ながめくらしつ「君がしじまに」

@沼津ラクーン 19:00

沼津駅前にある商業ビルの最上階、コンクリート打ちっ放しで天井にダクトやパイプが這っているような広い空間があった。沼津の夜景が見える窓の前に黒いマットが置かれ、舞台になっている。

舞台の真ん中に置かれた椅子1脚。ハチロウさんが座り、白いボールを3個、置いたり落としたり身体のあちこちに置いたり。
目黒さんが椅子とボールを持ってやってくる。1個を片手で投げていると、ふいにハチロウさんがキャッチしてリリース。ギョッとする目黒さん。
ハチロウさんのソロ。ボール3個手は2本、のはずなのにどこからどこを通ってどう投げてるのか見失うくらいの複雑で美しい動き。
椅子を片付けてきた目黒さんと再び2人で。
あこさんが入ってきてハチロウさんが去っていく。
目黒さんとあこさんのダンス。ゾンビのようなうつろな目と動きのあこさんが目黒さんに引きずられ抱えられ操られる。
界さんが入ってくる。あこさんと界さんのシンクロしつつズラしつつのダンス。目黒さんも含めて3人でアクロバティックなダンス。
ハチロウさんが入ってくる。様々な倒立や回転の技を決めつつストップモーションな界さんを支える3人。
あこさんのソロ。強烈な眼力で客席を見据えつつ、身体の関節すべてが柔軟な動きを見せる動き。開脚前屈から手で支えることなく上体を起こす筋力とバランスに驚愕する。
目黒さんが入ってくる。再び2人でのダンス。今度はあこさんがアグレッシブに駆け寄る。振り回されたり肩の上に乗ったり。
ハチロウさんが入ってきてあこさんが去っていく。
目黒さんとハチロウさんのボール再び。向かい合って鏡のような動き、離れてシンクロした動き。正面を向くハチロウさんの背後からボールを通したり投げたり載せたり狐を出したり。
シルホイールを転がしつつ界さんが入ってくる。あこさんも入ってきて4人で、シルホイールを支えたり回したり通ったり。回転が弱くなっていくシルホイールの中央へ飛び入る界さん。
界さんのソロ。昨年の初披露のときより、シルホイールの技が格段に増えている。片足を振って斜め回転したり、倒立に近い角度で回転したり、逆手に持ったシルホイールを一瞬で回転させて自分はそのままという技が凄すぎる。
回転するシルホイール、去っていく界さん。ガランガランと音を立て徐々に回転が弱くなり、止まる。暗転。

終演後にはトークショーも。
今回はながめくらしつ「うらのうらは、」で舞台監督をお願いしていた方が主催するイベントという縁で呼ばれたようだ。
舞台脇に使われている衝立は、うらのうらは、で使っていたもの。廃棄しておいてくださいという目黒さんの言葉を聞かず保管していたのだとかw
目黒ロマンティックと名付けられた吊り照明、数ミリの段差も許さない舞台、前日入りした目黒さんと舞台監督で整えていった。舞台のマット1列無いだけでもう出来ないから!とシルホイールを振り返る目黒さん。12,3kgあるのでここだけでやったら2人くらい死んでますよ、と界さん。
とにかく緊張していたらしい男3人と、わりと緊張せずに出来たという豪気なあこさん。
目黒さんは自分では何も考えず、空っぽにして演じている。お客さんの想いの鏡になるような。目黒さんのパフォーマンスを見てポエティックだと思ったのなら貴方自身がポエティックなんです。
今のパフォーマンスを始めたキッカケ、プロになったキッカケという質問。4人とも子供の頃からベースになるようなものを遊びや習い事や部活サークルとしてやっていたという共通点。そしてプロになるキッカケも、よしなろう!と決めたわけでもなく流れでなっていたのも共通している。好きなことをして金が稼げればいいなぁ、という界さんの想い。好きなことはどんどん移り変わるのでどんどん飛び込んでいく。

ハチロウさんのボールで始まり、界さんのシルホイールで終わった。真ん中にはあこさんのダンスソロ。空転劇場で見た目黒あこコンビのゾンビのようなダンス、空転劇場で見た目黒ハチロウコンビのボール、うらのうらは、で見た界さんのストップモーション。
いろんな要素のいいとこ取り。界さんのストップモーションはうらのうらは、で演じていた吉田さんがいない代わりにハチロウさん。目黒ハチロウコンビのボールは前半と後半に分けて。狐がいない…と思っていたら後半に登場してニヤリ。
界さんのシルホイール、初披露だった去年のヨコハマ大道芸で見たときは、頑張って…!と思いながら見ていた記憶。今回は完全にシルホイールのショーになっていてカッコ良かった。安定感が素晴らしいよ。
4人でシルホイールをくぐったり回ったりなところは、うらのうらは、でのキューブを思い出した。
ジャグリング、ダンス、アクロバットのプロを従えてそれぞれと共演して繋いでいく目黒さんの多彩さと構成力が素敵。これだからながめくらしつ好きなんだよな。
沼津の夜景をバックにした舞台という特殊な空間も楽しかった。見に行って良かった。

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