかるよ。
オープニング。紙飛行機を飛ばし繋ぐ。想太が日向に、日向が真穂子先生に、真穂子先生が想太に。その前後を通りすぎる出演者たち。
《2001年3月》
好きです、真穂子先生!日向が告白の練習をしている。
想太がやってくる。小学校1年からずっと一緒だったけど、お別れだな。大阪の大学行っても元気でな。そっちこそ、デザイン学校のヤツらと仲良くなりすぎて俺のこと忘れんなよ!
大事な用事があるから、と2人はそれぞれ去っていく。
真穂子先生は、菊井先生に避けられている気がしていた。思い切って本人に聞いてみるも、生徒たちが泣きながら入ってくる。パーッと飲みに行こうぜ!という聡の言葉に、慶一と恒生がついていく。慌てて菊井先生が後を追う。
想太と日向が同時に入ってくる。真穂子先生!おまえが先に言えよ!と譲り合っているうちに、悦子先生が入ってくる。実はあたし、菊井先生と婚約しちゃいました~!戻ってきた菊井先生と腕を組み、自慢気に指輪を見せる。
おめでとう、良かったわね、と言い真穂子先生は去っていった。式場を見に行きましょう!と積極的な悦子先生。菊井先生とともに去っていく。
菊井の野郎!真穂子先生と付き合ってたくせに!想太は2人が仲良さそうに話していたところを目撃していた。そんなの先生が可哀想だよ、俺たちで何かしてあげようよ!2人が言い合っているところへ、真穂子先生が戻ってくる。つまらないことでケンカしないで。勝手に想ってただけなの。菊井先生と結婚できたらな、って。
日向が帰ろうと歩いていると、真穂子先生を見つけた。生徒の前で泣いて情けない、何でも相談に乗るから!恋愛相談でもいいわよ、という言葉に動揺する日向。好きな子いるの?告白しないの?
わからない…。わからないって言葉は使っちゃダメ。わからないは変わらないと似てるでしょ?人間は変わらなきゃ。変わるためには、わからないことでもわかるって言うの。私も今日から変わることにしたの。
緊張しすぎた日向は、水飲みに行ってきます!と走り去る。
想太がやってくる。
生徒の前で泣いて、ホント駄目ね。もう30歳なんだからちゃんとしないと。歳とか関係ないだろ!?真穂子先生は真穂子先生なんだから。歳を色だと思えばいいんだよ。真穂子先生は30色、俺は18色。たくさん色があっていいなって思うよ。いいなって思う人のこと好きになるのは当然だよ!12色足りない分、たくさんたくさん描くよ。あっちも塗って、こっちも塗って、茶色、こげ茶色、赤茶色、…全部茶色になっちゃったけど!
あたしのも使って。あたしの12色も使って、たくさん描いて。それって…?…そういうこと。…やったー!!!嬉しい!想太は大喜びで走り去る。追い掛ける真穂子先生。
戻ってきた日向がうなだれる。
馬場俊英『今日も君が好き』 歌:ラフレクラン富士田/フランクリン海志 ギター:スカイサーキット松本
《2005年4月》
想太と真穂子の家に遊びに来ている日向。お仕事は慣れた?まだ就職して1ヶ月なので全然です。介護用品メーカーの営業なんて大変だろう。
結婚2年目の想太と真穂子は、1年に1冊ずつアルバムを作っている。1年にひとつ宝物が増えるんだぞ。いいだろう。それにこのクレヨン、真穂子もらったんだ。12色それぞれ意味があるんだよ。
あんなにイラストレーターになりたいって言ってたのにな。早く結婚したかったから定職に就いたんだ。
真穂子は教師の仕事を辞めていた。男が家庭を養うという思いから、想太が辞めさせたのだという。早く子供が欲しい真穂子、まだ2人だけでいたい想太。
日向くんは良い人いないの?いやぁ…。
小田和正『大好きな君に』をバックに、次々とシーンが変わっていく。想太と真穂子が2人で写メを撮っている。想太が上司(松本)に書類を叩きつけられている。帰ってきた想太を笑顔で迎える真穂子。ペコペコと頭を下げる上司と想太。1人で待っている真穂子。
《2008年10月》
想太が帰ってくる。おかえりなさい、今日は想太の大好きなハンバーグよ。飯食ってきたからいい。…そう。今度から外で食べるときは電話かメールかして。忙しいときにそんなことしてられないだろ!
産婦人科に行ってきたの。今度はご主人も一緒に来てくださいって。忙しいから1人で行ってくれよ。子供欲しくないの?そんなこと言ってないだろ!イライラさせるようなこと言うなよ!あ、ねぇ、今日は想太の大好きなハンバーグよ。外で食べてきたって言っただろ!?自分の話ばかりで、俺の話は何も聞いてないんだな。
想太の電話が鳴る。――スナックアルマのダリアよ~。
慌てて部屋を出て行く想太。じっと見送る真穂子。
日向が真穂子の相談に乗っている。日向くんお仕事忙しいのにごめんね。いえ、仕事辞めたんです。営業より現場の方をやりたいと思って。介護学校に通ってるんです。そうなの、大変ね。
想太が浮気しているのかもしれない。不妊治療を受けたいのに一緒に病院に行ってくれない。あたしのこと全然見てくれない。…あら、ごめんなさいね。日向くんお仕事忙しいのに。いえ、仕事は辞めて介護学校に通ってます。あら、そうだったわね!
帰ってくる想太。おう、どうした?何か用か?産婦人科、行ってやれよ。真穂子先生が不安がってるぞ。おまえが若い女と浮気するんじゃないかって。…わかったよ、行くよ!まったく、おせっかいだな。
日向くん、結婚はしないの?いえ、まだ…ずっと想ってる人はいるんですけどね。伝えなきゃダメよ。一緒になりたいんでしょう?…わからない。わからないは使っちゃダメよ。前にも言ったでしょ、わからないは変わらないと一緒だって。
斉藤和義『ずっと好きだった』 歌:スカイサーキット小阪/ラフレクラン西村 ギター:スカイサーキット松本
《2009年4月》
産婦人科。医者(久保田)が、真穂子だけしか来ないことに眉をひそめる。仕事が忙しくて、結果は1人で聞いてこいって。ホントは去年来るはずだったんですが、主人の仕事が忙しくて。ご主人も一緒にお話したかったんですけどね…。
スナックアルマ。ダリアママ(石橋)と新人の美優(富士田)が、想太と後輩の森嶋(海志)を迎える。最近このへんにオカマバーが増えちゃって困るわ。アニマルパラダイスのイネコママと、アニマルヘブンのエクレア姉さんがケンカしてたらしいわよ。
想ちゃん、ひとまわり年上の奥さんとはどうなの?先輩、ひとまわり年上の奥さんいるんですか!写メとか持ってませんか?もう結婚7年目だぞ。持ってないよ。お子さんは?子供とか赤ちゃんの話したらブッ殺すからな!
――無精子症?ええ、ご主人は手術でなんとかなりますが、奥さんが…。奥さんもう39歳ですよね。体外受精でも成功する確率は低いかと…。
日向が安産祈願のお守りを持ってやってきた。しかし真穂子は、わからないと言う。わからないは使っちゃダメなんじゃないんですか?そうね…でももう、わからない。変わらない。
郷ひろみ『僕がどんなに君を好きか、君は知らない』 歌:メルボルン松本 ギター:スカイサーキット松本
《半年後》
年賀状を書いている真穂子。想太、お父さんのなまえ、タツオさんだっけ?…タツヒコだよ。ああ、そうか。タツってどんな字だっけ?原辰徳のタツだよ。原辰徳って誰?親戚?そんなことも知らないのか?新聞くらい読めよ。専業主婦だからってダラダラしてんなよ。…ダラダラなんかしてないわよ。年賀状だって想太が書かないからあたしが書いてるんじゃない!漢字忘れたくらいで何よ!
年賀状を叩きつけて出て行く真穂子。そこへ日向がやってくる。どうしたんだこれ!?真穂子がイライラして出て行った。子供できないからイライラしてんだろ。…想太、真穂子先生には口止めされてたけど…。
真穂子が戻ってくる。まだ起きてたんだ…。
俺、家庭を守るために仕事頑張ってきた。でも、子供ができないの、俺のせいだったんだな。もっと早く病院行ってれば…。赤ちゃん欲しかったよ。想太の子供欲しかったよ。ごめん。
《2010年4月》
日向が想太の家でアルバムを見ている。逗子?新しい認知症専門のケアハウスができてさ、そこでケアマネージャーとして働くんだ。じゃあ頻繁に会えなくなるな。頑張れよ。
ただいま、買ってきたよ、コーラ。…え?真穂子、ビールを頼んだんだけど。そうだっけ、また買ってくるわね。コーラでいいよ。
真穂子、最近変なんだ。泣いたり怒ったり、ああやって間違えたり。そういえば、俺が先生に相談受けたとき、仕事辞めたって言ったのに何度も仕事忙しいのにごめんねって言ってたな。
日向くん、来てたの?来るなら言ってくれればいいのに、ねぇ?真穂子、1時間前から来てるぞ…。俺の親父の名前は?俺たちの高校の名前は?
2人してあたしを責めないで!そんな目で見ないで!…わかってる。あんなに得意だった料理、味付けがわからないの。昨日のことがわからない。想太のこと忘れちゃう…。大丈夫だ、俺が覚えてるから。
mink『すき』 歌:メルボルン石橋/フランクリン久保田 ギター:スカイサーキット松本
《2012年8月》
座って本を読んでいる柿沼(西村)。延々としりとりをしている正木(富士田)、25歳で記憶が止まっている小紫(小阪)。
柿沼が国木田独歩の詩集を持っているのを見て、菊井先生!?と驚く真穂子。しかし柿沼という名前だとケアマネージャーの日向に教えられる。
想太はイラストでクイズを作ってきた。真穂子にクイズを出している。
《1ヶ月後》
介護士の箱根(海志)は、この仕事が好きだと真穂子に言う。ここは嘘も偽りもない、みんな素直に行動してる。だから僕も素直な気持ちになれるんです。
柿沼は国木田独歩の詩集を真穂子に差し出す。良かったら読んでください。沖の小島という詩がいいんです。
想太がやってくる。あら梅宮くん!…え?
いつからだ?最近だ。記憶があちこち飛ぶようになってきた。思い出すときもある。でも覚悟しとけよ。若年性認知症は治る病気じゃないから。
《2012年12月》
12色のクレヨンで絵を描いている想太。正木が延々としりとりをしている。イライラした想太が声を掛けると、記憶がどこかへ行ってしまいそうで不安だからしりとりを続けているのだという。
柿沼と真穂子が手を繋いで現れた。柿沼を殴る想太。なにやってんだよ!実はね、菊井先生とお付き合いしてるの。内緒にしといてね、梅宮くん。
菊井先生の話ばかりする真穂子。想太が日向に相談すると、柿沼さんの奥さんもそう言って笑ってた、と言う。
アルバムを投げ捨てている想太。必死で止める日向。もう無理だ!真穂子、菊井先生と結婚するって!もうダメだ。もうわからない。わからないは使っちゃダメだ。わからないは変わらないと似てるだろ。昔、真穂子先生が俺にそう言ってくれたんだ。
想太、真穂子先生はおまえの何だ?…かみさんだよ。そんな記号じゃなくて!何だ!?…大切な人、愛しい人、俺の心、俺の魂、俺の運命の人。
そうだろ?おまえが覚えてなきゃダメだ。俺が覚えてても仕方ないんだ。おまえだけの真穂子先生なんだから。
日向の電話が鳴る。…え?どうした!?柿沼さんが、亡くなったって…。箱根くんと一緒に買物に出かけたとき、事故に遭って…。そんな…。
『アメージング・グレース』 ギター:スカイサーキット松本
《2013年2月》
波の音。
花*花『さよなら大好きな人』を静かに歌う真穂子。よっ!と声を掛けた想太。
梅宮くん、どうしたの?真穂子先生の顔、見に来たんだよ。
菊井先生、いなくなっちゃった。お父さんもお母さんも死んじゃって、みんなあたしの前からいなくなっちゃう。あたしのどこがいけないんだろう。
真穂子の手を握る想太。ダメよ、校長先生に怒られちゃうよ。いいよ、一緒に怒られよう。一緒に謝ろう。ずっと一緒にいるよ。真穂子先生のこと大好きだから!
何言ってるの、あたし30歳よ。そうか、真穂子先生は30歳で、俺は18歳なんだよな。
歳を色だと思えばいいんだよ。真穂子先生は30色、俺は18色。たくさん色があっていいなって思うよ。いいなって思う人のこと好きになるのは当然だよ!12色足りない分、たくさんたくさん描くよ。あっちも塗って、こっちも塗って、赤、青、黄色、紫…。
あたしのも使って。あたしの12色も使って、たくさん描いて。それって…?…そういうこと。
覚えてて、くれたんだ…。え?なんでもない。
梅宮くん、泣いてるの?真穂子先生と一緒にいられて、幸せだから。
2人を笑顔で見守る日向。
様々な夫婦の写真がスライドで流れる。
SMAP『らいおんハート』
若い夫婦、老夫婦、結婚式、旅先、様々。
マイ・ソウル・パートナーのちあきとめぐるの写真も。
高校時代の想太と日向の写真、真穂子と日向の写真、想太と真穂子の写真。
重すぎるテーマと随所にぶち込まれる笑い。シリアスな部分はキッチリ締めてくれるので、客席号泣。黒沼さんがラストの告白シーンでボロボロ涙を流しながら演じるので、釣られて仕方なかった。あれはダメだ。伊藤さんも凄いし宮川さんも凄い。
幕間の歌が持ち回りで、若手好きには嬉しい演出。みんな上手い。きょんちゃんの高音が好きだった。良い歌だ。松本コンビのソロは見てるこっちも緊張したけど、上手かったなぁ。小阪さんと西村さんのロックな感じが素敵。手拍子煽ってカッコ良かった!
メモとか取ってないので、スライドで映し出された年月はちょっと違うかもしれない。まあ経過の雰囲気が伝われば…。最初と最後は絶対合ってるはずだけど。あと2012年12月も。きょんちゃんサンタ帽かぶってたし。可愛い。
石橋さんがまさかの女性2役。ダリアママはオカマじゃなくて女のようなので。美優ちゃんもちょっと背が高すぎるけど可愛かったな。
小阪さんの出番が少なかったけど、一番インパクトある役だったかも。シリアスな雰囲気を払拭するコテコテな関西弁には心が軽くなったよ。
マイ・ソウル・パートナーや俺旅の出演者がチラッと名前出てきたのは嬉しかった。丸山脚本の醍醐味。ちあきちゃんの下宿先に住んでたのね。スナックアルマはあのへんなのね。エクレア姉さん(ランパンプス寺内さん)のガタイなら、イネコママ(ピク兄)が吹っ飛ぶよね。
光が透ける演出が美しかった。パネルを上手く利用した年月や写真の演出。山下さんの演出はホントにカッコイイ。紙飛行機も良かったなぁ。
超若手班でもここまでやれる、というのが伝わった。そりゃ場数踏んでる方が上手いだろうけど、それだけじゃないよね。
3月の丸山脚本も12期以下の若手班。ここにはやさしいズがいる。今度こそ歌だけじゃなく役があるといいな。