クレオパトラ二人芝居第六回公演「謎ト答」

@しもきた空間リバティ 14:00

2012年8月の単独ライブ、2013年2月の神保町花月公演、そして今回の二人芝居。「謎」と「答」のディレクターズカット版。

開演前の客席には、2006年8月の情報番組ミノル屋と2016年4月2日の情報番組ミノル屋が繰り返し流れている。10年前のマンションで起きた殺人事件。女子高生に都市伝説を聞き込みに行くミノル。

野次馬たちを遠ざけようと必死な新人警官(モネ)。ダボダボの制服だけどおさがりじゃねーよ!正面突破してくる野次馬(アチャ)。このマンションの周辺では写真も動画も禁止!演出の妨げになるから!銃を野次馬に向け、手錠をかける新人警官。見せしめだぞー!やった、初めての検挙だ!たぶん違うと思うけど…。連行されていく野次馬。カツ丼食うか?カツ丼!食う!

白いドア。黒い箱。黒いワイシャツ、黒いズボン。
花火の音。女(長谷川)にナイフを向ける男(桑原)。なんで家に入れたんだ!?一緒に花火を見たかったから…。手帳、見ちゃったんだ。じゃあ、知っちゃったんだ…。どうしてあんな酷いことするんだ!?女の腹にナイフを突き立ててしまう男。うわぁぁぁーーー!!!!!

10年間逃げ続けてきた男(桑原)。俺、自首しようと思ってるんだ。もう思い出したくないんだよ、10年前の花火の日のこと。

管理人の証言。管理人の我修院カンリ(桑原)とその妻スガコ(長谷川)。10年前の事件?ああ、覚えてるよ。
花火を見に行こうとしている管理人。妻は誰かと電話している。大丈夫、聞かれてないわ。愛してるわ水口さん。バッチリ聞いてるよ!誰だそれ浮気か!?あなたが私を管理しないからでしょ!管理してるよ!じゃあ私の好きな食べ物は?たべっ子どうぶつ。…管理されてる!かーんり、セキュリティしよっ!抱き合う夫婦。

スイーツパラダイスで待っているイチゴ(桑原)。遅れてやってくるアイ(長谷川)。連結部分が…。ああ、電車?チエンしてて…。そっか。甘かったかな。そうだね、結構甘いよ。ケーキが気になるの。食べればいいじゃん!新聞にくるんでビニール袋に入れて…。お持ち帰りしないよ!?食べ放題なんだからさ。

隣人の証言。隣人の奥さんのタエコ(長谷川)とボケたおじいさんのコウタロウ(桑原)。
あの日は旦那と子供と花火を見に行っていました。でも私だけ途中で帰ってきたんです。そしたらマンションの廊下が血だらけで!隣の部屋に続いていたんです。ドアが少しだけ開いていて、部屋の中を覗いたら、人影が見えたんです。
裏の池がなんと呼ばれているか知っとるか?詩人の池と言ってな、詩にしたくなる美しさと言われているんじゃ。

管理人の証言。防犯カメラに写っていた不審な人影が犯人じゃないかと。しかしそれだと奥さんの証言と合わないんです。この辺りに昔から伝わる伝説、鬼婆の亡霊でも出たのかもしれませんな。

目撃者の証言。酔っぱらいのオタク2人。ベップ氏(桑原)とテシガワラ氏(長谷川)。
宇宙人モノ、恋愛モノ、妄想でドラマを作り上げ遊ぶ2人。こんな趣味の話を一緒に出来る友達なんてずっと居なかったでござる。私もであります。恋愛モノの流れで抱き合っているところを警察に注意されてしまう。抱き合っている管理人夫婦を目撃する2人。
マンションの裏口から、血の付いたナイフを持った男(桑原)が出てくるのを目撃してしまうテシガワラ氏。しかし警察に通報しても酔っぱらいの戯言として処理されてしまった。

10年間逃げ続けてきた男。洗っても洗っても血が落ちないんだ…。

ギャル2人による都市伝説の話。ナオコ(桑原)とユウコ(長谷川)。えー、これミノル屋じゃね!?
殺戮カップルの都市伝説を語るナオコ。飽きてスマホをいじるユウコ。10年前に起きた実際の事件が都市伝説化しているらしい。

10年間逃げ続けてきた男。あの事件が都市伝説になってるのか!?確かに謎が多い事件だったからな…。

厳格な刑事のエナリ(桑原)とチャラい刑事の栗林(長谷川)。聞き込みに行っていた栗林の証言。この辺オレの地元ッス。魚屋のもっくんのところで被害者の龍宮寺アイが働いてたんスよ。ジジイから聞いた話、聞きます?コウタロウが語る池の大蛇の池と鬼婆の伝説。
目撃者の2人が怪しいと疑う2人。早速呼んで事情聴取しましょう。

目撃者の証言。警察署内に大興奮のベップ氏とテシガワラ氏。
あのときは2人でキスしてて…あ、いや、ふざけてそんな空気になっただけで…。僕は本気だった!テシガワラ氏…!ベップ氏…!
ゲイカップル誕生に呆然とするエナリ。どういうことだ!?

管理人の証言。奥さんが管理人室に飛び込んできたんですよ。現場に行ったとき、一目見て死体だとわかりました。正直、テンションが上りました。テレビのサスペンスドラマでしか見たことなかったですけどね。
しかし、奥さんが部屋の中で見た男の姿、防犯カメラに映っていた時間より後だったんです。
殺された女性についてですか?龍宮寺アイという子でね、モデルを目指していたみたいですよ。なんでも資産家の娘とか。このマンションは家族で住むようなところで部屋数も多いですから、一人暮らしは珍しいですよ。あの子はちょっと不思議な子でしたね。

チャイムの音。今日でこの学校ともお別れか!イチゴが、友人の野呂(長谷川)と話している。イチゴ、おまえ東京行っちゃうんだろ?ああ、マンガ家になるんだ。俺は実家の電気屋を継ぐからなぁ。カラオケでも行くか!
俺たちのアイドル、龍宮寺アイと3年間一度も話せなかったな。一緒にしないでくれるか?野呂は卒業アルバムを見せる。『卒業してもずっと見ててね』?この字、まさか龍宮寺アイの!?あ、俺の字。筆跡コピーを身に着けたんだ。おまえよりランクが上だぞ!
2人の目線の先に、アイが通り掛かる。微笑んだ彼女を見て大喜びのイチゴ。白目になって気絶した野呂。

出版社からの帰り道、ボロクソに言われて凹んでた俺は魚屋で働くアイに再会したんだ。
高校時代、廊下に張り出されていたイチゴの絵を見て良いと思っていたアイは、メールアドレスをイチゴに渡す。連絡してね。気が動転するイチゴ。
それから何度かデートを重ねたよ。美術館とかバッティングセンターとか。出会うべきじゃなかったんだ…。ねえ、私の絵を描いて!いいよ。
どんどん元気がなくなっていくアイ。彼女はおかしくなっていったんだ。そして何度頼んでも家には上げてくれなかった。
マンションの裏の池に伝わる、恋する大蛇の伝説を語るアイ。愛した少女を食べてしまった大蛇。神様が年に一度だけ2人を会わせてくれるようになった。
ねえ、これってハッピーエンドかな?うーん、死んじゃってるしなぁ。
イチゴくん、愛する人を殺さなければならなくなったら、どうする?俺はそんなこと絶対にしない!…そうだよね。
俺と、付き合ってくれませんか!?…考えさせて。

10年間逃げ続けてきた男。彼女が何を考えているのか、さっぱりわからなかった。もっと早く気付いてあげられれば…。

野呂、久しぶり。5年ぶりだな!おまえが東京に来るなんて珍しいな。そうでもないぞ。東京にはたまにゴミ拾いで来るからな!凄いボランティア精神だな。
実はアイと付き合えそうなんだ。ジョークだろ!?他の男より俺の方がいいだろ?おまえが一番イヤだよ。
でも最近、アイの様子がおかしいんだ。なんだそれ、浮気か?

フレンチレストランにやってきた2人。元気がないアイを心配するイチゴ。
テーブルの上の料理をすべてなぎ払うアイ。私はいったい何なの!?私は誰なの!?

アイはたまに、人が変わったようになるんだよ…。女性はヒステリックになるものさ。

俺とアイは付き合っていなかった。でも愛し合ってたんだ。

栗林がイチゴの家を訪ねてくる。最近このあたりで男性が行方不明になる事件が起きてるんだけど、何か知ってる?龍宮寺アイと関係のある男性ばかりなんだ。何も知りません…。そうだよねー。

花火を楽しみにするアイ。アイ、俺に何か隠してることはない?
花火の日、部屋に行ってもいい?…いいよ。やった!

私、いっちゃんのことが好き。
あなたは、愛した人を殺してしまうのよ。
もう1人の私(桑原)…。
モデルになる夢を見て上京しただけなのに、なんでこんなことに…!

手帳を開くアイ。
2006年4月。1人暮らしを始めた。
人生初の彼氏が出来た。同じモデル事務所の男の子。
最近おかしなことが起きる。部屋にある物の配置が微妙に変わっていたり、私が行ってない場所で私を見たという人が複数いたり。怖い。
彼氏が死んだ。昨日一緒にベッドで寝て、朝起きたら死んでた。なんで?私がやったの?わからない。死体はクローゼットに隠した。
私は二重人格なのかもしれない。私と付き合う人はみんな死んでいく。
私は私を守る。私が書いたものじゃない…でもこれは私の筆跡…やっぱり私の中にもう一人の私がいるんだ。
クローゼットから腐臭がする。ドライアイスや氷が必要だ。魚屋でバイトを始めた。そこでイチゴくんに再会した。業務用の冷凍庫を譲り受けた。凍っていく死体。
チェーンソーを買った。死体をバラバラにする。思ったより時間が掛かってしまい、イチゴくんとのデートに遅れてしまった。
骨の連結部分が…。ああ、電車?チェーンソーで…。そっか。考えが甘かったかな。そうだね、結構甘いよ。刑期が気になるの。食べればいいじゃん!新聞にくるんでビニール袋に入れて…。お持ち帰りしないよ!?食べ放題なんだからさ。
切り刻んだ死体は裏の池に捨てた。
すべてをイチゴくんに打ち明けようと思う。打ち明けて、それから…。

花火の音。アイにナイフを向けるイチゴ。なんで家に入れたんだ!?一緒に花火を見たかったから…。手帳、見ちゃったんだ。じゃあ、知っちゃったんだ…。どうしてあんな酷いことするんだ!?
気付いたら死んでるの!私は二重人格なのかもしれない。付き合ったら殺してしまうから、だからもっと早く言えば良かった。
イチゴくんのことは高校の頃から好きだったの。イチゴくんの絵を見て、どんな人なんだろうって思ってた。
どんなことでも話して欲しかった。ずっと好きだったんだ。
私も好きだった。卒業式の日、話し掛けようと思ってたのに勇気が出なくて、微笑むだけで精一杯だった。
今からでも遅くない!俺は殺されない、死なないよ!ずっと好きでいる!渡したいものがあるんだ。紙袋を取ろうとするイチゴ。ナイフを奪うアイ。
もう無理なの!ずっと一緒にいたいのに、未来が見えないの!どうしたら良かったの!?答えを教えてよ…!
ナイフを奪おうと揉み合う内、アイの腹にナイフを突き立ててしまうイチゴ。
いっちゃん、早く逃げて…自殺だと思われるから。
うわぁぁぁーーー!!!!!部屋を飛び出すイチゴ。

花火の音。
電話している奥さん。アニメの話で盛り上がっているテシガワラ氏とベップ氏。花火を見に行こうとする管理人と妻。言い合いをするイチゴとアイ。
4組のバラバラな会話が少しずつ繋がっていく。
抱き合う管理人と妻、イチゴにナイフで刺されるアイ、叫ぶおじいさん、抱き合うテシガワラ氏とベップ氏。
花火の音。
答えは…私が居なければ良かったのよ!
うわぁぁぁーーー!!!!!部屋を飛び出すイチゴ。
マンションの裏手で、逃げていくイチゴを目撃して驚くテシガワラ氏。戻ってきた奥さんが管理人に伝える。倒れているアイを見付け、驚く管理人。

これが、あの日の出来事だ。イチゴは野呂に語る。
なんで殺しなんてしちゃったんだよ…。最後に幼なじみのおまえに会えて良かったよ。じゃあ、自首してくる。紙袋を持って立ち上がったイチゴは野呂に背を向ける。
野呂はナイフを取り出しイチゴの背中に突き刺した。
なんで殺したんだテメェ!あとちょっとだったのに!俺がずっと見張ってたのに!ダメだろ?殺しちゃ。俺が守らないと。
合鍵を作ったり、龍宮寺の服を着て外に出たこともある。汚れていない彼女が好きなんだ。俺が代わりになるしかないだろ?
…まさか、龍宮寺の彼氏たちを殺したのも…?そうだよ、俺だよ。龍宮寺が寝てる間に合鍵で忍び込んで男を殺してさ、大変だったよ。
俺たちのアイドルを取り戻そうとしたんだよ。
アイがどれだけ苦しんだか…!
俺の方がおまえよりアイのこと愛してるから!!!

思い出した?忘れるわけないだろ。アイとイチゴは笑顔でお互いを見ている。
紙袋を渡すイチゴ。あの日に渡すつもりだったんだ。私の絵…?バッティングセンターだったかな、絵を描いて欲しいって言ってたからさ。嬉しい。
これからは、ずーっと一緒にいられるね。
ねえ、これってハッピーエンドかな?
アイを振り返り、微笑んで頷くイチゴ。光があふれるドアの向こうへと歩いて行く2人。

単独と神保町花月のディレクターズカット版ということで、過去の公演をコピペしたり、今回だけのものを書き足したりで書いてみた。つぎはぎなので文体が妙だけど、直そうとするとよくわからなくなるよ。手前味噌ながら参考レポ。
クレオパトラ単独ライブ「謎」
クレオパトラ単独ライブ「答」
神保町花月「謎ト答」
クレオパトラ長谷川のぼっち語リ。
エコー劇場より天井は低いし舞台も狭いし、照明の演出が強烈で陰影が素晴らしかった。花火は明確な花火の形ではないものの、色とりどりの光に照らされる。ラストの照明は檻のような鳥かごのような形がくるくる回る演出。幻想的で綺麗だった。
クレオパトラの舞台はいつも照明や小道具が美しいね。今回は小道具ナシだったけど。ナイフや紙袋やメガネすら。唯一、アイの手帳のみ。椅子もずっと置きっぱなしだった。潔い。
冒頭のスイーツパラダイスでのアイのセリフ、連結という言葉の時点で死体の骨を断つアイの姿が連想されてゾッとした。ケーキも確実に刑期に聞こえた。以前は野呂が死体を処分していたけど、今回はアイがすべてをやっていた。より狂気的になっている。
単独で圧倒され、神保町花月の複数人での芝居で改めて2人の凄さを思い知り、今回また時を超えて完全版が見られた。魚屋とか栗林とかギャルとか、神保町花月で除かれたものもすべて詰め込まれた公演。今後もクレオパトラを見ていこうと思う舞台だった。素晴らしかった!

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