神保町花月「消去法」

@神保町花月 16:00 G6

プラン9の久馬さん脚本で、プラン9メンバーも神保町花月に初参加。これは行くしかない!主演はグランジ五明さん、脇には大さんと犬の心。素晴らしいメンバーです。
実際の公演時間は1時間半だったけど、ストーリーを書いたら盛りだくさんで長くなってしまった。

キーボードを弾きながら歌を練習している愛(阿国)。彼氏の喜田(五明)への誕生日プレゼントらしい。そこへやってきたのは、喜田の会社の同僚の相楽(池谷)だった。自分の誕生日を一緒に過ごすということを忘れている喜田に怒り、部屋を飛び出してしまう愛。
鬼怒川(大)と哀川(押見)は、銀行から金を奪って逃走中。鬼怒川は、事故で失明した妹の治療のために大金が必要だった。哀川は大金でやりたいことがあるらしいが、頑なに言おうとしない。警察に追われ、二手に分かれて逃げようと提案する。盗んだ金の入ったバッグに、ポケットから取り出した紙切れを入れる哀川。気になって見ようとする鬼怒川だが、背後にはパトカーが迫っていた。
愛は、部屋を飛び出した直後に轢き逃げされ、昏睡状態に陥っていた。医者である三木(ヤナギブソン)も手を尽くすが愛の意識が戻ることはない。
そして愛が入院している病院には、記憶を失った鬼怒川もいた。道端に倒れているところを三木が保護したらしい。
喜田が愛の容態回復を願って神社で拝んでいると、神と名乗る人物(ゴエ)が現れた。「キ」を消去する代わりに、何でも願いを叶えると言う。
愛の意識が戻り、喜ぶ相楽。しかし喜田は無表情のまま、良かったじゃんとそっけない。心配しているようだが感情の変化が見られない喜田に、嫌われたと泣く愛。俺じゃだめかな?と告白する相楽。しかし愛は肝心なところで熟睡していた。
警察から逃げ切った哀川は、指定の時間と場所に現れない鬼怒川が逃げたのではないかと疑っていた。神社でウロウロしていると、神が現れる。「キ」を消去する代わりに、鬼怒川の行方を教えてもらった。
愛は神社で喜田と仲直りできるよう拝んでいた。愛を心配して追いかけてきた相楽も一緒に拝んでいると、賽銭箱の向こうから神が現れる。消去する「キ」とは、喜びの「キ」や記憶の「キ」だと説明。喜田の喜びの感情が消えた理由を察し、相楽は「キ」を選べるかと神に提案する。
1人の女性が神社にやってきて、お兄ちゃんが見つかりますように、と拝んでいる。神が声を掛けると、事故で見えなくなっていた目が奇跡的に回復したと言う。しかし直後に兄がいなくなってしまった。それを聞いた神は、その女性に鬼怒川さん?と尋ねる。何故わかったのかと驚く女性に、納得したような笑みを浮かべる神。
鬼怒川は、三木から轢き逃げ犯として警察に疑われていることを聞く。病院から逃げ出した鬼怒川を見つけた哀川は、鬼怒川を連れて逃走。スピード違反で警官2人(オクヨコ)に止められた。突然記憶を取り戻した鬼怒川は、哀川に状況を説明し始め、警官の前で強盗したことを喋ってしまう。泥酔していた男に100万を渡し、車に乗せて逃げさせたことを思い出す。そして目の見えぬままフラフラと歩く妹の愛子(岡田)を見つける。あいつ、嘘つきやがった…と呟く鬼怒川。刑務所に入れられた鬼怒川は、面会に来た愛子に、神社の神木の下を掘るように言う。
喜田は愛から誕生日プレゼントを受け取り、大はしゃぎしていた。驚く相楽に、付き合いたての頃はこんな感じだったと笑う愛。実は病室での相楽の告白を聞いていたことをバラすが、相楽は何のことかわからず首をかしげる。
神社では、三木が神に土下座していた。轢き逃げと飲酒運転、それをごまかすために愛を昏睡状態にしておいたのに、何故か目覚めてしまった。自分の罪がバレる、すべてをリセットしてくれ!と懇願する。
場面は再び喜田の部屋。キーボードを弾きながら歌を練習している愛の元に、付き合って1周年のお祝い!とケーキを持って現れる喜田。
鬼怒川と哀川は、運送屋の仕事の途中だった。事故で失明した妹の治療のために金を貯めている鬼怒川に、銀行強盗でもしますか?と冗談めかして提案する哀川。そんな金で妹が喜ぶはずないだろ!と怒る鬼怒川。
そこへ、ボロボロになった姿の三木がフラフラと歩いてくる。ああなったらおしまいだな、と眺める2人。哀川の胸ポケットから、紙切れが出てきた。この金はすべて鬼怒川さんに差し上げます、妹さんと一緒に遠くへ行き星を見てください、というようなことが書かれていた。何のことかわからず首をかしげる2人。
昼飯どうする?という話になり、「ナマ」醤油をかけたうどんを食べたいと言う鬼怒川。あれは「キ」醤油って読むんですよ、と笑う哀川。

配役が見事だと唸る今回の公演。久馬さんの采配なんだろうか。一番の悪役がギブソンさんで、一番の変な役がゴエさん。この2人だけが舞台に残ったとき、プラン9だ…と鳥肌が立った。
そして主要登場人物4人の名前に、喜怒哀楽の文字が入っている。これも久馬さんのこだわりだろうか。五明さんが喜、大さんが怒、押見さんが哀、池谷さんが楽。イメージぴったりだなぁ。三木という名前は、3種類の「キ」の意味だろうか。気になるよ。
池谷さんがとてもイイ奴の役で、キラキラっぷりがハンパなかった。大さんは胡散臭い感じの役ばかり見ていたけど、今回の優しい役も良いね。カッコイイ。
転換の曲がほぼ全部違っていてビックリ。あと、最後に掛かった曲で「キ」が多用されてたんだけど…なんて曲だったんだろう?

6種類の「キ」を消去した神。
喜田=喜びの「キ」、鬼怒川=記憶の「キ」、哀川=希望の「キ」、相楽=好きという気持ちの「キ」、愛子=奇跡の「キ」、三木=生命の「キ」。
哀川がちょっとわかりにくかったけど、大金でやりたかったことというのを希望だと解釈。最初から鬼怒川に全部あげるつもりだった、ってのが泣かせる。
説明はなかったけど、愛子は奇跡と引き換えに兄の記憶を元に戻したんだろうな。神も結局は人間たちの愛情に感銘を受けていたんだろうか。願いを叶える条件に何故か身体を差し出そうとする人たちに、もっと自分を大切に!と怒るくらいだからなw
三木の犯行だけをリセットするのではなく、「キ」と引き換えに願いを叶えた人たちの願いごとすべてリセットした、っていうのがイイよね。

チラシに書かれていたお客様に一言。五明さん「気をつけてお帰り下さい。」って!やるなぁ、もう!

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