@神保町花月 16:00 H11
楽しかった公演も千秋楽。さらっと覚書を。
男が裸で縛られ、顔には麻袋が被せられている。男に近寄った青年たち(青山/和田)は、男のブリーフに挟まっているカードを見つける。こらしめや?こらしめやって本当にいたんだ。都市伝説だと思ってた。
キュルキュルキュル…とテープを巻き戻すような音。
青暗い照明の中、男(関町)が揺れている。俺、死ぬのかな。さっき岩で頭打ったしな。死に際に走馬灯のように楽しかった思い出が蘇るっていうけど、俺なんも出てこないよ!ああ、記憶が…。
見知らぬ部屋で起き上がった男は、短髪メガネの松戸(松橋)とロン毛の梶(田所)の部屋で保護されていた。幼なじみで一緒にこのマンションに住んでいるという彼らが、釣りをしていたら人が落ちてきたのだという。
男には記憶が無かった。名前も住所も思い出せないのに、イカの天ぷらが好きだという記憶だけが蘇る。
身体中にあるアザ、崖から落ちても骨に異常がない強靭な身体、男は自分が殺し屋ではないかと思い込む。しかし梶に真剣白刃取りを挑まれても失敗しまくり。着ていた服からクロロホルムの瓶が見つかり、疑っていた2人も信じ始める。騒いでいたら、隣の部屋から壁を叩く音が聞こえた。
隣人に陰湿な嫌がらせを受けているので、殺し屋ならあいつを殺してくれよ、と依頼を受ける。命の恩人の言うこと聞いてくれよ、と言われ承諾してしまう男。
ミキ(田代)はいなくなってしまった恋人を心配している。仕事が上手くいってないと言っていた。命に関わる仕事だから、正義感の強い彼は辛かったのかも。その恋人の親友である金城(児玉)は、大人なんだから3日くらいいなくなったくらいで騒ぐことじゃないと諭す。あいつは仕事で出会った女と連絡を取っていたという金城の言葉を信じないミキ。きっと帰ってくるから。ミキちゃんは笑顔の方が似合うよ。
隣人の宮崎(宮地)は、訪ねてきた男を部屋に上げ、面白いヤツだともてなしてくれた。いい人じゃん!と思いつつも、松戸たちの頼みを聞かなければならない。
執拗に背後を狙う男を疑い始めた宮崎。男はとっさに宮崎の顔にタオルを押し付け、クロロホルムを嗅がせる。
部屋に入ってきた2人と会話しているうちに、断片的に記憶が蘇ってきた男。こらしめてやる、という言葉を思い出す。
殺し屋ではなく、こらしめやだった。殺しはしないが、死に値するくらいにこらしめる。きっとそうだ、とまたしても思い込む男。
宮崎は、裸で縛られ、雨の中マンションの通路に放置された。ブリーフには、あなたを恨む人がこらしめますというカードが。
富士宮薬品の赤木(赤羽)が部下(岸)と共に歩いていると、ミキがやってくる。ゼロくんの彼女?と聞いてしまうが、ミキにはなんのことかわからない。富士宮薬品を辞めたあと、彼がいなくなったんです!と追いすがる。しつこいミキを振り切り、立ち去る赤木。そこへ金城がやってくる。もうあいつは戻ってこないかもしれない。俺がそばにいるからさ…。ミキは金城の言葉も聞かず、あいつが彼を殺したんだ、と去っていく。
赤木は、取り柄もなく何もできないミキの彼氏を、ゼロと呼んでいた。彼氏が彼氏なら彼女も彼女だな。
すっきりした!と喜んでいる松戸と梶。理由を聞くと、ついに宮崎が引っ越したのだという。あんな辱めを受けたら引っ越すよな。マンションの他の住人にも嫌がらせをしていたらしく、犯人が誰かはわからないはず。
そこで松戸は提案する。「こらしめや」をやってみないか?殺したいほど憎い人はいるけど、依頼しただけでも捕まってしまうから殺せない、けど辱めるくらいなら依頼が殺到するのではないか。どんな機密サイトにでも入り込んでしまう天才ハッカーの松戸は、簡単に闇サイトを作り上げてしまった。
梶がこらしめやのために用意したのは、緑の全身タイツに黄色のラインが入った衣装だった。あなたをこらしめにきました、という決め台詞と親指を突き出す決めポーズも決まり、早速入った依頼を遂行するために出かけていくこらしめや。
次々と依頼をこなすこらしめや。怪しい人物(ゲスト)もどうにか倒す。
松戸に背中を叩かれた男は、自分が崖から背中を押されて海に落ちるシーンを思い出す。しかし誰に押されたのかはわからない。
クロロホルムの残りが少なくなってきたことを心配する男。松戸は、発注しておいたと笑う。梶が重そうに持ってきた箱には、大量のクロロホルムが。富士宮薬品と書かれた瓶を見て、富士宮薬品のビルに行ったことがあると思い出す。
ミキはこらしめやのサイトを見つける。彼を殺したかもしれない、と、赤木をこらしめるよう依頼した。
次のターゲットは、富士宮薬品の赤木ハル。その名前を聞き、記憶が蘇る男。罵られ、ゼロと呼ばれているシーン。僕、その人に会ったことあります。その人なら僕のこと全部知ってる気がします。行ってきます!
松戸が止めるのも聞かず、出ていく男。
走っている最中、再び記憶が蘇る。会社を辞めろ、と社員たち(ネルソンズ)から暴行を受けているシーン。そこに赤木もやってきた。辞めてくれないかな、中村くん、いや…ゼロくん。
松戸は富士宮薬品の社員リストを調べていた。そこに見つけたのは、中村ユウタという名前。これが記憶をなくした男、こらしめやの正体だった。ただのサラリーマンじゃないか!
すべてを思い出した男からかかってきた電話に出た松戸は、帰ってくるように言う。しかし中村は、あいつはこらしめなければいけない、と富士宮薬品へと向かう。
依頼者がわかれば、もっと真相を知ることができるかもしれない。匿名になっているはずの依頼者だが、松戸の手にかかれば調べるのは簡単だった。
どこかと電話している赤木。俺がいなかったら商売できないだろ?代金20%増しだからな?部下に歌舞伎町の医者へと薬を運ぶよう指示する。出ていこうとした部下が、ヨロヨロと部屋に戻ってきて昏倒した。
こらしめやと対峙する赤木。屈強な部下たち(青山/和田)が出てくるが、富士宮薬品製のクロロホルムですべて眠らされてしまう。
闇医者に薬を横流ししたり、闇サイトで薬を転売して儲けている赤木。しかし社長以外の全社員は赤木の手中にいる。金と女ですべてを思い通りにしてきた。しかし唯一反抗して社長に報告すると言っていた社員は、部下たちと総出でボコボコにして公園に捨ててやった。
それは俺だ、と気付いた中村。命乞いする赤木を殴り、俺を海に突き落としただろう!と叫ぶ。しかし赤木は、公園に捨てただけで海は知らないと言い張る。
赤木を殺そうとした中村を止めたのは、松戸だった。依頼者はそれを望んでいない。
そこにいたのは、ミキだった。すべてを思い出した中村は、ミキと抱き合う。
金城もここへ来ると知り、驚かすために隠れる中村。何も知らずにやってきた金城の背中を叩いた中村。化けて出た!と驚き腰を抜かす金城。
ほとんどの記憶は思い出したが、自分を海に突き落とした人物だけは思い出せない。パズルの最後の1ピースが埋まらないみたいで気持ち悪くない?と言う梶。しかし恋人と親友のことを思い出せただけで充分だと笑う中村。今日で「こらしめや」は閉店です、と頭を下げる松戸と梶。こういうのは足が付くとダメなんだよ。小遣い稼ぎもできたしな。
こらしめやってなんだよ?と不思議そうな金城に、久しぶりに3人でご飯でも食べながら話そうと提案する中村。
金城に背中を叩かれた瞬間、記憶が蘇る。
雨の公園で倒れている中村。それを助け起こす金城。車を降りた金城が中村を連れていった先は、海を見下ろす崖だった。おまえが死ねば、ミキちゃんは俺のものだ。さよなら、元彼さん。
梶さん、パズルのピースが全部埋まりました。僕にはまだ、こらしめなければならない人がいるようです。
男が裸で縛られ、顔には麻袋が被せられている。男に近寄った青年たち(青山/和田)が麻袋を取ると、金城が叫ぶ。助けてくださーい!
テーマソングはキック・アスのヒットガール登場曲。関町さんの衣装はキック・アスの緑の全身タイツのアレ。松橋さんはメガネだし田所さんはロン毛。黒いハイネックとジーンズでお揃い。ビッグ・ダディとヒットガール?…まさかね。
たくさん笑ってちょっとゾワッとした公演。わざわざロケをしたと思われる映像が素晴らしい。赤羽さんと児玉さんが悪役だったけど、かなり似合うし怖い。2人とも普段がにこやかだから、無表情が妙に恐ろしいのよね。
ネルソンズなのにアクションが少ない!と思っていたところに、千秋楽では青山くんが関町さんを担ぎ上げて振り回すという暴挙に。ステキ!それを見たかった!2人ともフラフラになってたけど。
田代さんが楽しそうに赤羽さんに引きずられてて、女優だと思った。体当たり凄い。しかも田代さんのアドリブだったとか。ますます凄い。可愛いしパワフルだし、今後も神保町花月に出てくれたら嬉しいな。
もしかしたら再演もあるかも?ないかも?てな感じのことを言っていた。あるのかなぁ。宮地さん脚本だから、あるのかも?
[Banana Splits – The Dickies]