神保町花月「踊る脳事件~奇抜探偵・四条司の苛烈なる雪辱~」

@神保町花月 16:00 B14

奇抜探偵3部作、ついに終演。きっちりまとめたいところだけど、重要なヒントを記憶しきれなかったので細かい情報はざっくりと。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後6時
捉えられている煙山正義(根建)。ホテルの部屋に入ろうとしたら、何者かに殴られ気絶したことまでは覚えている。
ボイスチェンジャーを使った声が聞こえる。数々の難事件を解決してきた名刑事、煙山正義くん。やめてくれ、俺はとっくに刑事を辞めたんだ。
ゲームをしよう。私が誰かを答えられたら開放する。答えられなかったら、死ぬ。

四条探偵事務所 9月25日 午前
起きてきた宗助(好井)が四条(文田)と話をしていると、依頼人がやってくる。煙山の妹の夏芽(長谷川)だった。
3日前から煙山と連絡が取れなくなり、職場である警察に連絡をしてみたら、1週間前に警察を辞めていた。煙山のマンションに行ったら、ありえないほど片付けられていた。そこに落ちていたメモには、煙山の筆跡で『踊る脳』と書かれていた。
夏芽の依頼を引き受けた四条。失踪は時間が経てば見つけにくくなる。まずは煙山が所属していた警視庁へ向かう。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後6時
ゲームのルール。質問は5つまで。YESかNOで答えられるもののみ。制限時間は日付が変わるまで。回答権は1回。
最初の質問。直接面識はあるか…YES

タクシー 9月25日 午後1時
タクシー運転手(安部)は、乗り込んできた四条、宗助、夏芽を凝視している。やっぱり四条さんだ!私ですよ、麻木圭です。その前は手塚、今は桂川ですけどね。手塚の頃は宗助がいた屋敷で運転手をしていた。麻木の頃に事件の容疑者として四条と宗助、煙山にも会っている。
煙山が失踪し、四条たちが探していると知り、足として使ってくれと申し出る。

警視庁 9月25日 午後
竹下(井下)に話を聞きに来た四条たち。煙山は警察を辞める直前、1年前の事故を洗い直していた。煙山の婚約者である朝倉透子がマンションのベランダから転落死した。透子が死亡推定時刻の頃にコンビニへ出かけているのを隣人が見かけ、他の人物を見ていないこと。解剖の結果、体内から大量の覚せい剤が検出されたことが決め手になり、事故として処理された。
四条は煙山が話したがらないので、この事故については関わっていない。夏芽ですら覚せい剤については知らず、事故だと思っていた。
竹下に『踊る脳』のメモを見せ、確認を要請。透子に妹がいることを知り、マンションへと向かう。四条は事故ではなく事件だと考えている。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後7時
2つ目の質問。1年前の事件の関係者か…YES

タクシー 9月25日 午後
1年前の事件がキーになっているという夏芽の言葉に、気になりますよね、キーになるだけに!と言った桂川。重くなった空気を感じ、気になりますよね!チリの鉱山事故!とごまかす。

マンションの一室 9月25日 午後
透子の妹の明子(梓)に話を聞きに来た四条。煙山を素敵だと言う明子に、夏芽は首を傾げる。姉さんより私が先に出会っていたら…。
四条は短い時間で明子の部屋を出ていく。四条が部屋を出たあと、誰かと電話をする明子。探偵が探してるみたいだけど?わかった。準備するわね。
宗助と桂川に、明子の様子を監視するよう頼む四条。数時間以内に動きがあるはず。今日は用事がないと言っていたのに、何度も時計を見ていた明子に不審を抱いている。
竹下から四条に電話がかかってくる。煙山は辞める前、以前殺人事件を起こして逮捕された元後輩の的場に面会していた。そして『踊る脳』とは、『ダンスドブレイン』という覚せい剤の名前を和訳したものだとわかる。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後9時
3つ目の質問。女か…NO

刑務所 9月25日 午後
的場(大波)と面会する四条。的場の後ろには刑務官(ねこドラム)が控えている。
煙山は的場に会い、彼が逮捕された時の話をしている。俺があのとき言った言葉を覚えているか?変わらない人間はいない、ですよね。変わらない人間はいると思うか?いるとしたら、煙山さんのような人だと思います。
的場の言葉に涙を流す煙山。そして別れ際、数日後に四条がここに来るかもしれないが、俺と話した内容は言うなと言い残す。
具合が悪そうな夏芽。四条は煙山のマンションを見たいと言い向かうことに。

煙山のマンション 9月25日 午後
夏芽を残し、食べ物を買いに行った四条。竹下からの電話で、透子がコンビニから帰ってくる姿が監視カメラに映っていないこと、暴力団から押収された『ダンスドブレイン』が一部盗まれていることを知る。
ありがとうございます、事件はすべて明白です!電話の向こうで新四条大橋が完成していることを知り、僕も見たいです!と言う竹下。
夏芽の肩にかけられていた四条の上着に入っていた携帯が鳴る。宗助から、明子がある人物と会っていることを聞かされ、慌てて出ていく夏芽。
戻ってきた四条は夏芽がいないことに気付き、携帯の着信を見て慌てて出ていく。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後11時
数々の難事件を解決したのは、俺ではない。1年前の事件で痛感した。これじゃダメだと。
4つ目の質問。明子をおとりとして使ったのか…YES

マンションの一室 9月25日 午後8時
腹部を刺されて倒れている夏芽。不気味に笑う明子。駆け付ける四条。兄さんを、よろしくお願いします…。
SIDE-B END

ここで四条からの挑戦状。煙山正義を監禁した犯人、煙山夏芽を殺害した犯人は誰か。ヒントは、違和感。

SIDE-A 暗い部屋 9月25日 午後11時
5つ目の質問。おまえは俺を恨んでいるか…いや、答えなくていい、四条!おまえは四条司だ!

銃を持って出てくる四条。彼は2年前の透子殺害が明子の犯行であること、1年前の夏芽殺害が煙山の犯行であることまで見抜いていた。そして透子が殺されてから2年が経った今日、再び煙山が明子殺害を企てると推理し、明子を使って呼び出し監禁した。
なぜ夏芽さんを殺した!あいつが明子を庇ったからだ!あんな女を庇う必要なんてないのに!

マンションの一室 2010年9月25日 午後8時
透子が死んだ日からちょうど1年後、煙山は透子を殺した明子を同じ方法で殺そうとしていた。煙山に覚せい剤を打たれ意識が朦朧としている明子。透子を殺せば、葬儀で煙山に会えると思ったから。姉さんがいたら、くっつくものもくっつかなくなるでしょ。
そこへ夏芽が駆け込んでくる。明子を殺して俺も死ぬ、と言う煙山を必死で止める。煙山がナイフで明子を刺そうとしたところに、夏芽が割り込んだ。腹を刺される。あたしは大丈夫だから。もうすぐ四条さんも来るわ。
ドアの外から聞こえる足音に気付く煙山。

夏芽さんは明子を庇ったんじゃない、おまえを庇ったんだ。兄に殺人者になってほしくなかったんだよ。それは叶わなかったけど。おまえに夏芽さんの最後の言葉を教えるよ。兄さんを、よろしくお願いします。
透子の葬儀のあと、明子の部屋でお茶を飲んだ煙山は明子の部屋に透子の服があることに気付く。防犯カメラに映っていたコンビニへ出かける透子の姿は、透子の服を着た明子だった。
透子さんが転落死したとき、なぜ相談してくれなかったんだ。確かにおまえに相談したらもっと早く真相に気が付いたと思うよ。でもこのヤマは俺が解決しなきゃダメだったんだ。
四条、俺をどうするつもりだ?
銃を構えるが、すぐに下ろしてしまう四条。
俺を殺してくれ。
座っている煙山に向かい、まっすぐ銃を向ける四条。
「四条司の苛烈なる雪辱」
銃声とともに、倒れる煙山。

SIDE-A=After
SIDE-B=Before

ASIDE(余談)
竹下は倒れている煙山に声をかける。
生きてる…麻酔銃か…。
夏芽殺害、業務上横領、覚せい剤取締法違反の罪で逮捕される煙山。
俺はおまえに言いたいことが山ほどあんねん。

四条探偵事務所
寝ている四条を起こす宗助。昨日は夜遅かったんだから勘弁してくれよ。
明子さんに逮捕状が出ましたよ。煙山さんが調べた結果だそうです。
四条さん、雪辱は果たせましたか?昨日は煙山くんと会って簡単なゲームをしてね、負けたよ。
もし勝っていたらどうするつもりだったんです?勝負の世界にもしは無いよ。もしあるとしたら、夏芽さんを殺させない。
僕、変なこと言ってるかもしれませんが…もし煙山さんが出所したら…。そしたらここでこき使ってやるよ。
さあ、今日も依頼人の方がいらっしゃってます。ようこそ、四条探偵事務所へ。

難しかったー!最初に見た時、2つの場所で進むストーリーが同日だと思ってしまったのが間違いだった。途中でSIDE-BがSIDE-Aの開始時間を追い越していることに気付けなかった。というか、そこまで見る余裕がなかった。
2回目に見てみると納得。最初の煙山のセリフ、刑事はとっくに辞めたというのもヒントだったんだな。1週間でとっくにとは言わないだろう。明子がおとりだという質問で、なんのこと?と思ったけど、それも違和感のひとつ。あとは桂川のチリ鉱山事故の発言も。これは2010年8月に起きたことだった。

演出が非常に素晴らしかった!ラストのSIDE-AのAが右方向に飛んでいき、左から戻ってきてASIDE(余談)になる演出、鳥肌立った。新四条大橋は放射状に照明が当たって無駄に豪華だったし。
パネルの真ん中に薄い布が張られていて、照明を当てると向こう側が見えるというもの。離れている場所を表現するのに使われていた。たましい屋さんのセットの規模縮小バージョンのような。黒字に赤いラインのパネルもカッコ良かったし、床には放射状に白いテープが。これは新四条大橋のためかな?照明と合わせて、マンガでいう集中線のような感じ。
転換は薄暗い中で行われていて、雑踏のような効果音とともに私服のスタッフが出てきて、小物やセットの用意をして去っていくというもの。街中を歩いているような雰囲気で、携帯で喋ってたりデート中だったり、という配役のようなものまで与えられていた。ラストでは私服ではなく警官の衣装を着たスタッフの転換で、こだわってるなー!と驚いた。

この脚本はMONOKAKI大賞の最終選考に残ったもので、最終的に賞は逃していた。この完成度で受賞しないって、どんだけレベル高かったんだろうか。さすがに手直しくらいはしてると思うけど、どんな作品が集まってたのか気になる。
明子が透子を殺した理由がサイコパステストそのままだったり、主人公が犯人っていうタブーながらにミステリーではわりとありがちな結末だったりするのも気になったけど、それでも展開が凄いと思ったし面白かった。
雨プラネット砂ハートも大好きだし、福田さん脚本は私にとって外れない。

大波さんがミッシングタイムの的場役だったり、ついに安部ちゃんの役が同一人物だと自ら認めたり、シリーズファンもニヤリとできる配役。打って変わって、シリーズを通して一度も衣装が変わっていない井下さん。暴走する文田さんと一緒にいると、好井さんのツッコミにも磨きがかかるね。
長谷川さんはタララッタの次だったので、普通の役に違和感がw可愛いよなぁ。梓さんは病んでる不気味な役だったけど、見事にこなしていた。真相シーンの演技が怖すぎた。
セリフが多い文田さんは大変だっただろうけど、こんな衣装着てこんなクール(?)な探偵役が出来る人、他にいないと思うよ!ハマり役!
今回は囚われの役で、終始笑顔が消えていた根建さん。いつもニコニコして可愛らしいイメージだったけど、大人の色気だだ漏れだった。カッコ良かった…。

ITI班は良作ばかり。奇抜探偵じゃなくてもいいけど、また公演の機会があるといいな。奇抜探偵もまた見たいけど!

コメント

  1. チカ より:

    素敵なレポです!
    私は土曜の夜の一回しか観られなかったのですが、、、
    是非、願わくば続きが観たい作品でした。

    1. ナオミ より:

      ありがとうございます。時間とか全然覚えてないのでなんか違う気がしますが…。
      もっと見たい作品ですよね。これで終わりだなんて言わず、別の時間軸の話も見たいです。

  2. 真咲 より:

    はじめまして。
    いつも楽しみにしながら読ませてもらっています◎
    地方住みだから観に行けないので…;
    このきばたんシリーズ好きです・・・が、
    まさかの展開でビックリです!

    1. ナオミ より:

      奇抜探偵シリーズはファンが多いですよねー。何度も楽しめる公演です。
      脚本の福田さんいわく、2つの物語の探偵役がもうひとつの犯人だったということ。真相解明シーンは鳥肌でした。

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