@神保町花月 15:00 H7
7期公演千秋楽も終わり。三者三様のストーリーを簡単にまとめ。
高台に立っている、スーツを着た男(桑原)。
旅館の一番良い部屋を予約している青年、金井武蔵(小林)。仕事が終わり、次の仕事を受けている黒尽くめの男(田中)。パチンコに負けたと嘆いている青年(福田)。
スーツの男が、鐘を4回鳴らした。
オープニング、舞台左右から1人ずつ登場、真ん中ですれ違う。
LLR:パーカーを着た福田、トレンチコートにハットにサングラスにマスクの伊藤。福田が伊藤を振り返る。
ミルククラウン:黒のジャケットを着た竹内、派手なシャツを着たジェントル。すれ違いざまに睨み合い。
クレオパトラ:スーツを着た桑原、赤いアロハシャツを着て前髪を結んでいる長谷川。スキップで駆け抜ける長谷川を振り返る桑原。
ライパッチ:黒尽くめの田中、Tシャツを着た小林。すれ違いざまに肩がぶつかるが、田中は振り向きもせず立ち去る。
こんにちは計画:スカジャンにサングラスの杉田、黒いポンチョで衣装を隠した田島。お互いをチラッと見てすれ違う。
ジンギスキャン:高台の上。白いワイシャツに白いベストを着た上村、白いワイシャツにサスペンダーの竹原。その場に留まる。
前方向かって左から、長谷川/田島/小林、竹内/田中/杉田、福田/ジェントル。後方左から、伊藤/上村/竹原、桑原。
「にんじん」脚本:神保町写楽(LLR伊藤)
うさちゃんマンという絵本を読み聞かせている女性(倉田)。うさちゃんマンは正義のヒーロー。今日も困ってる人を助けています。これにて一件落ピョン!
ムーちゃん、鐘が鳴ったから帰りましょう。母ちゃん、手つないで!もう、ムーちゃんは甘えん坊ね。
ゴールデンウィーク目前、3年付き合った彼女のサツキに、好きな人が出来たと振られた武蔵(小林)。プロポーズしようとしていた。28年も生きてればこんなこともあるさ。
うさちゃんマン(田島)が現れ、寂しいんだろ?と慰めようとするが、しょうがないことだと武蔵はうさちゃんマンを追い返す。
大学時代の友人の東(長谷川)がコンパの誘いに来る。ママを崇拝するマザコンの東は、サツキと武蔵の母親が仲良く連絡を取りあっていることを羨ましがる。仕事のことで母親を嫌っている武蔵。東が両親の仕事について尋ねても、母親は本を書いている、父親の仕事は聞いたら後悔するぞとはぐらかされる。
コンパの相手が、東がバイト先の居酒屋で知り合ったナースだと知り喜ぶ武蔵。ナースがエロいと言う武蔵、母性本能の塊だからママだと言う東。AVにナースが出てくると言う武蔵に、エロマンガ派だと断言する東。花びら満月先生の大ファンで108巻すべて持っている。
また連絡する、と去っていく東。入れ替わりに現れるうさちゃんマン。
東にも母親にも本当のことを言わない武蔵に、悲しませるから言いたくないんだろ?と尋ねるうさちゃんマン。花びら満月という名前でエロマンガを描いている母親なんか好きじゃないと言い張る武蔵。
しょうがないを繰り返す武蔵に怒鳴るうさちゃんマン。いいかげんにしろよ!しょうがないしょうがないってさぁ、本当にそれでいいのか?戻れなくなるぞ。わかってんだろ?俺が姿を現した理由。誰かに慰めて欲しいんだろ?おまえは寂しがりやのうさぎなんだよ。泣けよ!ほら泣けよ!!
母親(倉田)からの電話。サツキと別れたことを察する。現れたうさちゃんマンとともに、悲しいんだよね?泣いていいんだよ?と武蔵に伝える。なんで俺の言って欲しいこと言ってくれるんだよ。そんなの簡単だよ。私はね、ムーちゃんのことが大好きなんだから。
鐘の音。
車のクラクション。衝突音。
母ちゃん!?近くで起きた事故に驚いて携帯を落としてしまった母親。久しぶりに母ちゃんと呼んでくれたことを喜ぶ。
うさちゃんマンと向き合っている武蔵。ムーちゃんはもう1人で大丈夫だ。だからサヨナラだ。でも、いつでも呼んでくれていいんだよ。これにて一件落ピョン!
サツキからの電話。ありがとな。俺、おまえのおかげで強くなれた。だからおまえとは付き合えない。どっちが幸せになるか勝負だな!じゃあ、サヨナラ。
明日は、いいことあるかな。
うさちゃんマンに抱きついている武蔵。新しい彼女がナースなんだけどぉ、病院長と浮気するのー!うさちゃんマンふわっふわだねー!…ダメだこりゃ。
踊り出す武蔵とうさちゃんマン。うさぎ耳を付けたバックダンサー(パラダイス男児/ベストセラー)とともに踊る踊る。
幕間。ナースとのコンパでもママを超える女性が見つからなかったと泣いている東。うさちゃんマンが現れるが、グイグイ来る東を嫌がる。ムーちゃんとノリが違うんだよ…。
「暗闇のゴールデンイーグル」脚本:クレオパトラ桑原
凄腕の殺し屋、黄金のタカ(田中)。敵の罠にハマり、恋人のマリア(松田)が身代わりになり撃たれた。
ホテルの一室。タツオ(杉田)はタカの罠にハマり、撃たれた。直後にタツオの恋人のアリサ(松田)がやってくる。銃を向けた手を下ろすタカ。マリア…。
ジョー(竹内)は、ターゲットの女を殺さずに連れて来たタカに激怒していた。アリサがきっかけでタカやタカに仕事を斡旋している自分の素性がバレることを恐れている。しかしアリサがタカの昔の恋人マリアにそっくりだと知り言葉を無くす。
アリサはタツオのいない世界など意味が無い、自分を殺せとタカに迫る。タカはアリサを部屋から出さず自殺もさせないよう、ジョーに金を渡し見張らせた。タカはマリアのときの失敗を、マリアにそっくりなお嬢ちゃんを救うことで取り返そうとしてるんだ。でも、あたしはマリアじゃない。
タカはタツオ殺害を依頼した暗黒街一の組織、黒龍会に来ていた。ウー(竹原)とロン(上村)の案内で、ボスのラウ・ラオバン(伊藤)に会う。頼みがあると言うタカの言葉を遮り、ラウはタカに小さな願いを聞いて欲しいと言う。ターゲットであるタツオには親密な関係の女がいた。そいつを探し出して殺して欲しい。断る。
黄金のタカが狂ったという情報は本当だった。おまえら、こいつを殺せ。ラウの手下(パラダイス男児/ベストセラー)を素手で倒すタカ。剣を携えたウーとロンも倒す。
あの女に手を出すな。俺は殺し屋をやめる。俺の周りにも近付くな。タカに剣を向けられたラウは無言で頷く。
タカが部屋に戻ると、ジョーはアリサが風呂に入っていると言う。どうだった?上手くいった。だがこの街にいるのは危険だ。俺は殺し屋をやめる。アリサを全力で逃がす。マリアのときのような後悔はしたくないんだ。そうか…。
出てきたアリサは、タカを刺した。その包丁、俺が差し入れしたんだ。おまえがお嬢ちゃんを連れてきたこと、俺がラウの野郎に教えた。暗黒街一の組織と一介の殺し屋、どっちにつけば得かなんて小学生でもわかるだろ。
ジョーはアリサに銃を向ける。狂った黄金のタカとお嬢ちゃんの首を持っていけば、あいつら俺を幹部として迎えてくれるらしい。こんなに上手くいくとはね。
アリサをかばったタカは、ジョーの銃弾に倒れた。タカは倒れる寸前、ジョーを撃った。マリア、すまなかった…。
鐘の音。
ジョーは倒れたタカにすがるアリサに銃を向け、撃つ。倒れるアリサ。不気味に笑いながら部屋を出て行くジョー。
車のクラクション。衝突音。
幕間。ラウがウーとロンの死を嘆いている。そこへタツオそっくりの男がやってくる。前田タツオの双子の弟、リュウジだった。兄は余命2ヶ月の命でした。生涯一のライバルと認めたあなたの放った刺客で死ねて本望だと思います。タッちゃん…。なんかすごい罪悪感ー!悲しいー!悲しいのかい?現れたうさちゃんマンに驚くラウ。
「金色がかりて蝶が舞う」脚本:クレオパトラ長谷川
せせらぎの音。
高台に立っている、スーツの男(桑原)とノギオ(福田)。じゃあ、行きましょうか。ちょっと待って。なんでこうなったのか、思い出すから。
ノギオは30歳になるマンガ家。恋人のミドリ(児玉)は、パチンコばかりのノギオが折半の約束だった家賃も払えないことに不安を抱いている。
北村(ジェントル)はマンガ家を目指してノギオとともに上京してきた。青年マンガを描いてみないかと言う北村の言葉を否定するノギオ。
夢見が丘、覚えてるか?あの丘で夢語り合ったよな。ギャンブルに明け暮れるノギオと違い真面目にシナリオを考えていた北村は、編集者から別のマンガ家と組んでみないかと誘われている。
やけ酒をあおって家に帰ったノギオは、「ありがとう」と書き置きを残してミドリがいなくなっていることに気付く。
気付いたら僕は、あの丘にいました。昔を思い出すノギオ。
コンビでマンガ家を目指すノギオと北村。夢見が丘から輩出されたマンガ家、花びら満月先生に続くのです!ミドリはノギオに、東京に連れて行ってと頼む。ノギオちゃんが成功するまで、ずっと近くで見ていたい。
鐘の音。
ノギオの声が聞こえる。本当に頑張ったのか?マンガを言い訳にしてギャンブルしたり酒を飲んだり。そんな甲斐性なし男は振られて当たり前、コンビ解消されて当たり前。夢を言い訳に、夢に挫折し、最後は何も出来ずにジ・エンド。
やめろよ!走り出すノギオ。
車のクラクション。衝突音。
せせらぎの音。
高台に立っている、スーツの男とノギオ。そう、交通事故です。じゃあ、行きましょうか。この三途の川を越えれば、新しい世界です。待って!最後に、ミドリと北村に会わせてくれ!会わせることは出来ませんが、今の2人を見せることなら出来ますよ。
喪服を着ているミドリと北村。
冗談だよな?人生からも逃げるのかよ!少年マンガはダメだったけど、青年マンガなら絶対に上手く行ってたんだ。俺はおまえの絵じゃないとマンガ描く意味ないんだよ!
ノギオちゃん、ごめんね。今さら再確認したの、ノギオちゃんが大好きなこと。あたしが頑張れば、ノギオちゃんの素晴らしい才能が世に出るまで見届けられたのに。
俺、今まで本気出してなかったんだ。俺の人生、ずっと休載中だったけど、俺の手で最後まで描き切らないと!スーツの男を殴り、メガネを奪って走り去るノギオ。ちょっと、死神を殴って生き返るなんて!閻魔様にもぶたれたことないのに!
鐘の音。
…夢か。金色に輝く陽の光を眺めるノギオ。そこへミドリがやってくる。1日って何もしないとすぐに過ぎていくけど、最後に何かに抵抗するように金色に輝くんだ。俺も最後にこうやって輝きたい。2人の人生、最後までちゃんと描き切るから。最後の1ページまで一緒にいてください。もう少し信じてあげる。ノギオちゃんの描く絵の中に、最後まで登場していたい。
北村に電話するノギオ。原作の話、断れよ。おまえの原作は俺しか描いちゃダメなんだ。それと、青年マンガやってみるか。俺たちの可能性はこんなもんじゃないからな。
ノギオのポケットに入っているメガネに気付くミドリ。驚愕の表情を浮かべるノギオ。
スーツの男が泣きそうな顔で頬を押さえている。閻魔様にぶたれた!
1年後。
武蔵は11年ぶりに帰省していた。母親と話す武蔵を見守るうさちゃんマン。花ちゃーん!武蔵の父親、ラウがやってくる。母親といちゃつくラウ。その姿、黒龍会の部下に見せてやりたいぜ!
東がバイトしている居酒屋へやってきたノギオと北村。花びら満月先生と対談だなんて!そこへ武蔵の母親、花びら満月がやってくる。花びら満月の名前に食いつく東。えー!花びら満月先生って、女だったの!?
スーツの男が、ウー、ロン、ジョー、タカ、アリサを連れて来る。なんで俺たちが死ななきゃならねーんだよ、みんなでボコっちまおうぜ!ウー、ロン、ジョーが男を殴る。死神はタカに助けを求めるが、殴られそうになりアリサに助けを求める。ビンタ。
なんだかんだで、ゴールデン!!!
ほのぼので可愛い伊藤ちゃん脚本、クールでカッコイイ桑原さん脚本、幻想的で熱い長谷川さん脚本。
すべての配役がピッタリ!
強がり続ける武蔵、暴走するマザコンの東、可愛い声と渋い声を使い分けるうさちゃんマン、激しい殺陣を繰り広げるタカとウーとロン、冷静でズルい大人のジョー、貫禄たっぷりのラウ、強烈な個性のタツオ、ダメ人間っぷりを発揮するノギオ、真面目で熱い北村、残念極まりない死神。
そしてアドリブも完璧な女優陣と、ダンスやアクションに色を添える17期生たち。
白坂さんの美しく妖しくカッコイイ演出も素晴らしい!
死神とノギオがミドリと北村の姿を見る、シルエットだけになるシーンが大好き。スタイルの良い2人だけに、あれは美しい。あとはうさちゃんマン登場時の薄青い照明も綺麗。去り際の強烈なスポットも素敵。黒龍会事務所の妖しげな紫の照明も雰囲気たっぷり。エンディング後に幕が閉まるときの照明も金色だったんだよ。そういうこだわり、好きだなぁ。
全体のオープニングも個々のオープニングも良かったなぁ。暗闇のゴールデンイーグルのオープニングが一番好き。曲と登場タイミングがピッタリでカッコイイ!
1年後のストーリーでは、脚本家が自分の書いた登場人物と会う展開に。3つのストーリーがこんな風に集約されるとは。
金井武蔵、金髪の黄金のタカ、金色に輝く夢見が丘、金色のセット、金色の照明、鐘の音、共通の交通事故。
飛び出したノギオをジョーの車が轢いて、花びら満月先生が目撃したってことだよね。夢見が丘のすぐ近くに暗黒街があることになるんだけどw平和そうな丘が銃弾飛び交う戦場に…?
うさちゃんマン登場前後、武蔵があくびしてたり寝てたりするのは、うさちゃんマンが武蔵の夢に出てくるってことなのかな。
ノギオが死神と会ったのは、夢ではないんだよね。タイトルの蝶は、これから輝くノギオのことだろうか。
田中さんとジンギスキャンの殺陣指導は椎橋ジャスタウェイ先生。魅せるアクション、さすがです。
ジャケットを翻して立ち回る田中さん、ホントにカッコ良かった。人を土台に完全に宙に浮いた状態で蹴りを放ったシーン、めちゃくちゃカッコ良かったよ!あれはどよめいたよね。
最後に竹原さんが背後から斬られて倒れる。これもまたカッコ良くてね!大柄で血気盛んな子分と、小柄だけど冷徹で残忍な兄貴、という役のジンギスキャンが素敵だった。桑原さん脚本は、わかってらっしゃる!と叫びたくなるような配役。ジンギスキャンは雑魚役にしておくにはもったいない。次こそは頼みますよ。
小林さんと田島さんと17期のうさぎダンスも可愛かった。小林さん振り付けだろうか。田島さん全然踊れてないけどwキレキレな小林さんカッコイイ。
にんじんは長谷川さんが一番の長身という小柄なチームだったので、本当に可愛い雰囲気で良かった。うさちゃんマンの違和感のなさに気付かなかったけど、田島さんのちゃんとした演技見たの初めてだった。上手いんだねぇ。にんじんソードを武蔵に向けて、にんじん食べるぅ?って聞くのが可愛くて可愛くて。田島さんの高めの声とピッタリ。
7期はライパッチが大好きだよね。2人とも主演だもんね。得意分野を引き出す力が素晴らしい。
長谷川さんは福田さん主役で書きたかったようで、福田さんが台本を見た途端、これ俺じゃん!と叫んだとか。自由なシーンも多くて、長谷川さんの福田さんへの期待値が窺える。
7期ならではのドラマとアドリブ満載の公演だった。連日満員で素晴らしい。またやって欲しいな。
[Carve with the Sense – ACIDMAN]