@神保町花月 19:00 E8
奇抜探偵は真相を知った2回目も楽しめる。今回は演出を最大限に楽しめるど真ん中!
オープニングとエンディングの演出がとても美しい。ある程度ストーリーが進んでからのタイトル映像にゾワッとする。あれはカッコ良すぎるでしょう!エンディングの映像と音楽と出演者たちの立ち位置が素晴らしいタイミングで…あそこだけ何度も見たい。
今日はタモンズがふざけてたなー!大波さんが安部ちゃんに入れ知恵したようで、あれこれ言わされていたらしい。ボケる前にニヤニヤしちゃう安部ちゃんが可愛い。安部ちゃんの様子に気付いてみんなニヤニヤしてた。どうにかキャラの口調のままで突っ込んだり。
笑い部分が少ないシリアスな官房長官脚本だけに、入れられるところは最大限にボケる。ピク兄の決めポーズは変わってるし、若尾さんへのセクハラも変わってた。
西島さんが何度も舌を出してて、アラ可愛い!とか思ってたんだけど、花粉症がヒドいとエンディングで言っていた。そのせいだったのかな。この時期はツラいよね。
四条の自己紹介ポーズに動きが加わっていた。シリーズ全部見てるけど、あんなだったかな…。ドタバタしてるのを見て、西島さんがキャラのままで動きが重いとバカにした顔で笑ってたw
煙山の髪型は寝癖っぽいし、シューさんのキャラはますますオーバーになっていくし、若尾さんはますますセクシーになっていくし、ハマり役だらけ。
エンディングではエリヤンが2人してボケまくり。ホント楽しそう。仲良しな班だね。
締めの直前に、名残惜しいねーと笑う文田さんの言葉を聞いて、よーしもう1回やろう!とオープニングの位置に移動する西島さん。仲悪いキャラな2人だけど、こういうとこ息ぴったり。
全公演満員という、最近の神保町花月では珍しい公演。シリーズ人気が凄い。ITIがここまで神保町花月で活躍するとは思ってなかったよ。
千秋楽が終わったら、覚書を残しましょうかね。次回作の伏線っぽい四条のセリフもあったし。自分で見て思い出したいしね。
【3/13追記】
拝啓、四条司様。
“極上の謎”をご用意いたしました。
資産家である県誠志郎[アガタセイシロウ](大波)の住む島『咲坂島[サキサカトウ]』に招待された、四条司(文田)と煙山正義(根建)。
小さな船に酔い、吐いている煙山。出不精のおまえが、よく来る気になったな。私の脳は、いつでも謎に飢えて踊っているからね!船上に立ち上がる四条を見上げ、吐く煙山。今のは船酔い?それとも四条酔い?両方!
県の秘書兼執事、四条探偵事務所の宗助にそっくりな野際了[ノギワリョウ](好井)に案内され、『麗桜館[レイオウカン]』に着く。
2人の他に、謎を専門とする6人の人物が集められていた。彼らは実際に事件を解決に導いた手腕の持ち主でもある。
フリールポライター、月見里明[ヤマナシアキラ](橘)。弁護士、尾上莉音[オノウエリオン](若尾)。ニューヨーク市警一級刑事、千葉譲次[チバジョージ](シューレスジョー)。外科医、蘭爽[アララギソウ](井下)。パズルマニアのバーマスター、加賀美教人[カガミノリヒト](ピクニック)。犯罪心理学者、醐醍秋大[ゴダイアキヒロ](西島)。
『麗桜館』住み込みの料理人、臼井栄吉[ウスイエイキチ](安部)の料理を堪能する面々。
県は食後に薬を飲んでいた。
“極上の謎”は12時に発表する、と言い、県は準備のため3階の書斎へと上がる。
月見里、千葉、蘭、醐醍は、階段下のラウンジでごきぶりポーカーを楽しむ。
尾上と四条は大広間でチェス。それを見ている煙山と加賀美。加賀美はノンアルコールカクテルを振る舞う。野際と臼井もやってきた。
11時5分前、野際がラウンジの4人を呼びに行く。入れ違いで月見里、蘭、醐醍が戻ってくる。千葉は途中で眠くなったと2階に上がっていた。野際が千葉を連れてくる。
12時。館内にサカシマと名乗る声からの放送が響く。
ここに集められた10人には、ある共通点がある。
月見里、恋人を病気で亡くす。尾上、弁護していた被告に弟を殺害される。千葉、同僚の親友が殉職。蘭、両親を強盗に殺される。加賀美、恋人の罪を告発、その後自殺。醐醍、妻を事故で亡くす。野際、両親が借金を苦に自殺。臼井、妻を病気で亡くす。四条、母親を何者かに殺される。煙山、両親が事故で死亡。
足の悪い県は、用があるときは書斎に備え付けられた館内放送で野際や臼井を呼んでいる。今の放送は書斎から流れているはず。
野際を先頭に、全員で書斎へと向かう。
《一つの死 逆死魔》
県は、背中をナイフで刺され死んでいた。
《サカサマ島綺譚~奇抜探偵・四条司の静謐なる思考~》
蘭が死亡を確認し、煙山と千葉が現場検証を始める。県の死体の近くに、一つの死逆死魔とデザインされたカードが落ちていた。
ナイフに細工の跡は無く、自殺の可能性は極めて低い。食後に飲んでいた薬はモルヒネ。痛み止めに使われ、重病患者に処方される。野際によると、県は病に冒されており、余命いくばくもない状態だった。
館の電話は通じず、携帯電話嫌いの県により電波は届かず、定期便は明日の夕方にしかやってこない。
咲坂島はサカサマ島とも呼ばれている、と月見里が話し出す。この島は、逆死魔という魔物を信仰していた。死者を蘇らせることのできる魔物。1人を蘇らせるために、9人の死体が必要。
唯一2階に上がっていた千葉を疑う加賀美。階段下には3人がいたため、外部の人間が書斎へ行くのは不可能。尾上がそれを否定する。野際、臼井の犯行もありえる。
念のため、千葉の両手を後ろ手に縛って部屋へと送り届ける。
翌朝、野際と尾上が千葉に料理を届けようとしていた。
《二つの死 逆死魔》
千葉は、胸をナイフで刺され死んでいた。
後ろ手に縛られたまま、争った形跡もなく死んでいる。
千葉が犯人ではなかったこと、縛られていたせいで抵抗できなかったのでは、とうなだれる加賀美。
尾上は気分が悪いと自室で休んでいたが、しばらくして大広間へと戻ってくる。
臼井がお茶を入れ、休むために自室へと戻る。
外部犯の可能性を否定する醐醍。S.S.ヴァン・ダインの二十則にこんな項目があります。「犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。」県さんはミステリマニアだ。美意識の問題なんです。アンフェアなんですよ。
煙山は暗い空気を払拭しようと、地元に帰ったら何をしたいか?と各人へ問う。誰も応えない。何も思い浮かばない、帰ってから考える、と言う月見里。
《三つの死 逆死魔》
お茶を飲んだ月見里は、血を吐いて倒れた。
蘭が月見里の様子を診る。この即効性と症状、おそらくトリカブトでしょう。
お茶を淹れた臼井の部屋へと向かう、四条、煙山、野際。
《四つの死 逆死魔》
様子のおかしい臼井の肩を叩く煙山。臼井が椅子から崩れ落ちる。背中を刺されて死んでいた。
皆さんに知らせてきます!と部屋を走り出て行く野際。
おい四条、なんかわかんねぇのかよ!?もう4人も死んでるんだぞ!
野際が慌てて戻ってくる。皆さんが、皆さんが…!
走り出す四条と煙山。
《五つの死 逆死魔》《六つの死 逆死魔》《七つの死 逆死魔》《八つの死 逆死魔》
尾上、醐醍、蘭、加賀美、4人が背中を刺されて死んでいた。
俺たちが部屋を出て10分も経ってないぞ。この短時間でどうやって…。
《逆死魔》《極上の謎》《早すぎる刺殺》《毒殺と順番》《帰ったらやりたいこと》《生き返らせたい人》《アンフェア》《共通点》《偽りの密室》
四条に『真・四条大橋』が掛かる。
遅いぞ四条!自分でもそう思うよ。だがまだ救える命はある。
犯人は、僕と煙山くんを除く全員だ。
連鎖殺人だよ。変則的な集団自殺とも呼べる。全員が身近な人を亡くし、死にたがっていた。
煙山くん、ご両親が亡くなったときどうだった?そりゃ辛かったよ。でも妹がいたから立ち直れたんだ。彼らも一緒だよ。悲しみに暮れ絶望していた。
県さんを殺したのは千葉さんだ。千葉さんを殺したのは毒殺された月見里さんだろう。月見里さんを殺したのはもちろん臼井さんだ。臼井さんはあのとき2階にいた尾上さんが殺した。
尾上を刺す醐醍、醐醍を刺す蘭、蘭を刺す加賀美。
あのとき大広間に残っていたのは、加賀美さんでした。野際が口を開く。加賀美を刺す野際。
旦那様は自らの死期を悟り、最期に謎めいた死を演出したかったのです。謎に強い興味を持ち、死にたがっている人を探しました。中には人を殺すことに興味を抱く方もいました。
もし怖気づいたりする人がいれば、僕が手を下す準備もありました。幸か不幸か、そんな人はいませんでしたが。
爆音が響く。
旦那様が仕掛けた爆弾です。この館は崩れます。早く逃げてください!
書斎へと走っていく野際。煙山を先に逃がし、追い掛ける四条。
書斎。県の死体に寄り添う野際。
ドア越しに四条が話しかける。野際さん、ここを出ましょう。僕のことは放っておいてください!旦那様のいない世界なんて、興味ありません!
野際さん、あなたは県さんを愛していたんですね。
旦那様はすべてを失った僕にすべてを与えてくれました。食べるもの、着るもの、住むところ、役割、存在意義、旦那様は僕のすべてです。これを愛と呼ぶのなら、間違いなく愛していました。
でも県さんはあなたを愛してなんかいない。愛していたら、こんな計画にあなたを巻き込むはずがない。わかっています!僕の死で九つの死を完成させるんです。旦那様は亡くなった奥様の復活を願っていました。
野際さん、どんな形であれ僕と貴方は出会った。僕には貴方が必要なんです!もう遅い、遅すぎたんです!
爆音。
崩れる館。
煙山が四条を無理やり外へと連れ出す。
四条、おまえだったらどうする?誰か1人、生き返らせることができたら…。
そんなことはあってはならない。それでも生き返ってくるというのなら、私が殺すよ。
帰ろう。ここはもう、私たちの居るべき場所じゃない。死者の蠢く島、サカサマ島だ。
四条は立ち去り、煙山は1人タバコに火をつける。
奇抜探偵シリーズ最多の被害者を出した事件の全貌。
オープニング、机に向かい手紙を書く県、隣に控える野際、飲み物を持ってくる臼井。館に招待された6人が、それぞれ仕事を誰かに任せて出て行った。その後、四条と煙山の船のシーンへ。
爪を磨き、舌を出し、ウロウロと動きまわる醐醍のキャラが好きだった。尾上を背後から抱きかかえ、背中を一突き。一番殺傷能力の高そうな殺し方。西島さんいわく、唯一殺人に興味を持って参加した人。
すべてがミスリードのための芝居だった。月見里のサカサマ島伝承。月見里、千葉、尾上の言い合い。自らが殺した死体を検分する千葉。
黒いセット、赤い十字架、赤い小道具、血を表す赤い布。ダークで無機質な雰囲気の演出が素晴らしい。並んだ出演者たちの背中をスクリーンにしてタイトルを映したり。
ソング・グッドバイでのメニュー立てのおみやげ、誰も救えなかったという四条のセリフ、キャリーバッグを肩に担ぐ四条、バンバンバカンスと浮かれている煙山、ここと繋がっていた。
煙山の妹がいたから~というセリフで、踊る脳事件で煙山が妹を殺してしまう展開を思い出し泣けた。
ピクとジョーの『Loop the Room』がヒントになっているという事前情報。タイトル通り、廊下がループして部屋から抜け出せないという設定だった。真相を知って、殺人が一周していることに気付いてハッとなった。
最後の1人になった野際は、最初に殺された県の仕掛けた爆弾に殺される。だから9人の殺人がループしている。
四条の母親の死については、今後のシリーズで言及されるのだろうか。
次回作は年内予定、タイトルは『過剰殺傷夜(オーバーキル・ナイト)~奇抜探偵・四条司の茫漠たる予感~』とのこと。