@一心寺シアター倶楽 13:00
「セリフを使わない個性溢れるマイム作品集 」~10年の時を経て過去に上演されてきた数々のマイム作品の中から、珠玉の名作たちが蘇る!ザ・マイムアワーで演じられた作品の再演やリメイク、個人や複数人でのオムニバス公演のようだ。
1.『NEW OPEN!』作・演出:古田敦子 出演:古田敦子 松永和也 川島由衣
新規オープンのレストラン。準備と笑顔の練習に余念のない松永さん。晴れやかな笑顔でオープンの札を回すも、誰もお客さんが来ない。ガックリと座り込んで手巻きオルゴールを動かす。2人のウェイトレス人形がヒョコヒョコとカップやお皿の準備をする。周囲の雰囲気が変わり、松永さんがキョロキョロしていると、オルゴールの人形だった2人がなめらかに動き出す!
オルゴールから飛び出した2人のウェイトレスが松永さんをお助け。オープンした張本人のはずなのに料理が全然出来てない松永さんが面白いw客として橋本さん羽田さんちとうさんも。オルゴールと現実が入り交じる展開が素敵。
2.『糸』作・演出・出演:小山ゆうま
ひたすら絶叫している男。指輪を取り出し、一瞬のためらいを見せるも、海に向かって投げ捨てる。倒れ込み、ふと気付くと左手の小指に糸が…?ニヤリと笑みを浮かべて糸を辿っていく。
絶叫の表情で笑いが起きるも、小指の糸の細かい表現に驚愕。スゲェ。繋がった糸が見える。白刃取りに失敗して明らかに頭カチ割れてるのに、刀を外してそのまま走り出したのには笑ったw出会いそうで出会わない女性、古田さんも登場。ビンタが強烈!
3.『R.I.P…?』作・演出:橋本昌也 出演:橋本昌也 羽田兎桃
白装束の女性の幽霊。松永さんや古田さんには姿が見えず、震えて立ち去るのみ。しかし橋本さんは姿を見ることが出来るばかりか、花を手渡すときに手にも触れる。あ、好きになった!赤い花を持った幽霊が橋本さんを追い回す。
長い髪で顔まで隠した兎桃さんが不気味だけど、仕草が可愛いので結局可愛い。いやでも這いずって追いかけてるのはやっぱりちょっと怖い…。捨てても捨てても手に戻ってくる赤い花、取り出してる瞬間が見えなくて、橋本さんのマジシャンとしての片鱗も見える。
4.『Life goes on』作・演出・出演:ちとうともかず
おじいちゃんのリハビリ。川島さんが淹れたお茶が熱いと文句を言う。カセットテープで爆音の音楽を掛けると…ギタリストになった!他の2人のおじいちゃんも、キーボードとドラムで参加。音楽が止まると、満足げにおじいちゃんに戻る。看護師な川島さんが不思議そうにラジカセのスイッチを入れると、再び音楽が…。
ほぼ全編バンドパフォーマンス!音楽にピッタリでカッコイイなー!カメラマンやアシスタントまでやってるし、上空からのドラム演奏の構図が面白いw
5.『カクテルモンテ』作・演出・出演:橋本昌也
バーにやってきた男。おつまみのナッツで瞬間移動のマジックを披露。右側にいた女性にカードマジックを見せてナンパ。電話をしに行った女性を見送り、今度は左側にいた女性にタバコを消すマジックを見せてナンパ。女性2人の激しい取り合い。
最大限のスタイリッシュな動きと表情、イケメンマジシャンが過ぎるよ!めちゃくちゃカッコイイよ!素の橋本さんはこうであって欲しいwマジックのマイムがリアリティ凄い、というよりリアルそのものなんだろう。とはいえカードが見えないので切り方はみんなが知ってる片手に持ってやるやつだったし、カウンターに広げてシャッフルだった。本物の道具があってもそのまま実現出来るんだろうなぁ。
6.『妖精』作・演出:羽田兎桃 出演:橋本昌也 羽田兎桃 松永和也
カクテルモンテの終了時そのままの立ち姿の橋本さん。ぼんやりと椅子に座る。赤い妖精、羽田さん。青い妖精、松永さん。マジックの練習をする橋本さんをすっかり気に入ったようで、自分と同じ色の帽子を被せようと戦う2人。そこへ緑の帽子の小山さんが配達にやってくる。箱を開けると2色の帽子。何かを思い付いた橋本さんが箱をガシャガシャ振ると…。
楽しげな妖精2人がとにかく可愛い。橋本さんにべったりなのも可愛い。兎桃さんのパンチと松永さんの飛び蹴りがお見事wラストの帽子マジックは凄いなー!ちゃんと空っぽの箱を見せるように置くのもさすが。ぼんやりしてたマジシャンが活き活きとした表情になったの、作った人は違えどカクテルモンテからストーリー続いてる?と思ったり。
7.『めおと』作・演出:ちとうともかず 出演:ちとうともかず 古田敦子
昭和の亭主関白と、失敗ばかりの奥さん。怒鳴り散らす亭主。エプロンを外した奥さんが家を出ていく。風呂から戻ってきた亭主が、奥さんがいないことに気付き嘆き悲しむ。そこへ奥さんが戻ってきて不思議そうな顔。
古田さんの奥さんっぷりが素晴らしいよ!楚々とした動きが素敵すぎて畳やちゃぶ台やブラウン管テレビが見える。心を入れ替えた亭主と驚く奥さんの展開にほっこり。良いお話だわ~。
~はしやすめ~
インカムを付けた橋本さん登場。喋ります!
客席からお兄さんを上げて一緒にマジック。見えないトランプを1枚選ぶ。トランプの箱を紙袋に向かって投げると何かが入った音。本当にトランプの箱が出てきた!橋本さんの指示でお兄さんがマイムで動いた通りの状況になっている…もちろんカードも当たっている…凄すぎ!そうだったこの人マジシャンだった!
8.『いつか王子様が』作・演出:羽田兎桃 出演:川島由衣 羽田兎桃 松永和也
鏡に向かって、誰が美しいかを問う魔女。鏡は粛々と魔女を指す。が、ぶりっ子激しい白雪姫が登場。鏡が急にデレデレ。美しいのは白雪姫だと言う鏡にブチ切れる魔女。白雪姫を抹殺しに行く…。
兎桃さんの魔女が様々な武器を駆使してカッコ良くて素晴らしいし、ぶりっ子なのに最強な川島さんの白雪姫はイケメンだし、スンとした表情とデレデレした表情とナルシスト王子を見事に演じ分ける松永さんは最高だ!他4人が小人さんで並んで登場。最後尾の橋本さんがめっちゃ良い笑顔で客席を見渡していて笑ってしまった。違和感が凄いw
9.『お掃除女』作・演出・出演:古田敦子
お屋敷の掃除をする女性。バレエのような、踊るような動きで掃除していく。クローゼットに見つけたつば広帽子を被り、踊り出す。そこへ屋敷の主人、橋本さんがやってくる。静かに見守る主人に、そそくさと帽子を元に戻し一礼して去ろうとする。主人が帽子を手に取り、女性へ手渡す。
ベージュのワンピースで少しずつ踊るようなステップを踏む古田さんが麗しい。過剰に広がることもなく視界を邪魔しないワンピース、動くときのシルエットも綺麗で素敵だったなぁ。主人の橋本さん、ゆっくり堂々と歩く様子と慈悲の笑みが本当に貴族の主人のようで素晴らしかった。動きだけで雰囲気変わるねぇ。
10.『勝敗』作・演出・出演:松永和也
札束を賭けたカジノでのポーカーゲーム。惨敗した松永さんが様々なバイトを繰り返して金を貯める。袖にカードを隠して再びカジノへ。見事に勝利するも、イカサマがバレて…。
指で1枚ずつカードを表現してるの面白い。そんな見せ方もあるのか。めっちゃやってるバイトのバリエーションが多すぎて笑うw新聞配達、居酒屋、交通整理…どこまでが現実でどこからが夢なんだろう?想像するとちょっと怖い。
11.『デス彼女』作・演出:ちとうともかず 出演:ちとうともかず 羽田兎桃
ピンクのパーカーとジーンズでペアルックなカップル。彼女の服を買いに来た。彼女の好きな方の服を選べない、巨乳店員川島さんにデレデレする彼氏。ブチ切れて暴れまくる彼女。
暴れる兎桃さんの変貌ぶりが激しくてカッコイイ!デカい胸を当てに来る店員の川島さんがあざとくて良いなぁ。そりゃ彼氏はデレデレするよねwちとうさんカッコイイとか亭主関白とかの強い役しか見てなかったから、急に弱い役で笑ったwというか兎桃さんが強すぎるだけかな!
12.『ヒットマン』作・演出:橋本昌也 出演:橋本昌也 松永和也
サングラスに黒尽くめの革ジャン姿の松永さん。黒いシャツとパンツ姿の橋本さんの手袋を付けた手で拳銃を表現。ビルに潜入して金庫を開けるヒットマン。自動ドア、赤外線トラップ、金庫、警報、街頭、拳銃、バイク、手榴弾、バズーカ、すべてを手と身体で表現する橋本さん。
ヒットマンの動きは最小限、黒子の橋本さんがめちゃくちゃ動く!金庫の表現が…乳首…あれを2人が笑い転げながら練習してたりしたらほっこりするわ~。手榴弾の笑顔全開ジャンプが良いなぁ。ラストの「完」の文字、さりげなくマジック入れてくるよね!いつの間に!?
13.『カムバック』作・演出・出演:ちとうともかず
怪我で肩を故障したピッチャー。酒に溺れるも、奥さんの妊娠が発覚。必死にリハビリし、再びマウンドへ。
奥さん以外はすべて1人で演じるちとうさん凄いなー!ピッチャー、審判、キャッチャー、コーチ、監督、果ては観客席のファンや売り子まで。こんだけ幅広く一瞬で演じてるのに、ちゃんと理解できるし状況も見える。凄すぎる…。奥さんの兎桃さんが掛けてくれたネックレスの回想、オチの売り子までとても微笑ましい。良いお話を作るなぁ。
エンディング。ちとうさんが舞台に戻ってくると、『糸』の小山さん、『いつか王子様が』の川島さん、『R.I.P…?』の兎桃さん、『ヒットマン』の松永さん、『お掃除女』の古田さん、『カクテルモンテ』の橋本さんが静止している。それぞれ触れていくと動き出すも、橋本さんだけキメ顔のまま動かない。諦めて他のメンバーで挨拶しようとすると、慌てて走ってきたw
ネタバレ上等で全部書いたった。これは残しておきたい!すべてが過去作品の再演やリメイクと聞いたので、また見られることがあるかもしれない。
橋本さんの青ロボのマイムっぷりやカンパニー公演の役者っぷりがお見事で、また見たいと思っていたんだ。遠征多すぎて行くか迷ってたけど、見に来て良かった。次は最初からチケット予約するよ!
橋本さんのソロ作品とても良かった!自分を上手く活かす見せ方、マジックに加えてマイムまで使えるようになったのは大きいだろうな。表情と動きで見事なまでに強烈なキャラを演じ切っていた。似合いすぎてもはや面白い。「こんなマジシャンは嫌だ」を表現したと言っていたけど…あそこまで上手く自分を見せられたら気持ちいいよね。
松永さんの赤ロボ以外を初めて見たのだけど、表情の豊かさはそのままで、いろんなキャラが見られて楽しかったー!『NEW OPEN!』での笑顔の練習がとても微笑ましい。『いつか王子様が』でのお調子者な鏡とナルシストな王子がハマってて良かった。あの自撮りは本当に撮ってたのかな?アップして欲しいwヒットマンもカッコ良かったなぁ。真顔のまま橋本さんの間を抜けたり、どんな忍耐なんだ!
兎桃さんのキャラ変化が凄すぎて、可愛いやらカッコイイやら怖いやら!はー、大好き。何にでもなれるバリエーションの豊富さが素晴らしいよ。帰り際にありがとうございましたと言っていただけたので、魔女がカッコ良くて好きでしたー!とお伝えできた。ふへへ、嬉しい。
終演後、せっかくだからと橋本さんにご挨拶に行ったら、東京からありがとうございますナオミさんですよね?と完璧に把握されていて震えた。お話したのはこれが初めてですが…マジシャン怖い。魔法ですか?という言葉が出掛かったけど我慢。それはただの変なやつだ。精密なエゴサなのはわかってるよ。しかし凄いなー。
こんな面白い公演を見てしまうと、また遠征が増えるね。カンパニー公演はすでにマストになってるのに、オムニバス系まで見に行くようになるな…。まあ、楽しければ良し!見たいものは見ておかないと後悔するからね!