フィアース5

@世田谷パブリックシアター 15:15 1階C列13番

JR全線運行停止という状況の中、開演を15分遅らせる対応をする世田谷パブリックシアター、英断だわ。これで助かったお客さんもいるはず。

今日は斜め方向の席なので、照明が突き刺さっていた昨日よりはマシだった。フープの愛実さんがようやくマトモに見えた!やはり終盤の高速回転は凄い。あとフープをくぐり続けるあの連続技も凄すぎる。

フープが見えた代わりにストラップが何故か光を反射して見づらかった…。ラファエル・ボワテル演出は光と影に重きを置くようなので、強い光に弱い目を持つ私にはなかなかしんどい。

タイトワイヤーでぐるぐる逆上がりしてからブランと落ちる健斗さん、今日はズボンが全然脱げなくて杉本さんがめちゃくちゃ苦戦する中、ずーっと片足を後方に上げた状態でジタバタしていた。両手も地に着いてる足も全部上げてジャンプしてみたりとか、杉本さんの脚に掴まって支えにしてみたりとか。

誰がどこで何をしてるのか、2回目でようやく追えるようになった。目黒さんと皆川さんがタンゴで踊るシーン好きだなぁ。ながめくらしつでよく目黒さんがやってるのとも少し違うテンポと動き、いいよなぁ。最初嫌そうだった皆川さんがだんだん楽しくなってきた頃にビターンと倒れて終了、そして皆川さんの手よりも健斗さんが転がしたボールの方に興味を向ける目黒さん。

皆川さんがベビーパウダーの海で踊った後の、みんなが自分の立ち位置にベビーパウダーを撒いてその上で同じ動きで踊るの好きだった。難なく開脚する3人とギリギリな目黒さんw

白と黒、健斗さんの赤の衣装というか練習着?から、杉本さんのストラップ直後に全員が黒尽くめに着替えて来るのがカッコイイんだ。この後のスパイダーと呼ばれる5本のワイヤーで吊り上げられる皆川さんのシーンのためでもあるんだろうけど、赤いパイプ椅子と黒尽くめのメンバーによる大きな影の演出とか、強烈なスポットライトの中で跳び叫ぶ健斗さんの苦悩シーンとか、視覚的にも印象に残るシーンが多い。

タイトワイヤーで舞台が始まり、全員の一通りの技が終わった後で健斗さんの苦悩から終演へと向かう。ファンの贔屓目かもしれないけど、わりと健斗さんが導入部を担ってるんだと感じた。

天井の大きな梁から吊るされたロープで皆川さんが繋がり、4人のメンバーと安本さんがロープを引いて皆川さんを動かしたり浮かせたり。メインのど真ん中のロープを持っていたのが安本さん。エアリアルを裏で支えるプロの仕事を演出として見られるのは貴重だ。安本さんだけ手袋なので、一番負担が掛かっているんだろうな。走って位置が変わったときの中心部分になった目黒さんが腰にロープを回して全身で支えてたのがカッコ良かった。最後に皆川さんを梁まで浮かせるときの愛実さんのパワーが凄い。

基本的にセリフがない公演だけど、山本さんの「なにー!?」と「はーやーく!」が分岐点。セリフは高圧的なのに、風貌と声質と言い方でどこかのんびりした憎めないキャラだとわかるのが素晴らしい。この声でホッとしてコメディシーンに移り変わるのいいな。苦しんでる姿を突き付けられてきたから余計に。

今回のみ、ラファエル・ボワテル本人によるポストトーク。カンパニーのジュリエッタ・サルツも同席。
元々日本が好きで、フィアース5のテーマにも日本の慣用句である「七転び八起き」を起用していた。日本には10年前に日野先生に武術を習いに来たことがあるようだ。
公演ラストで使用しているクラシカルなサーカス衣装はフラテリーニから借りているもの。女性初のクラウンであるアニー・フラテリーニはフランスでサーカス学校を開校、自身もフランス版フィアース5の出演者もみんなその学校の出身。
11月上演のフランス版フィアース5に日本から愛実さんが参加するとのこと。
日本版は1月からオーディションが始まり、4月に出演者が決定した。コロナ渦で渡航が出来ず、本番2週間前までZOOMでのやり取りを続けていた。日本の演者は正確に演じてくれる。
オーディションの際、日本にはタイトワイヤーの若手演者がいないと聞いていた。本来ソフトワイヤー(スラックワイヤー)を演じている健斗さんがわずか5ヶ月で体得して出演している。しかもサーカスではあまり見ない、高さ2m長さ8m。冒頭で演じられている練習シーンそのままの状況だった。フランス版フィアース5の出演者でもあるジュリエッタいわく、サーカス芸の中でタイトワイヤーの習得が一番難しい。その他の演者も新しいことに挑戦してもらっている。
黒服のスタッフはフランス版では本物のテクニカルスタッフだが、日本ではアーティストにスタッフ役を演じてもらっている。
クラシック音楽が好きで多様している。ラ・カンパネラは超絶技巧の曲で、超絶技巧のサーカス芸を演じるこの公演とも相性が良い。いくつかのアレンジバージョンを起用している。
クリエイション段階で照明の動きを決め、作曲家が入って音楽もその場で作っていく。
コロナ渦において、フィアース5を日本で上演するということにおいて影響を受けている。世界中が同じ困難に立ち向かっていく。

ポストトークを聞けて良かった。健斗さんがタイトワイヤーを5ヶ月で習得して出演、という相変わらずのモンスターぶりを発揮していてさすがだった。しかも笑う筋肉と準備期間が被ってるし、あっちはあっちでダンスとか新しいことを習得してるわけで…とんでもない人だ。大道芸ではあまり見ることがない、とにかくジャンプしまくり同じ動きを繰り返す踊るような立ち振る舞い、見たことのない健斗さんの姿を見られるのが嬉しい。どんどん挑戦していく姿を追い掛けていけるのはありがたい。明日で最後、くまなく見たいところだけどやっぱり健斗さんばかり見てしまうんだろうなー。

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