神保町花月「ちっぽけなリビドー」

@神保町花月 16:00 A13

いよいよ千秋楽。若手たちの青春群像劇を覚書。

オープニング。
制服を着た生徒たちが座っていたりケンカしていたり。そこへ先生たちがやってくる。逃げ出す生徒たち。
ジャージ姿の先生(西木)が生徒たちを注意する。ヤンキー風の猿渡(舟生)と猪之本(白井)は喫煙。メガネの金子(宮本)はケータイを使ってFXと金貸し業。ヘラヘラしている馬場(三戸)はカンニング。暗く何も喋らない巳木谷(佐伯)は授業をサボる。金ネックレスの虎太郎(寺内)と短気な羊介(小林)は暴力。
虎太郎と羊介のケンカを止めようとして殴られる猿渡、猪之本、金子。煽る馬場。髪を掻き毟り遠巻きに見ている巳木谷。
牛島(西木)と羽鳥(立石)がやってくる。逃げ出す生徒たち。
黒尽くめの男、野村(田井)。カウボーイ姿の男、龍一郎(小川)。

笹裏高校。くだらない理由で退学の危機にさらされている7人の男子高校生たち。
病に倒れた校長に代わり、孫の龍一郎がアメリカの大学を休学して一時帰国してきた。彼が臨時の校長になったと聞き、生活指導の牛島と教頭の羽鳥は学校の主導権がアイツに奪われてしまうと怯えている。

7人の退学を止めるため、1ヶ月後の学園祭でアイドルグループを結成、し歌って踊るように仕向ける龍一郎。嫌がる7人に、退学の代わりに罰を受けさせるのだから嫌がるようなことをやってもらう、それが出来なければ退学、と脅す。
グループ名は「リビドーズ」と名付けた。意味は学園祭が終わったら教えてやる。
みんなで掛け声を合わせようとする龍一郎。猪之本が猿渡を押し、虎太郎が馬場を押し、羊介が金子を押す。無表情のまま立ち尽くす巳木谷。誰かこいつも押したれよー!龍一郎が巳木谷を押すと、ほんの少しだけ嬉しそうな表情を浮かべた。
龍一郎は、親友でありジョニーズ事務所のスカウト兼ダンス講師をしているバニー野村(田井)を呼び、指導を任せる。牛島を男前だと言い触りまくるオカマのバニー。金城タケルに似てるって言われない?すぐ慣れますから!と龍一郎は笑う。

ダンスも歌もまったくやる気を見せない7人。
しかし馬場の歌の上手さに気付いた龍一郎は、凄いと褒め称える。初めて言われた!とやる気になった馬場。
中学時代にいじめられていた巳木谷。今でもその頃の記憶がフラッシュバックして、授業中でも外に出て行ってしまう。中学の同級生がいない遠い高校に入学することで自分を変えたかった。馬場に歌を教えて欲しいと頼む。1週間も練習してるのに全然上手くならないからと、初めてぎこちない笑顔を見せる。
対抗心の強い2人にやる気を出させるため、龍一郎の提案で羊介を褒めるバニー。負け犬と言われやる気を出す虎太郎。
洋服好きの猿渡には全員の衣装プロデュースを、お調子者の猪之本には当日MCの台本を、金銭に強い金子には予算内に収まるよう調整を頼む龍一郎。おまえにしか頼めない!と言われ、それぞれやる気になる。

学園祭前日。全員がやる気になりダンスも歌も揃ってきた。
用意した衣装を披露する猿渡。全員分の台本を書いてきた猪之本。無事に予算内に収めた金子。
しかし虎太郎に掛かってきた電話をキッカケに羊介の態度が急変。アイドルなんてくだらないと言い出し、台本と衣装を破き、出て行ってしまう。
虎太郎と羊介は幼なじみ。虎太郎が怪我で野球部を辞めた頃から羊介の様子がおかしくなり、虎太郎に当たり散らすようになってしまった。
野球を辞めて始めたバイト先で彼女が出来た、と龍一郎に自慢する虎太郎。さっきの電話も実は彼女から。明日の学園祭、見に来てくれるって。
陰で見ていた羊介はその場を去ろうとするが、龍一郎に捕まった。
羊介の父親は幼い頃に女を作り出て行った。龍一郎は羊介の家庭環境を、しょうもな!とバッサリ。聞いて損した!と立ち去ってしまう。
変なやつでしょ?とバニーがやってくる。龍一郎とバニーも幼なじみ。幼い頃からこんなだったバニーは男子たちにいじめられていた。それを助けてくれたのが龍一郎。みんなをボッコボコにして暴力事件が絶えなかった。
手に負えなくなった学校側が龍一郎を辞めさせる。笹裏校長がアメリカの知り合いに預けることに。
龍一郎が17歳のときに母親が病気で亡くなり、初めて親不孝をしていると気付く。アメリカに行くとき母親からもらった手紙には、ずっと味方だよ、と書かれていた。
それからよ、龍一郎が変わったのは。

羊介に衣装を破かれ、台本を破かれ、すっかりやる気をなくしてしまったメンバー。
しかし巳木谷は、やっと出来た仲間と一緒にやりきりたい、ここで投げ出すなんて嫌だ、もう逃げたくない!と泣き崩れる。
男が泣くな、ずっと練習したもんな、明日頑張ろうな!と巳木谷を励ますメンバー。
7人全員がそろってやりきること、という退学免除の条件を突き付ける牛島と羽鳥。明日になってみないとわからないと龍一郎。

羊介の家の下にやってきた6人。それぞれが自分の想いを伝える。
7人だったから続けられたんだ、俺たちを本気にさせたんだぞ、衣装は明日までに必ず用意する、本番でセリフ間違えても俺がフォローする、僕…歌いたい。
虎太郎は、俺の知ってる羊介は平気で人を傷付けたり裏切ったりするような奴じゃない、明日は昔の羊介と一緒にステージに立ちたい!と伝える。
ペンダントを握りしめ、部屋の中で泣く羊介。

学園祭当日。バニーが遅刻しそうになっていると、羊介に遭遇。逃げようとする彼を捕まえる。離せ気持ち悪い!と手を払う羊介に、どこが気持ち悪いの?と真剣に尋ねるバニー。

本番直前、羽鳥が差し入れのお茶を持ってくる。全員に配ってるから、一応、ね。
そこへバニーが羊介を連れてきた。牛島が、帰ってくれ!と羊介に掴みかかる。それを必死で引き剥がす巳木谷。
7人揃ってしまったことに危機感を覚える牛島に、次の手は打ってあると笑う羽鳥。
緊張しちゃって…水分取っていいですか?と巳木谷。みんなで差し入れのお茶を飲み、最後の練習へと向かう。
虎太郎に、謝らないからな?と強がる羊介。わかってるし、という言葉を聞き、虎太郎に背を向け笑顔で去っていく。

1年生(しゃろん/ひので/チッチーズ)による本格的なダンスパフォーマンス。いきものがかり「じょいふる」。

猪之本の軽快なMCでリビドーズのメンバー紹介。今回の衣装を用意してくれた、猿渡。金には厳しいが仲間には優しい、金子。リードボーカル、馬場。友達いない歴18年やっと仲間が出来ました、巳木谷。ビジュアル担当、羊介。歌もダンスも一番下手なのに一番偉そう、虎太郎。爆笑王、猪之本。
Kis-My-Ft2「キミとのキセキ」を歌い踊るリビドーズ。
最後まで踊りきったところで、全員が腹を押さえて舞台を降りてしまう。

全員が腹を下してしまっていた。弁当が悪かったのか?
やりきった7人を、みんな100点!と褒める龍一郎。しかし羽鳥と牛島は、幕が閉まるまでがステージ、最後まで出来なかったから退学だと迫る。
弁当にあたって腹を下したからだと止める龍一郎。虎太郎が、羊介は弁当を食べていないことに気付く。みんなが口にしたもの…お茶だ!
羽鳥が渡したお茶に何かを入れたと疑う7人。龍一郎、牛島がそれぞれお茶を飲み、大丈夫だと言う。さあ、羽鳥教頭も飲んで身の潔白を証明しましょう。逃げ出す羽鳥。
どうやら教頭が入れたようですね。これでおまえらの退学は無しだ!喜ぶ7人。
これからリビドーズ続けようぜ!馬場の言葉に、僕も続けたい!とバニーを見る巳木谷。ジョニーズだったら入ってやってもいいぜ、と上からな猿渡。
相変わらず虎太郎に突っ掛かる羊介。しょーがないだろ!おまえのこと好きなんだから!
驚く虎太郎に、常に身に付けていたペンダントを渡す羊介。開けてみると、虎太郎の写真が入っていた。子供の頃からずっと好きで、でも言えなくて、虎太郎に彼女が出来たって聞いて動揺しちゃって。
ごめんなみんな、俺しょーもないこと言ってるな。
しょーもなくない。龍一郎が言う。リビドーズは、リビドーの複数形。リビドーは人間の情熱や欲望っていう意味だ。人から見たら俺らの欲望なんてちっぽけだ。人から何と言われようと、好きに生きたらいい。
俺、自分のこと好きになるよ。好きなように生きてみる。羊介の言葉に、7人が賛同する。ついでにバニーも。

龍一郎は牛島に挨拶していた。まさか教頭があんなことするなんて、すみませんでした。
アメリカに戻り、スラムの小学校で教師になりたいという龍一郎。ここの生徒はしょーもないことで悩みます。でもスラムの子はしょーもないことで死んでしまうんです。
僕は僕のやり方が間違ってないって信じてます!牛島の言葉に、ブレないってのは大事ですよと笑う龍一郎。笑顔を見せ去っていく牛島。
「キミとのキセキ」の歌声が聞こえる。校長バイバーイ!ありがとー!龍一郎に向かって手を振るリビドーズ。

メロライド「ココニアル」をBGMに、サイレントでその後のメンバー。
猿渡と猪之本の漫才に笑う5人。
全力で歌っている馬場と巳木谷を陰から覗いている5人。こっちに来い、と笑顔でジェスチャーする巳木谷。
メガネを掛けケータイを持つ6人に何やら指導をしている金子。
殴り合いになりそうな虎太郎と羊介を心配そうに取り囲む5人、羊介が変顔をしてみんなが笑う。その後、羊介に睨まれ驚く金子。
牛島の授業をちゃんと受ける7人、腕で大きく丸を作る牛島。
羽鳥が虎太郎の衣装を着て踊り、それを竹刀でバシバシ叩きながら指導している牛島。陰から覗いている7人、ケータイで動画を撮っている金子。
楽しそうに踊るバニー、本格的なダンスで対抗する金子。
誰かを待っている虎太郎、羊介が声を掛けようとするが、彼女が現れ2人で去って行く。泣き笑いでペンダントを投げ捨てる羊介。
荷物を持って歩いてくる龍一郎。しょーもな!

エンディング後、制服姿のリビドーズと龍一郎、バニー、羽鳥、牛島まで入ってみんなで「キミとのキセキ」を歌い踊る。
本番中よりも自由に楽しそうに踊るメンバー。意外と踊れる先生たち。

今回の役名は干支から。病に臥している校長の名前が戌一郎で12人。
7人のフルネームは以下。Kis-My-Ft2から取っているようだ。()は稽古中のTシャツ、本番衣装のタンクトップの色。これもキスマイのイメージカラーと同一。
猿渡太輔(ピンク)
金子裕太(黄色)
馬場俊哉(紫)
巳木谷高嗣(緑)
千賀羊介(水色)
北山虎太郎(赤)
猪之本渉(オレンジ)

そして、笹裏龍一郎、バニー野村、羽鳥真彦、牛島俊彦。龍一郎以外の大人3人はたのきんトリオ。

学園祭のシーンとエンディングでは、三戸さん、佐伯さん、よっちゃん、白井さんの胸元にピンマイクが付けられていて、本当に歌っていた。歌選抜で選ばれた人たちらしい。
ダンスはKis-My-Ft2のオリジナルを狭い場所でも出来るよう簡単にアレンジされていた。元から踊れる宮本さん、意外と踊れる佐伯さん、この2人が並んでたので、私の目線はそちらに釘付け。カッコイイ!
1年生ダンサーズのダンスも、サビ以外はアレンジされていた。こちらはもはやプロ。18期の出番が雑すぎるとは思うけど、このカッコ良さは他の人たちじゃ無理だ。最初にソロダンスを踊る人は日替わりで、ちゃっぴー、ギャン、池田、りょう、小幡、ひろた、ちゃっぴーの順。ちゃっぴーさんはいつも切り込み隊長のポジションよね。素敵。千秋楽は狭い場所ながらブレイクダンス全開で、めちゃくちゃカッコ良かった!

同じ制服でもキャラによって着こなしに差が出ていた。虎太郎と猿渡はワイシャツの前を開けてネクタイすらしていない、馬場と羊介と猪之本はちょっとネクタイを緩めてワイシャツは外に出している、金子はベスト着用、巳木谷は第一ボタンまできっちり留めてネクタイもピシッと。オシャレな猿渡だけスニーカーソックスで、他は高校生っぽい白のソックス。

本当に涙を流す佐伯さんとよっちゃんと寺内さんの演技にもらい泣き。ランパンプスはコンビの掛け合い部分で2人とも泣くから凄い。千秋楽では白井さんまで泣いていた。
佐伯さん、ストーリーの前半はずっと俯いて無表情だったけど、少しずつぎこちない笑顔を見せるようになって、終盤では自然な笑顔になっていった。学園祭前日、ようやく人の目を見て話すようになった。学園祭直後のシーンでの鮮やかな笑顔が印象的。サイレントの「その後」では、楽しそうな笑顔でみんなに溶け込んでいた。目を見開いた驚き笑いの表情が可愛かったな。ただダンスのときは真顔になってしまうのが惜しい。あれは役というより素でああなんじゃないかな。さりげなくジョジョポーズを入れていた。表情だけでなく声の起伏も抜群なので、ややこしい役でもバッチリこなして素晴らしい。たまには明るい役も見たいけど。
田井さんの、オープニングでの世界観ダダ漏れな黒尽くめ衣装からド派手なオカマに切り替わる変貌っぷりが素敵。日を追うごとに完璧なオカマになっていった。ピッタリした衣装が似合っててスレンダー。千秋楽では4パターンものお色直し。衣装さんがたくさん用意してくれたので、全部着たとのこと。あのスタイルと雰囲気だから、色々着せたくなるよね。わかるわ。テンション高く動き回る役なので、かなり大変だったようだ。羊介の想いに気付いてそうなシーンが良かったな。しかし変な役が多いよねぇ。完璧に仕上げちゃうから、そういうのが回ってくるんだろうね。

ちょっと演技が心配だった西木さんと宮本さんも、回を追うごとにどんどん感情が出てきてた。
未知数だったマイチェルシーもみんな上手い!三戸さんの人の良さそうなヘラヘラした感じは、巳木谷が気を許すのもわかる人懐っこさ。爆笑王の異名に負けない白井さんもお見事。立石さんの貫禄ある悪役っぷりは素晴らしかった。最後まで悪いヤツ!
舟生さんがひたすらカッコ良かった。ダンスも上手いし演技は自然だし、凄い人だね。
ランパンプスはもう、神保町花月常連組だよね。2人とも本気で泣くし、激昂が上手すぎて怖い。コンビで幼なじみ役で恋愛感情まであって、息ピッタリな彼らに合った役だった。
小川くんの卒なさは凄まじい。変な法律は日替わりだし、アドリブにも即対応して突っ込むし、コロコロ変わる表情だけでも笑いを取るし、ダンスも上手いし。素晴らしい主役だった。

全通すると、終わってしまうのが寂しい。もう生意気で真っ直ぐな彼らに会えないんだなぁ。
ジョニーズ入りを果たした彼らも見てみたいけどね!

[ココニアル – メロライド]

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